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eスポーツ関連株、日本市場拡大で浮上する有望銘柄と勝ち筋分析

by 斎藤 裕也
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はじめに

eスポーツ関連株が再びテーマ化しやすい地合いに入っています。理由は単純なブーム再燃ではなく、市場規模、競技の制度化、地域開催の大型イベントが同時に積み上がってきたためです。JESUによれば、国内eスポーツ市場は2024年に約161億円まで拡大し、2026年には200億円を超える見通しです。

ここで重要なのは、eスポーツを「ゲーム会社の一部門」とだけ見ないことです。いま収益が立っているのは、タイトル販売そのものよりも、イベント運営、スポンサー、配信、コミュニティ、周辺インフラです。

本稿では、国内市場の拡大根拠を確認したうえで、上場企業を「純度の高い専業型」「メディアと回線を束ねる複合型」「IPを軸に広く回収する大型株型」に分けて整理します。そのうえで、テーマ株として追う際にどこを見ればよいのかを、直近のIRや公表資料に基づいて読み解きます。

市場拡大を裏づける三つの材料

国内市場の安定成長

まず押さえるべきは、国内eスポーツ市場が一過性ではなく、安定成長の局面に入っている点です。JESUの「日本eスポーツ白書2025」によれば、2024年の国内市場規模は前年比9.9%増の約161億円でした。2020年以降は年平均で10%前後の成長を続けており、2026年には200億円超が見込まれています。

しかも中身を見ると、成長の源泉はかなり実務的です。市場構成の中心はイベント運営と大会・チーム向けスポンサー費用で、両者がそれぞれ3割強を占めています。関連グッズやストリーミングの伸びも高く、単なる賞金ビジネスではなく、広告、配信、物販、コミュニティが複合して市場を押し上げていることが分かります。

ファン基盤も無視できません。JESUは2024年の国内eスポーツファン数を約967万人、競技人口を約419万人と推計しています。さらに2026年にはファン数が約1500万人に迫ると予測しています。テーマ株として見た場合、この数字は「すでに一定の母集団があり、これから広告価値が乗っていく段階」にあることを意味します。

投資家目線では、この市場が最も評価しやすいのはスポンサーと運営受託です。ファンが増えるほど大会価値が上がり、スポンサー単価が上がり、イベント制作会社やチーム運営会社に収益が落ちます。

競技制度化と国際大会の進展

二つ目の材料は、eスポーツが「見世物」から「公式競技」へ近づいていることです。2026年の愛知・名古屋アジア大会では、eスポーツが正式なメダル種目として実施されます。OCAの大会概要でも種目一覧にEsportsが明記され、セガの発表では競技期間が2026年9月23日から10月2日、11種目13タイトルで行われると示されています。

この制度化の意味は大きいです。正式競技になると、パブリッシャー、運営団体、配信会社、自治体、スポンサーが長い準備期間を前提に動きます。単発イベントではなく、選考会、代表争い、PR施策、会場整備、周辺物販まで含めて案件化されるため、関連企業の売上機会が厚くなります。

さらに国際的には、ANOCが2025年2月に伝えたIOCの方針として、初のOlympic Esports Gamesが2027年にリヤドで開催される予定です。2025年から「Road to the Games」が始まる構想まで示されました。

投資テーマとして重要なのは、国際大会の開催が一社単独の好材料ではないことです。大会運営、代表選考、配信、IP供給、広告出稿、地方観光の各レイヤーに波及するため、関連銘柄群が面で動きやすくなります。テーマ性が爆発しやすいのは、こうした横展開の余地が大きいからです。

地域開催と裾野拡大の同時進行

三つ目の材料は、国内で大型大会の開催実績が積み上がり、地方創生や教育と結び付き始めている点です。札幌市はEAと覚書を締結し、「Apex Legends Global Series Championship」を大和ハウス プレミストドームで3年連続開催する方針を打ち出しました。札幌市によれば、2025年1月開催のYear4 Championshipには延べ3万4000人以上が来場しています。

続くALGS Year 5 Championshipは2026年1月15日から18日まで札幌開催で、40チームが出場し、賞金総額200万米ドルを争う計画です。これは国内市場にとって、世界大会が一度来たという話ではありません。自治体が継続開催を支援し、国際大会を地域経済や都市ブランドと接続し始めたという意味です。

裾野拡大の面でも進展があります。JESUの「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2025 SHIGA」は7回目の開催で、正式競技にeFootball、パズドラ、ぷよぷよeスポーツを採用しました。大会後の発表では、予選に日本全国から23万人超が参加したとされています。競技人口の厚みがあるからこそ、地方大会から代表選考、全国大会までの階段が成り立ちます。

こうした数字は、関連株の評価にとって地味ですが重要です。スポンサーが付きやすいのは、単に視聴数が高い大会ではなく、継続的に参加者と観戦者を集められる大会です。自治体、学校、地域施設まで巻き込めるタイトルや運営会社は、景気循環に左右されにくい収益源を持ちやすくなります。

関連株を選ぶときの見方

純度が高いGLOEの強みと弱み

純度の高い関連株としてまず挙がるのがGLOEです。同社はIRのFAQで2015年創業のeスポーツ専業会社と説明しており、会社概要でもゲーム・eスポーツに関する企画、制作、大会運営、プロモーション、施設運営などを主業としています。専業であるぶん、テーマ資金が入りやすい反面、業績の振れも大きくなりやすい銘柄です。

足もとの事業内容を見ると、GLOEは単なる大会会社ではありません。公式サイトではクライアントワークとしてイベント制作や市場分析、配信運営を展開し、ブランドプロデュース領域ではキャスティング、インフルエンサーマーケティング、クリエイター支援まで広げています。キャスティングは年間600件以上の実績を掲げており、競技そのものより周辺商流の取り込みを強めていることが分かります。

業績面でも、その変化が出ています。2026年6月期第1四半期についてgamebizが伝えた内容では、売上高は7億8100万円で前年同期比19.6%増、営業利益は4900万円でした。一方で主力のeスポーツ・イベントサービス売上高は3.8%の微減で、伸びを支えたのはキャスティングやSNS、コミュニティマーケティングを含むエージェンシーサービスでした。

ここは投資判断の分かれ目です。GLOEは「eスポーツど真ん中」の看板を持つ一方、実際の収益はより再現性の高い周辺支援へシフトしています。これは悪い話ではなく、むしろ収益性改善には合理的です。ただし、株価が純粋なeスポーツ期待で買われる局面では、実態とのズレが生じやすい点には注意が必要です。

GameWithにみる複線化モデル

GameWithは、関連株としての見方が最も変わった企業の一つです。外からはゲーム攻略メディアの会社に見えますが、実際にはeスポーツ・エンタメ、光回線、コミュニティ、チーム運営を束ねる複合型に変化しています。

注目したいのは直近の伸び方です。GameBusiness.jpが2026年4月に報じた2026年5月期第3四半期累計決算では、eスポーツ・エンタメ事業の売上高は9億3000万円と前年同期比64.5%増となり、営業利益は4800万円で黒字転換しました。スポンサー収入が99.8%増、タイアップ収入が101.5%増と大きく伸びており、市場拡大の恩恵を最も素直に受けている構図が見えます。

この会社の面白さは、熱量を一つの売上源に閉じ込めていない点です。2024年5月期の事業概況では、GameWith光を含む回線事業売上高が3億9300万円で前期比95.9%増でした。公式サイトでも、専用帯域の確保、IPv4 over IPv6、タイトルサーバーへの最短接続など、ゲーマー向けの低遅延回線を打ち出しています。eスポーツを観る人だけでなく、競技する人の通信需要まで取りに行っているわけです。

さらにチーム運営でも布石があります。DetonatioN FocusMeは、DetonatioN GamingとTEAM GAMEWITHの統合で生まれた国内有力チームで、GameWithの株主向け資料では、人気と成績を兼ね備えた日本の代表的eスポーツチームとして位置付けられています。Crazy Raccoon運営会社との提携やDiscordコミュニティ運営まで含めると、GameWithは「メディア会社」ではなく「ファン接点の束」を持つ会社として評価した方が実態に近いです。

投資家として見るなら、GameWithの強みは収益源の複線化です。広告市況が弱くても、スポンサー、チーム、回線、コミュニティ、タイアップへ逃げ道があります。逆に弱みは、どの事業も単独では圧倒的シェア企業とまでは言い切れない点です。したがって、テーマ物色の瞬発力よりも、業績改善が伴うかどうかで評価する銘柄と見るのが妥当です。

セガサミーにみるIP起点の収益化

大型株で押さえるべきはセガサミーです。上場会社はセガサミーホールディングスで、証券コードは6460です。eスポーツ単独で業績を説明できる会社ではありませんが、IPを持つ側としては極めて重要です。愛知・名古屋アジア大会ではセガの『Puyo Puyo Champions/ぷよぷよeスポーツ』が競技タイトルに採用され、2026年4月にはパートナーシップ契約も結ばれました。

この構図は、専業会社とは収益の取り方が異なります。セガは大会そのものの受託で稼ぐのではなく、自社IPを競技化し、ブランド寿命を延ばし、教育やグッズ、コミュニティ形成へ横展開できます。4月2日の発表では、ぷよぷよシリーズは国スポ文化プログラムやシニア向けイベントにも採用され、学習教材「ぷよぷよプログラミング」は全国1000校以上で使われていると説明しています。

さらに4月17日には、JESU公認タイトル「ぷよぷよ」シリーズで小学生初のプロライセンス取得が発表されました。これは単なる話題づくりではなく、競技の裾野が低年齢層まで広がり、IPが長く回る可能性を示しています。パブリッシャーにとってeスポーツは、広告宣伝費ではなく、タイトル寿命を延ばす運営投資として機能しやすいのです。

大型株としてのセガサミーの見どころは、eスポーツ単独の業績寄与ではありません。自社IPを競技化できるか、継続大会を持てるか、教育・地域イベント・世界大会へつなげられるかです。テーマ株としての爆発力は中小型の専業勢に劣りますが、実需に裏打ちされた持続性ではむしろ上です。

注意点・展望

eスポーツ関連株を見るときに最も危ないのは、視聴数の大きさをそのまま利益成長とみなすことです。たしかに世界では、League of Legends World Championship 2025がピーク視聴者数670万人超、Esports World Cup 2025が総視聴時間1億8400万時間近くを記録するなど、観戦需要は極めて強いです。ただし、視聴者が多い大会ほど権利関係、制作費、配信費、会場費も大きくなり、必ずしも周辺企業の利益率が高いとは限りません。

もう一つの注意点は、純粋専業ほど事業の選別が進みやすいことです。市場は伸びていても、物理施設や大型イベントを抱えすぎると採算が重くなります。関連株を追うときは、「スポンサー、配信、コミュニティ、IP運営のどこで粗利を作っているか」を見るべきです。

そのうえで中期的な追い風は続く公算が大きいです。2026年の愛知・名古屋アジア大会、札幌でのALGS継続開催、2027年のOlympic Esports Games構想は、国内企業にとって案件化しやすい時間軸を与えます。関連株の本命は、競技人気を一時的に取り込む会社より、選考会から本大会、配信、スポンサー、教育まで商流を延ばせる会社になりやすいでしょう。

まとめ

eスポーツ関連が投資テーマとして面白いのは、国内市場がようやく「拡大している」だけでなく、「収益化の型」が見え始めたからです。JESUが示す市場成長、アジア大会と五輪eスポーツ大会構想、札幌の国際大会継続開催は、その追い風をかなりはっきり示しています。

銘柄選別では、GLOEのような専業型はテーマ純度が高く、GameWithのような複合型は収益の逃げ道があり、セガサミーのようなIP型は長期の耐久力があります。短期の材料株として追うなら専業型、中期で業績改善を取りに行くなら複合型、長期で競技化の果実を拾うならIP型という整理がしやすい局面です。eスポーツ関連を追う際は、視聴者数よりも、誰が熱狂を最終利益へ変えられるかを見極めることが次の一手になります。

参考資料:

斎藤 裕也

テーマ株・材料分析

テーマ株・材料株の発掘と分析を得意とする。企業の IR 情報と業界動向を結びつけ、投資家目線で銘柄の「次の一手」を読む。

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