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イラン情勢下で探る4月の外国人買いと日本株反発シナリオの核心

by 柴田 慎一
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はじめに

4月相場の焦点として語られやすいのが、新年度入りに合わせた海外マネーの日本株回帰です。ただし、2026年の4月は例年より条件が厳しめです。中東情勢の緊張で原油が急騰し、円相場も不安定で、日銀の追加利上げ観測まで重なっています。こうした局面では「4月は外国人が買う」という季節要因だけでは説明しきれません。

重要なのは、4月6日時点で確認できるデータがまだ3月最終週までに限られる点です。したがって、現時点で言えるのは「4月の外国人買いが始まった」との断定ではなく、海外勢が戻るための条件整理です。本稿では、財務省の週次フロー、日銀短観、イラン情勢をめぐる原油とエネルギー安全保障の情報をつなぎ、日本株反発の持続性を読み解きます。

海外勢フローの現在地

3月後半に強まった売り越し基調

もっとも重要なのは、4月入り直前の実需フローです。財務省が4月2日に公表した週次統計では、海外投資家による日本の「株式・投資ファンド持分」は、3月8日から14日が1兆7725億円の売り越し、3月15日から21日が2兆5110億円の売り越し、3月22日から28日が4兆4481億円の売り越しでした。3週連続で売り越し額が拡大しており、3月末時点の地合いは明確に慎重です。

この数字は、春先に海外勢が一方向に日本株を積み増していた状況とは言いにくいことを示します。4月相場で外国人買いが話題になりやすいのは事実ですが、少なくとも直近の観測データでは、彼らは日本株を積極的に拾うより、リスク量を落とす行動を選んでいました。4月入り後の週次統計はまだ公表されていないため、足元で買い転換が起きたかどうかは、4月6日時点では確認不能です。

外国人買いを左右する為替と金利の接点

海外勢が日本株に戻るとき、業績期待だけでなく、円相場と金融政策の見通しが大きく効きます。IMFの2026年対日4条協議を伝えたロイター報道では、イラン戦争が新たなリスク要因になっている一方、日本経済には底堅さがあり、日銀は中立金利に向けた段階的な利上げを続けるべきだとの評価が示されました。同報道では、市場が4月利上げを相応に織り込み、円が1ドル160円に接近するなかで介入警戒も高まっていると整理されています。

ここで日本株にとって厄介なのは、円安が輸出株には追い風でも、原油高と結びつくと日本全体ではコスト増になる点です。海外投資家から見れば、円安メリットだけを取りに行ける単純な相場ではありません。半導体や一部輸出関連に資金が向かっても、指数全体で買い越しに転じるには、資源高の悪影響が限定的だと判断できる材料が必要です。

イラン情勢が日本株に及ぼす経路

ホルムズ海峡と原油価格の波及経路

イラン情勢が日本株に重くのしかかる最大の経路は、ホルムズ海峡を通じたエネルギー供給不安です。米エネルギー情報局によれば、2025年上期にホルムズ海峡を通過した石油は日量2090万バレルで、世界の石油液体燃料消費の約2割、海上輸送される石油の4分の1に相当しました。さらに、その原油・コンデンセートの89%がアジア向けで、日本、中国、インド、韓国が主要な到着先です。

日本の脆弱性は輸入構造にも表れます。資源エネルギー庁の資料では、日本の原油調達は中東地域に約90%依存しています。このため、ホルムズ海峡の緊張が高まると、日本株ではまず原油高、物流費上昇、電力・化学・素材コスト増の連想が走りやすくなります。4月3日の国際原油市場では、ロイター配信記事ベースで北海ブレントが1バレル109.03ドル、WTIが111.54ドルまで上昇しました。株式市場が中東リスクを無視しにくい水準です。

需給不安を和らげる国内対策

もっとも、日本にまったく緩衝材がないわけではありません。資源エネルギー庁は4月2日に「中東情勢に関する対応室」を設置し、ガソリンやLPガスの安定供給へ向けて、必要に応じ国家備蓄の活用や元売りへの売り渡しを行える体制を示しました。同庁によると、2026年1月末時点の民間備蓄は石油換算で182日分です。短期的な物理不足がすぐ発生する局面ではない、という意味では市場の過度な悲観を和らげる材料です。

ただし、株式市場は現物不足より先に、企業収益の圧迫やインフレ再加速を織り込みます。日銀短観やIMFの評価が示す通り、国内需要そのものは崩れていませんが、原油高が長引けば、家計の実質購買力と企業のマージンの双方に逆風です。したがって、備蓄は「最悪シナリオの回避」には効いても、「積極的な外国人買いの復活」を単独で促す材料にはなりにくいと考えるべきです。

注意点・展望

今後の見極めで大切なのは、季節性より確認可能な変数を優先することです。第一に、原油価格が100ドル超で定着するのか、それとも地政学プレミアムが剥落するのかです。第二に、円相場が160円近辺で不安定化し、利上げや介入観測が株式の上値を抑えるのかどうかです。第三に、海外勢の週次フローが3月の大幅売り越しから縮小へ向かうのかです。

「4月の外国人買い」は、毎年の決まり文句として使うには危うい局面です。実際、4月6日時点で確認できる公表データは3月28日週までであり、そこでは海外勢の売り圧力が強まっていました。したがって、来週以降に日本株が底堅さを保つには、半導体など業績期待の強いセクターが指数を支えるだけでなく、原油と為替の不安が同時に落ち着く必要があります。逆に言えば、この2条件が満たされれば、4月後半にかけて海外マネーが戻る余地は十分にあります。

まとめ

4月の日本株を占ううえで、外国人買いへの期待は依然として重要です。しかし、2026年はイラン情勢が相場の前提を大きく変えています。3月後半の海外勢は大幅な売り越しで、4月入り後の買い転換はまだ確認できていません。現時点での結論は、「4月の外国人買いは未確認、ただし原油高の沈静化と円安不安の後退がそろえば再流入の可能性がある」です。来週の日本株は、指数の上げ下げそのものより、海外勢のフローとエネルギー価格の組み合わせを追うことが重要です。

参考資料:

柴田 慎一

海外市場・米国株

米国株・欧州株を中心に海外市場の動向を分析。グローバルな資金フローと各国の金融政策が日本市場に与える影響を追う。

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