東京製鉄・霞ヶ関キャピタル・カシオが注目集める背景
はじめに
2026年4月3日の東京株式市場の前場では、東京製鉄、霞ヶ関キャピタル、カシオ計算機といった銘柄が投資家の注目を集めています。東京製鉄は約4年ぶりとなる鋼材全品種値上げの発表を受けて株価が上昇基調にあり、霞ヶ関キャピタルは堅調な四半期決算が評価されています。一方、カシオ計算機はアクティビスト(物言う株主)の退場後、自力改革の行方に市場の関心が集まっています。
本記事では、これら3銘柄の最新動向と株価を動かしている要因について、独自調査に基づいて解説します。
東京製鉄:約4年ぶりの鋼材全品種値上げが株価を後押し
値上げの概要とその背景
東京製鉄は2026年3月16日、4月契約分の鋼材価格を全品種で引き上げると発表しました。全面値上げは2022年5月契約以来、約4年ぶりのことです。値上げ幅は、H形鋼や異形棒鋼、厚板などの建設用途向け鋼材が1トンあたり5,000円、ホットコイルや溶融亜鉛めっきコイルなどの薄板系が同7,000円となっています。
同社は値上げの理由として、電炉での製鉄の主原料である鉄スクラップの価格高騰を挙げています。中東情勢の緊迫化に伴うエネルギーコスト上昇への懸念もあり、コスト転嫁が「喫緊の対応」であるとしています。
電炉メーカーとしてのポジション
東京製鉄は独立系電炉メーカーとして業界トップクラスのシェアを誇ります。電炉は鉄スクラップを主原料として鋼材を製造する方式で、カーボンニュートラルへの対応が求められるなか、世界的に電炉生産へのシフトが進んでいます。
2026年の鉄スクラップ需給は基本的にタイト(供給不足気味)な状態が続くと予想されており、世界各国の鉄鋼メーカーがスクラップの確保に動くなか、東京製鉄の原料調達力と価格転嫁能力が注目されています。
株価動向
東京製鉄の株価は3月27日に年初来高値となる1,659円を記録しており、4月に入ってもこの水準を上回る動きを見せています。2026年3月期第3四半期累計では、売上高が前年同期比20.8%減、営業利益が同65.2%減と厳しい数字でしたが、値上げによる収益改善期待が株価を押し上げている格好です。
霞ヶ関キャピタル:増収増益の好決算と成長戦略
第1四半期決算のポイント
霞ヶ関キャピタル(3498)は2026年8月期第1四半期(2025年9月〜11月)の決算を発表し、売上高が前年同期比86.5%増の284.65億円と大幅に伸長しました。経常利益は同3.2%増の29.74億円、純利益は同1.6%増の20.34億円と堅調な内容です。
通期では、売上高1,500億円(前期比55.4%増)、営業利益265億円(同40.0%増)、純利益165億円(同61.0%増)を見込んでおり、高成長路線を継続しています。
物流施設・不動産開発が成長の柱
同社は冷凍冷蔵倉庫の開発に注力しており、国内だけでなくASEAN(まずマレーシア)への展開も進めています。物流倉庫の発展形として「ファクトリー&ロジスティクスパーク」事業を開始するなど、事業領域の拡大を図っています。
第1期中期経営計画の目標を1年前倒しで達成した実績もあり、アナリストからは「強い買い」のコンセンサスで、平均目標株価は12,800円とされています。足元の株価は6,500円前後で推移しており、アナリスト評価との乖離が注目される状況です。
公募増資の影響と今後の注目点
一方、2025年11月に発表された公募増資(約390億円規模)の影響で株価は下落した経緯があり、希薄化懸念は完全には払拭されていません。投資家の間では、調達資金を成長投資にどこまで有効活用できるかが今後の焦点になっています。
カシオ計算機:アクティビスト退場後の自力改革に注目
オアシス・マネジメントの事実上の撤退
カシオ計算機(6952)をめぐっては、香港拠点のアクティビスト、オアシス・マネジメントが事実上の撤退を行ったことが大きなニュースとなりました。2025年7月に保有比率5.19%と開示して注目を集めましたが、2026年2月26日付の大量保有報告書では保有比率が0.01%まで低下しています。
オアシスが保有していた約7カ月間でカシオの株価は約38.6%上昇しており、アクティビストの参入が株価上昇を促した面もあります。
業績の回復基調
カシオ計算機は2026年3月期の連結純利益見通しを従来予想から20億円上方修正し、前期比2.1倍の170億円としています。この上方修正が好感され、1月30日には一時約4年ぶりの高値となる1,508.5円をつけました。
ただし、4月2日時点の株価は1,458.5円と高値からはやや調整しており、アクティビスト退場後に自力改革でどこまで企業価値を高められるかが問われています。
時計事業と構造改革の行方
カシオは時計業界で苦戦が続いているとの指摘もあり、G-SHOCKブランドの強化や新製品戦略が鍵を握ります。市場では「物言う株主退場でしぼむ期待」との見方もある一方、上方修正が示すように収益改善は着実に進んでいます。創業家支配の構造のなかでどのような改革が進むかに注目が集まっています。
注意点・展望
投資判断における注意点
これら3銘柄は業種もテーマも異なるため、それぞれ固有のリスク要因があります。東京製鉄は鉄スクラップ価格や建設需要の動向に左右されやすく、2026年度の鉄鋼需要は住宅着工の減少が見込まれている点に注意が必要です。霞ヶ関キャピタルは増資による希薄化リスクが残り、不動産市況の変動にも影響を受けます。カシオ計算機はアクティビスト退場後のガバナンス改革の進展度合いがカギとなります。
今後の見通し
電炉業界ではカーボンニュートラル対応の追い風が続く見通しで、東京製鉄は長期的な成長シナリオを描いています。霞ヶ関キャピタルは物流施設やデータセンター開発での成長余地が大きく、中期経営計画の達成状況が次の株価材料になるでしょう。カシオ計算機は次回決算で自力改革の進捗が確認できるかが注目されます。
まとめ
東京製鉄は約4年ぶりの全品種値上げと脱炭素関連の追い風を受け、年初来高値を更新する動きが続いています。霞ヶ関キャピタルは売上高86.5%増の好決算と高い成長目標が評価されていますが、増資の影響も注視が必要です。カシオ計算機はアクティビスト退場後の自力改革局面に入っており、業績回復の持続性が問われています。
個人投資家としては、それぞれの銘柄が持つ成長ドライバーとリスク要因を見極めたうえで、中長期的な視点で判断することが重要です。
参考資料:
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