8月配当取り高利回り株30銘柄と権利落ち対策を投資家向けに分析
8月配当取りが注目される市場環境
8月末を基準日とする日本株は、2026年8月27日(木)が権利付き最終日の目安です。8月31日(月)の権利確定日に株主名簿へ記載されるには、受渡日を考慮して2営業日前までに買い付け、27日の大引け時点で保有しておく必要があります。
この時期の配当取りは、3月期・9月期銘柄ほど対象数が多くありません。一方で、2月決算企業の中間配当や8月決算企業の期末配当が重なり、個別には年率4〜5%台の予想配当利回りが目立つ銘柄もあります。問題は、表示される「年間利回り」と、今回1回で受け取る配当の利回りが同じではない点です。
この記事では、8月権利の高利回り銘柄30社を一覧化し、配当方針、権利落ち、NISAでの受取方式まで確認します。単発の配当取りだけでなく、資産形成の一部として持てる銘柄かを見極める視点を重視します。
高利回り30銘柄の顔ぶれと利回り水準
年間利回りと今回配当利回りの違い
8月配当取りで最初に確認したいのは、画面に表示される利回りの定義です。株式情報サイトの多くは、会社予想の年間配当額を現在株価で割った「年間予想配当利回り」を掲載しています。しかし、2月決算企業の8月権利は多くが中間配当です。年間配当が100円で中間配当が50円なら、8月に受け取るのは100円ではなく50円です。
たとえばディップの2027年2月期予想配当は年97円で、その内訳は中間48円、期末49円です。ワキタは年100円予想で、中間50円、期末50円とされています。エーアイテイーも年110円予想のうち中間55円が示されています。年間利回りが5%前後でも、8月だけを目的に買う場合の配当収入は概ねその半分になる銘柄が多い、という前提が必要です。
調査時点で確認した高利回り30銘柄
以下は、8月決算・8月中間配当銘柄の利回りランキングを複数確認し、調査時点で上位に並んだ30銘柄を整理したものです。利回りは株価変動で日々変わるため、買付前には証券会社画面と企業IRで更新情報を確認してください。
| 順位 | コード | 銘柄 | 市場 | 予想配当利回り | 決算・配当区分 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 8185 | チヨダ | 東証プライム | 5.52% | 2月決算・8月中間 |
| 2 | 9388 | パパネッツ | 福証 | 5.18% | 2月決算・8月中間 |
| 3 | 2379 | ディップ | 東証プライム | 5.17% | 2月決算・8月中間 |
| 4 | 414A | オーバーラップホールディングス | 東証グロース | 5.01% | 8月決算 |
| 5 | 3562 | No.1 | 東証スタンダード | 4.87% | 2月決算・8月中間 |
| 6 | 9381 | エーアイテイー | 東証プライム | 4.61% | 2月決算・8月中間 |
| 7 | 7847 | グラファイトデザイン | 東証スタンダード | 4.44% | 2月決算・8月中間 |
| 8 | 367A | プリモグローバルホールディングス | 東証スタンダード | 4.43% | 8月決算 |
| 9 | 6183 | ベルシステム24ホールディングス | 東証プライム | 4.26% | 2月決算・8月中間 |
| 10 | 2918 | わらべや日洋ホールディングス | 東証プライム | 4.26% | 2月決算・8月中間 |
| 11 | 8931 | 和田興産 | 東証スタンダード | 4.21% | 2月決算・8月中間 |
| 12 | 8016 | オンワードホールディングス | 東証プライム | 4.16% | 2月決算・8月中間 |
| 13 | 3353 | メディカル一光グループ | 東証スタンダード | 4.15% | 2月決算・8月中間 |
| 14 | 3612 | ワールド | 東証プライム | 4.13% | 2月決算・8月中間 |
| 15 | 8008 | ヨンドシーホールディングス | 東証プライム | 4.07% | 2月決算・8月中間 |
| 16 | 274A | ガーデン | 東証スタンダード | 3.91% | 2月決算・8月中間 |
| 17 | 7811 | 中本パックス | 東証プライム | 3.91% | 2月決算・8月中間 |
| 18 | 2292 | エスフーズ | 東証プライム | 3.88% | 2月決算・8月中間 |
| 19 | 3280 | エストラスト | 東証スタンダード | 3.83% | 2月決算・8月中間 |
| 20 | 5271 | トーヨーアサノ | 東証スタンダード | 3.67% | 2月決算・8月中間 |
| 21 | 3333 | あさひ | 東証プライム | 3.61% | 2月決算・8月中間 |
| 22 | 7427 | エコートレーディング | 東証スタンダード | 3.61% | 2月決算・8月中間 |
| 23 | 2186 | ソーバル | 東証スタンダード | 3.60% | 2月決算・8月中間 |
| 24 | 4432 | ウイングアーク1st | 東証プライム | 3.34% | 2月決算・8月中間 |
| 25 | 8570 | イオンフィナンシャルサービス | 東証プライム | 3.32% | 2月決算・8月中間 |
| 26 | 7599 | IDOM | 東証プライム | 3.31% | 2月決算・8月中間 |
| 27 | 7516 | コーナン商事 | 東証プライム | 3.25% | 2月決算・8月中間 |
| 28 | 7544 | スリーエフ | 東証スタンダード | 3.22% | 2月決算・8月中間 |
| 29 | 5982 | マルゼン | 東証スタンダード | 3.21% | 2月決算・8月中間 |
| 30 | 8217 | オークワ | 東証プライム | 3.17% | 2月決算・8月中間 |
目立つのは、小売、サービス、繊維、食品、卸売、不動産など内需関連が多い点です。8月権利銘柄は景気敏感の大型製造業より、2月決算の消費関連企業が中心になりやすい構造があります。株主優待も絡むため、優待ランキングではTSIホールディングス、チヨダ、ディップ、バロックジャパンリミテッド、プリモグローバルホールディングスなどが上位に出やすくなります。
ただし、優待ランキングは「優待権利確定月」で区分される場合があります。配当権利月と優待権利月がずれる銘柄もあるため、優待目的で絞り込んだ銘柄をそのまま配当取り候補にするのは危険です。配当狙いでは、会社予想配当、中間・期末の内訳、権利確定基準日を別々に確認する必要があります。
上位銘柄に共通する配当政策と財務負担
配当方針の強化が利回りを押し上げる構図
高利回り銘柄の魅力は、株価に対する現金収入の大きさです。一方で、利回りが高い理由は大きく二つに分かれます。ひとつは企業が株主還元を強化して配当額を引き上げているケース、もうひとつは株価が下落して分母が小さくなっているケースです。前者は長期保有の候補になり得ますが、後者は減配リスクを伴うことがあります。
No.1は、配当性向50%、DOE6%を下限とし、累進配当を前提に年2回配当を行う方針を掲げています。DOEは自己資本に対してどれだけ配当を出すかを見る指標で、利益が一時的に変動しても一定の還元水準を保ちやすい反面、業績が想定を下回る局面では財務余力が問われます。高配当株を選ぶ際は、単年の配当額だけでなく、こうした還元方針の持続性を読むことが重要です。
ワキタは2026年2月期から2028年2月期まで、1株当たり配当金100円以上を掲げています。2027年2月期は年間100円予想で、中間50円、期末50円という配分です。ただし、2026年2月期の配当性向は143.3%と高水準でした。配当性向が100%を超える状態は、当期利益を上回る配当を出していることを意味します。資産やキャッシュに余裕があっても、長く続けば見直しの可能性を無視できません。
割安に見える銘柄ほど必要な業績確認
8月高配当銘柄にはPBR1倍割れも多く見られます。調査時点のデータでは、チヨダのPBRは0.66倍、グラファイトデザインは0.87倍、和田興産は0.44倍、エストラストは0.49倍、エスフーズは0.67倍でした。PBRの低さは資産面で割安に見える材料ですが、市場が収益性や成長性に慎重な評価をしているサインでもあります。
ディップは年間97円配当予想で利回り5%台に乗る一方、2026年2月期の配当性向は83.5%です。配当自体は過去の水準から増加傾向にありますが、1株利益に対する配当負担は軽くありません。人材サービス市場の求人需要、広告単価、DX関連投資の回収が想定通り進むかを確認する必要があります。
エーアイテイーは年間110円配当予想で、配当権利確定月は2月と8月です。中国・アジア物流に強みを持つ企業で、配当性向は70%台とされています。高配当としては魅力がありますが、国際物流は為替、海上運賃、荷動きに影響されます。配当方針と同時に、四半期ごとの営業利益率や通関・海上輸送の採算を見たい銘柄です。
オンワードホールディングスは、2027年2月期の中間配当16円、期末配当17円、年間33円を予想しています。同社は配当性向の目安を通期40%以上とし、業績連動の利益配分を基本方針にしています。アパレルは在庫評価、天候、消費マインドの影響を受けやすい業種です。利回りが高くても、月次売上や粗利率の確認を怠ると、権利落ち後の株価変動に巻き込まれやすくなります。
8月の上位銘柄は、単純な利回り順だけでなく「配当方針が明文化されているか」「配当性向が過度に高くないか」「PBRの低さが改善余地なのか構造問題なのか」で分けて考えるべきです。短期の配当取りなら値動きの管理、長期保有なら減配耐性と事業の再成長余地が焦点になります。
権利落ちとNISA受取方式の落とし穴
配当額以上に動く権利落ち日の株価
配当取りで最も見落とされやすいのが、権利落ち日の価格調整です。理論上、権利落ち日には配当額相当だけ株価が下がります。実際には需給、地合い、決算期待、優待人気が重なるため、配当額より大きく下がることも、反対に下げ幅が限定されることもあります。
8月末権利では、8月27日に買って28日に売れば配当権利だけは得られます。しかし、28日の寄り付きで中間配当以上に下落すれば、税引前の配当を含めても損失になる可能性があります。高利回り銘柄ほど権利取り需要で事前に株価が上がり、権利落ち後に需給が剥落する展開にも注意が必要です。
NISAで配当を非課税にする条件
NISAで国内上場株式を保有すれば、配当金が自動的にすべて非課税になるわけではありません。国税庁と日本証券業協会は、上場株式の配当金を非課税で受け取るには、証券会社経由で受け取る「株式数比例配分方式」を選ぶ必要があると説明しています。郵便局や銀行口座で受け取る方式では課税扱いになります。
2024年以降のNISAは、つみたて投資枠が年120万円、成長投資枠が年240万円、非課税保有限度額が1,800万円です。このうち個別株は主に成長投資枠で使います。配当狙いでNISA枠を使う場合は、損失が出ても特定口座の利益と損益通算できない点も重要です。利回りだけで枠を埋めるより、長く持てる業績と財務を備えた銘柄に絞る方が制度の利点を活かしやすくなります。
8月配当取りで実行したい確認手順
8月配当取りでは、まず8月27日の権利付き最終日と8月28日の権利落ち日をカレンダーに入れ、発注期限を明確にします。次に、年間配当利回りではなく、今回受け取る中間配当または期末配当の1株額を確認します。100株保有時の税引前配当額を計算し、想定される権利落ち幅と比較することが出発点です。
銘柄選びでは、利回り上位から機械的に買うのではなく、配当性向、DOE、累進配当の有無、過去の減配、PBR、四半期利益の進捗を並べて確認します。特に配当性向が高い企業は、増配が続いていても業績悪化時に減配余地が大きくなります。優待銘柄は、優待権利月と配当権利月が一致しているかも別途確認が必要です。
短期で配当を取りにいく投資と、NISAで長く配当を受け取る投資は別物です。前者は権利落ち後の売却ルール、後者は減配耐性と事業の継続性が中心になります。8月の高利回り株は候補が限られるからこそ、1銘柄に偏らず、業種と銘柄数を分散しながら選ぶことが現実的です。
参考資料:
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