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低PER低PBR株26社、反発相場で探る短期上昇余地と注意点

by 杉山 直樹
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7月相場で再浮上した割安株物色

7月3日の東京株式市場では、日経平均株価が反発し、日経平均プロフィルの終値は69,744円07銭、前日比1,010円92銭高でした。朝方には67,609円49銭まで下げた後、終盤に高値圏へ戻した点が重要です。下げを拒む動きが出たことで、急成長株だけでなく、低PER・低PBRの出遅れ銘柄にも再評価余地を探る動きが広がりました。

ただし、割安株の上昇は単純な「安いから買う」局面ではありません。PERは利益の持続性、PBRは資本効率への市場評価を映します。さらに、株価が下落基調のままなら割安に見えても需給悪化が続く場合があります。本稿では、7月3日時点で確認できる市場データと個別時系列を基に、低PER・低PBRかつ戻り足が見える26社を整理し、テクニカル面からの見極め方を解説します。

低PER・低PBR銘柄を選ぶ三重フィルター

低PER・低PBR株を探す際は、まず市場全体の温度を確認する必要があります。日経平均は7月3日に日中安値から大きく切り返しましたが、これは全銘柄が強いという意味ではありません。JPXのTOPIX説明では、TOPIXは浮動株調整後の時価総額加重指数です。日経平均が値がさ株に引っ張られやすい一方、TOPIXは市場全体の広がりを読む補助線になります。

今回の独自スクリーニングでは、3つの条件を重ねました。第1に、会社予想PERが市場平均より低め、または業種内で割安感が残ることです。第2に、PBRが1倍前後以下、もしくは資本効率改善で再評価が起きやすい水準にあることです。第3に、7月3日の株価が前日比で上昇し、6月下旬の安値圏から切り返す形を見せていることです。

Yahoo!ファイナンスの低PERランキングは7月3日18時40分更新で、全市場3,421件を対象にしていました。一方、低PBRランキングは6月5日18時40分更新で、3,813件を対象にしています。更新日が異なるため、低PBR側は候補探索の入口にとどめ、最終判断は個別銘柄の7月3日時系列で確認する必要があります。

PERとPBRを同時に見る理由

PERだけを見ると、一時的な利益増で割安に見える銘柄が混じります。例えば資源、海運、鉄鋼のような景気循環株では、利益のピーク局面でPERが低くなりやすいです。逆にPBRだけを見ると、ROEが低いまま資本が眠っている企業を拾ってしまうことがあります。低PERと低PBRが同時に並ぶ銘柄は魅力的ですが、利益の質と資本政策の両方を読む必要があります。

東証が資本コストや株価を意識した経営を促していることも、PBR1倍割れ銘柄を見るうえで欠かせない背景です。自社株買い、増配、政策保有株の縮減、事業ポートフォリオの見直しが進めば、PBRの修正が株価上昇の材料になります。ただし、発表済みの改善策が市場に織り込まれた後は、次の決算で実行力を確認されます。

チャートで確認する上昇トレンド

テクニカル面では、直近安値からの切り返し、前日高値の突破、出来高増加の3点を重視します。7月3日のように日経平均が大きく戻した日は、個別株も同時に上がりやすいです。そのため、単なる指数連動の反発なのか、個別に買いが入ったのかを分ける必要があります。

確認済みの時系列では、トヨタ自動車は7月3日に2,828円で引け、PER12.29倍、PBR0.92倍でした。6月24日の終値2,686円から戻しており、低PBRの大型株に押し目買いが入った形です。いすゞ自動車は2,314円、PER9.94倍、PBR1.07倍で、6月24日の2,146円から切り返しています。大型輸送用機器の中では、戻りの角度が相対的に明確です。

マツダは7月3日に1,140円で引け、PER7.99倍、PBR0.38倍でした。6月下旬以降は1,070円台から1,140円へ戻しており、低PBR株の典型的なリバウンド形です。SUBARUは2,515.5円、PER13.84倍、PBR0.65倍で、6月24日の2,375円から戻りました。日本製鉄は548.2円、PER13.02倍、PBR0.52倍で、7月2日に年初来安値を付けた直後の反発です。

この5銘柄に共通するのは、単に倍率が低いだけでなく、直近の売り圧力がいったん止まった点です。割安株投資では、この「下げ止まりの兆候」が重要です。PERやPBRが低くても、終値が連日で安値を更新している銘柄は、次の買い候補ではなく監視候補にとどめるべきです。

26社候補に映る業種分散と戻り足

今回の26社は、個別の材料株を追うというより、業種ごとの再評価余地を読むための候補群です。低PER・低PBR株は市場の主役が変わる局面でまとめて動きやすい一方、同じ割安株でも業種ごとに上昇の理由は異なります。自動車は為替と米国販売、鉄鋼は原料価格と価格転嫁、銀行は金利環境、海運は運賃市況と株主還元が焦点です。

分類候補銘柄見方
自動車・部品トヨタ自動車、いすゞ自動車、マツダ、SUBARU、ヤマハ発動機、アイシン、エイチワン、ミツバPBRの低さに加え、販売台数、為替、原価改善の確認が必要
鉄鋼・素材日本製鉄、神戸製鋼所、JFEホールディングス、合同製鐵、三菱ケミカルグループ、AGC景気敏感色が強く、戻り局面では需給改善が先行しやすい
エネルギー・石油INPEX、ENEOSホールディングス、出光興産資源価格、精製マージン、株主還元方針が評価軸
海運日本郵船、商船三井、川崎汽船低PERになりやすいが、運賃下振れ時の利益感応度が大きい
銀行・金融三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、りそなホールディングス、横浜フィナンシャルグループ、しずおかフィナンシャルグループ金利上昇局面の利ざや改善期待と与信費用のバランスが焦点

自動車・鉄鋼・海運の資本効率改善余地

自動車株は、低PBRが目立ちやすい業種です。特にマツダやSUBARUのようにPBRが1倍を大きく下回る銘柄では、販売見通しが悪化しない限り、戻り局面で買い直されやすい特徴があります。ただし、為替や米国関税、電動化投資の負担が利益率を圧迫する場合、低PBRは長く放置されます。チャート上は6月安値を割り込まないことが最低条件です。

鉄鋼株は、日本製鉄のようにPBR0.5倍台まで評価が下がると、短期的な売られ過ぎ修正が起こりやすくなります。神戸製鋼所、JFEホールディングス、合同製鐵も、業績の山谷を伴うため、PERの低さだけで判断してはいけません。価格転嫁、在庫循環、中国景気の影響を確認しながら、25日移動平均線を回復できるかを見る局面です。

海運株は、低PERランキングに顔を出しやすい典型的な循環株です。日本郵船、商船三井、川崎汽船は、配当利回りや自社株買いが注目される一方、運賃市況が悪化すれば利益予想が一気に変わります。割安に見える期間が長い業種でもあり、短期の戻りを狙うなら、直近高値を抜いた後の出来高持続を確認したいところです。

金融・素材・エネルギーの再評価余地

銀行株は、金利環境の変化がPBR修正の大きな材料になります。三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループは、国内金利上昇時に利ざや改善を織り込みやすい銘柄です。一方で、大手行はすでに相応の再評価が進んでいるため、横浜フィナンシャルグループやしずおかフィナンシャルグループのような地域金融の出遅れ感も見比べる必要があります。

素材では、三菱ケミカルグループやAGCのような総合素材・ガラス関連が、景気敏感株としての戻り候補になります。ここではPBRの低さだけでなく、事業再編や不採算領域の整理がどこまで利益率に効くかが焦点です。低PBRの背景が「資産を持つ企業」なのか、「稼ぐ力が弱い企業」なのかを分けて読む必要があります。

エネルギー株は、INPEX、ENEOSホールディングス、出光興産を候補に置きました。資源価格や為替の影響を受けやすい反面、キャッシュフローが厚い局面では株主還元の期待が高まります。石油元売りは精製マージンと在庫評価の変動が大きいため、短期反発だけでなく、四半期決算で利益の中身を確認することが欠かせません。

候補群全体を眺めると、半導体やAI関連の高バリュエーション株とは違い、利益の安定性と資本政策が評価の起点になります。上昇相場の中で主役交代が起きる場合、まず大型の低PBR株に資金が入り、その後に中型の低PER株へ広がる流れが一般的です。7月3日の反発は、その初動を確認する日として意味があります。

割安株投資で見落としやすい三つの罠

第一の罠は、低PERを利益成長の保証と誤解することです。PERが低い銘柄には、利益のピークアウトを市場が先に織り込んでいる場合があります。海運、鉄鋼、資源関連では特に注意が必要です。会社予想が下方修正されれば、PERは一夜で高くなります。

第二の罠は、PBR1倍割れを機械的に買うことです。PBRが低い企業には、資本効率の改善余地がある一方、ROEが低く、事業構造が重い企業も含まれます。東証の要請で開示姿勢は改善していますが、具体策が増配だけに偏る場合、持続的な再評価にはつながりにくいです。

第三の罠は、チャートの反発をトレンド転換と早合点することです。7月3日は指数の切り返しが強く、個別株も連動して上がりました。翌営業日以降に前日安値を割り込む銘柄は、まだ需給が整っていない可能性があります。買い増しを考えるなら、25日移動平均線の上で終値を維持できるか、出来高が減らずに上値を試せるかを確認したい局面です。

投資家が週明けに確認すべき価格帯

週明けに見るべきポイントは、7月3日の終値を基準にした押し目の深さです。トヨタなら2,800円近辺、いすゞなら2,250円台、マツダなら1,100円台前半、SUBARUなら2,400円台後半、日本製鉄なら540円近辺を割り込まずに推移できるかが焦点になります。反発の起点を守る銘柄ほど、低PER・低PBRの再評価が続きやすいです。

26社の候補群は、短期売買のリストであると同時に、次の決算期に向けた監視リストでもあります。割安株は一度動き出すと値幅が出る一方、業績修正や需給悪化には弱いです。投資家は倍率だけで判断せず、資本政策、業績見通し、直近安値の維持を組み合わせて、買う理由と撤退する価格を先に決めておくべきです。

参考資料:

杉山 直樹

市況・テクニカル分析

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