10万円以下で狙う最高益×低PER割安株の選び方
10万円以下で狙う最高益・低PER株
2026年3月期決算の集計が進む中、上場企業の純利益は5年連続で過去最高を更新する見通しとなっています。企業業績が好調な局面では、まだ市場に十分評価されていない銘柄を探し出すことが、個人投資家にとって大きなチャンスになります。
特に注目したいのが、最低投資金額10万円以下で購入でき、今期の経常利益が過去最高を見込みながら、予想PER(株価収益率)が市場平均を下回る銘柄群です。SBI証券や楽天証券をはじめとするネット証券各社が売買手数料の無料化を打ち出し、2026年5月には三菱UFJ eスマート証券も無料化に踏み切る予定です。手数料を気にせず売買できる環境が整った今、少額資金からでも効率的なバリュー投資が可能になっています。
本記事では、10万円以下で購入可能な最高益・低PER銘柄の選定基準と、具体的な注目セクターの特徴、そして投資判断で見落としがちなリスクまでを詳しく解説します。
低PER×最高益銘柄が注目される背景
手数料無料化と新NISAが個人投資家の参入を後押し
少額資金で投資できる銘柄に対する個人投資家の関心は年々高まっています。その最大の要因が、ネット証券各社による売買手数料の無料化です。SBI証券は2023年9月に「ゼロ革命」として国内株式の売買手数料を完全無料化し、楽天証券やGMOクリック証券、moomoo証券も追随しています。どの取引金額でも手数料がかからないため、1日に複数回の売買を行う場合でもコスト負担はゼロです。
さらに、2024年にスタートした新NISA制度が3年目に入り、成長投資枠で年間240万円、つみたて投資枠で年間120万円、合計360万円までの非課税投資が可能です。10万円以下の銘柄であれば、1つの成長投資枠で20銘柄以上に分散投資することもできます。こうした制度面の整備が、少額投資の追い風になっています。
5年連続最高益の企業業績が下支え
2026年3月期の上場企業決算では、純利益が前年比で増加し、5年連続で過去最高を更新する見通しです。AI関連投資の需要拡大に加え、非中核事業の売却や資本効率改革により利益率が最高水準に高まっています。企業の財務余力が増しており、株主への利益還元や賃上げの追い風にもなっています。
こうした好業績の環境下で、経常利益が過去最高を更新する見込みでありながら、PERが市場平均を下回っている銘柄は、本来の企業価値に対して市場の評価が追いついていない可能性があります。決算データを丁寧に読み解くことで、こうした「見過ごされた好業績銘柄」を発掘できるのです。
スクリーニング条件と31社の全体像
3つの選定基準
今回注目するのは、以下の3条件を同時に満たす銘柄です。
第1条件:最低投資金額が10万円以下であること。 東証上場企業のうち、約1337銘柄がこの条件を満たしています。同じ予算でも高株価の銘柄に比べて株数を多く購入できるほか、買い付けや売却のタイミングを分散しやすいというメリットがあります。
第2条件:今期の経常利益が過去最高を見込んでいること。 経常利益は本業の利益に財務活動の損益を加えた指標で、企業の総合的な収益力を測る上で重要です。過去最高を更新する見込みであれば、事業の成長トレンドが続いていることを意味します。
第3条件:予想PERが15倍未満であること。 日本の上場企業の平均PERはおよそ15倍から17倍程度とされています。これを下回る銘柄は、利益水準に対して株価が相対的に割安であると判断できます。
この3条件で絞り込むと、31社が該当しました。業種は情報・通信、サービス、製造業など多岐にわたり、東証スタンダード市場の銘柄が中心となっています。
PER(株価収益率)の基本的な見方
PERは「株価÷1株当たり純利益(EPS)」で計算される指標です。たとえばPERが10倍であれば、現在の株価は1年分の利益の10倍で取引されていることを意味します。PER20倍の銘柄と比較すれば、10倍の銘柄は同じ利益水準に対して半額で購入できるということです。
ただし、PERは業種によって水準が大きく異なります。成長期待の高いIT・テクノロジー企業はPERが高くなりやすく、成熟産業ではPERが低くなる傾向があります。そのため、PERの比較は同業種間で行うことが基本です。
注目セクターの決算分析
情報・通信セクター:DX需要が業績を牽引
31社の中でも目立つのが、情報・通信セクターの銘柄です。デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が追い風となり、システム開発やITサービスを手がける企業の業績が好調に推移しています。
ソルクシーズ(4284)は2025年12月期に売上高約173億円(前期比8.2%増)、営業利益約14億円(同51.7%増)と大幅な増収増益を達成しました。2026年12月期も売上高180億円、純利益10億円と堅調な成長を見込んでいます。最低投資金額は約4万7000円台で、予想PERは9倍台と低水準にとどまっています。
ソフトマックス(3671)は医療DXの推進を背景に、電子カルテシステムの新規導入やリプレイス需要が堅調です。2025年12月期は売上高約69億円(前期比27.6%増)、営業利益約7.4億円(同11.8%増)と過去最高業績を更新しました。最低投資金額は約3万5000円台と、31社の中でも最も低い水準です。
サービスセクター:構造的な需要増の恩恵
サービス業からも注目銘柄が選出されています。ティア(2485)は名古屋を地盤とする葬祭大手で、中部地方から関東・関西へと事業を拡大しています。2025年9月期は売上高約215億円(前期比14.5%増)、営業利益約16億円(同14.3%増)と増収増益を達成しました。
2026年9月期の業績予想では、売上高237億円(前期比9.9%増)、営業利益約20億円(同23.8%増)と、さらなる成長を見込んでいます。高齢化社会の進展という構造的な需要増加を背景に、出店拡大と単価向上の両輪で業績を伸ばしている点が特徴です。最低投資金額は約4万9000円台で、PERは10倍台です。
FCE(9564)はDX推進事業を手がけ、2026年9月期の連結業績予想では売上高68億円(前期比11.5%増)、純利益は前期比30%超の増益を見込んでいます。第1四半期(2025年10月〜12月)の連結純利益は前年同期比31.4%増と好調な滑り出しを見せており、7期連続の最高益更新が視野に入っています。予想PERは約12倍台です。
成長企業:プロフェッショナルサービスの拡大
フィードフォースグループ(7068)はEC・マーケティング支援のDX事業を展開し、2026年5月期第3四半期は売上高約36億円(前年同期比12.1%増)、営業利益約14億円(同26.6%増)と全セグメントで増収増益を達成しています。プロフェッショナルサービス部門が特に好調で、DX事業の黒字化も実現しました。最低投資金額は約5万1000円台です。
少額×低PER投資のメリットと実践法
分散投資がしやすい
10万円以下の銘柄を活用すれば、限られた資金でも複数の銘柄に分散投資しやすくなります。たとえば50万円の投資資金があれば、10万円以下の銘柄を5〜10社に分散して保有できます。1つの銘柄に集中投資するリスクを軽減し、セクターや業種をまたいだポートフォリオを構築しやすいのです。
買い増し・ナンピンが容易
最低投資金額が低い銘柄は、株価が下落した局面で追加購入(ナンピン買い)を行いやすいという利点もあります。高株価の銘柄では1単元の購入にまとまった資金が必要ですが、数万円台の銘柄であれば、段階的に買い増しを行い取得単価を平準化する戦略を実行しやすくなります。
新NISAの成長投資枠との親和性
新NISAの成長投資枠は年間240万円まで非課税で投資できます。10万円以下の銘柄であれば、年間を通じて多数の銘柄を非課税枠内で購入でき、配当金や売却益にかかる税金(通常約20%)を節約できます。長期保有による複利効果を最大化するうえで、大きなメリットです。
低PER株の罠と業績予想・流動性リスク
バリュートラップに注意
低PERだからといって、必ずしも「お買い得」とは限りません。「バリュートラップ(割安の罠)」と呼ばれる現象には注意が必要です。これは、PERが低いにもかかわらず株価が一向に上昇しない状況を指します。
低PERの背景には、業績のさらなる悪化懸念や市場の構造的な変化、経営上の問題など、株価が低迷する合理的な理由が隠れている場合があります。PERが低いという一つの指標だけで投資判断を下すのではなく、売上高の成長率、営業利益率の推移、自己資本比率、キャッシュフローの状況など、複数の財務指標を組み合わせて多角的に分析することが重要です。
業績予想の前提条件を確認する
「今期最高益」はあくまで会社側の予想値に基づいています。為替レートや原材料価格、主要顧客の動向など、前提条件が変われば業績が下振れする可能性もあります。決算短信に記載されている業績予想の前提条件を確認し、達成の蓋然性を自分なりに評価することが大切です。
特に2026年は、米国の通商政策の変動や地政学リスクなど、外部環境の不確実性が高い状態が続いています。内需型の事業を主力とする企業は、こうした外部リスクの影響を受けにくい傾向がありますが、それでも四半期決算ごとに進捗率を確認し、計画どおりに推移しているかを定期的にチェックすることが望まれます。
流動性リスクへの留意
10万円以下の銘柄には東証スタンダード市場やグロース市場の小型株が多く含まれます。これらの銘柄は取引量(出来高)が少ない場合があり、売りたいときに希望する価格で売却できないリスクがあります。投資する前に、直近の平均出来高や売買代金を確認し、十分な流動性があるかを見極めましょう。
新NISA時代のPER15倍未満31社
ネット証券各社の手数料無料化と新NISA制度の拡充により、10万円以下の少額投資がかつてないほど有利な環境になっています。5年連続で最高益を更新する日本企業の中から、経常利益が過去最高でPERが15倍未満の銘柄をスクリーニングすると、情報・通信やサービスなど幅広いセクターから31社が浮上しました。
投資判断にあたっては、PERの低さだけに飛びつかず、売上成長率やキャッシュフロー、業績予想の前提条件まで確認することが不可欠です。バリュートラップや流動性リスクにも目を配りながら、四半期決算ごとに進捗を追うことで、少額から着実な資産形成を目指すことができるでしょう。
参考資料:
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