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イラン戦争終結期待と17分野成長戦略の投資機会

by 斎藤 裕也
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イラン情勢で乱高下する日経平均と17分野戦略

2026年4月1日、日経平均株価は前日比2675円高と歴代4位の上昇幅を記録しました。トランプ米大統領がイラン戦争の早期終結を示唆したことが引き金となり、短期マネーが一斉に流入した形です。しかし翌2日の演説では一転して好戦的な姿勢が前面に出て、株価は1276円安と急落しました。市場はイラン情勢に翻弄される展開が続いています。

こうした不安定な相場環境のなかで、中長期的な投資テーマとして改めて注目を集めているのが、高市政権が掲げる「17分野の成長戦略」です。本記事では、イラン戦争の最新動向と成長戦略17分野の投資機会について、独自に調査した情報をもとに解説します。

イラン戦争の現状と市場への影響

トランプ演説で揺れた株式市場

4月1日の日経平均急騰の背景には、トランプ大統領とイランのペゼシュキアン大統領の双方が3月31日に戦闘終結に前向きな発言をしたことがあります。市場では原油高騰の原因である中東情勢の緊張が和らぐとの観測が広がり、幅広い銘柄で買いが入りました。

しかし、4月2日のトランプ大統領の国民向け演説では、「今後2〜3週間にわたりイランを激しく攻撃する」という方針が示されました。市場が期待した即時停戦ではなく、むしろ軍事行動のエスカレーションを警告する内容でした。NRI(野村総合研究所)の分析によると、この演説で戦争の早期終結期待は再び後退したとされています。

ホルムズ海峡封鎖と原油価格の高止まり

イラン戦争の株式市場への影響を考えるうえで、最も重要なファクターがホルムズ海峡の封鎖問題です。2026年3月にイラン革命防衛隊がホルムズ海峡の事実上の封鎖を宣言して以降、世界の原油供給に大きな不安が生じています。

WTI原油先物価格は、攻撃前の1バレル67ドル程度から3月には一時120ドル近くまで急騰しました。4月1日時点でも102ドル台で推移しており、高止まりが続いています。トランプ大統領はホルムズ海峡の再開について「他国の問題だ」との姿勢を示しており、日本を含む各国が軍艦を派遣して安全を確保すべきだと主張しています。

このホルムズ海峡の封鎖が解除される見通しが立たない限り、原油価格の本格的な下落は難しいとの見方が市場では支配的です。

高市政権「17分野の成長戦略」とは

官民投資で目指す強い経済

高市早苗首相が率いる政権は、2025年11月に「日本成長戦略本部」を設置し、17の戦略分野を選定しました。この17分野は「危機管理投資」と「成長投資」の両面から、日本経済の供給力を強化することを目指しています。

2026年3月10日に開催された日本成長戦略会議(第3回)では、17分野の中から61の製品・技術が優先投資対象として選定されました。さらに、そのうち27品目には具体的な「官民投資ロードマップ」の素案が提示されています。

17分野の全体像

政府が選定した17の戦略分野は、以下のカテゴリーに分類されます。

先端技術・デジタル系として、AI・半導体、量子技術、情報通信、デジタル・サイバーセキュリティがあります。特にAI・半導体分野では、国内半導体の売上高を2030年に15兆円、2040年に40兆円とする目標が掲げられています。

産業・製造系には、造船、マテリアル(重要鉱物・部素材)、防衛産業が含まれます。造船業は「海洋国家日本の戦略インフラ」として再生が図られています。

エネルギー・資源系では、資源・エネルギー安全保障・GX、フュージョンエネルギー(核融合)が注目分野です。イラン戦争によるエネルギー安全保障の重要性が再認識され、この分野への投資加速が期待されています。

ライフサイエンス系として、創薬・先端医療、合成生物学・バイオ、フードテックがあります。

フロンティア系には、航空・宇宙、海洋が含まれ、海洋分野では対中依存度の高いレアアースの海底採掘が注目されています。

このほか、防災・国土強靱化、コンテンツの分野も戦略分野として位置づけられています。

具体化が進む注目分野

野村證券の分析によると、17分野のなかで特に具体化が進んでいるのがレアアースとAIロボットの2分野です。

レアアースについては、中国への依存リスクを低減するため、国内での海底資源開発が本格化しつつあります。AIロボット(フィジカルAI)は、先行27品目のロードマップにも含まれており、製造業の人手不足解消と生産性向上の切り札として位置づけられています。

投資家が注目すべきポイント

イラン情勢と成長戦略の交差点

イラン戦争の長期化は、エネルギー安全保障の重要性を改めて浮き彫りにしています。高市政権の17分野のうち「資源・エネルギー安全保障・GX」や「フュージョンエネルギー」は、まさにこうした地政学リスクへの対応策でもあります。

第一生命経済研究所の分析では、17分野の選定について「安全保障面の重要性は認められるが、市場創出力との両立が課題」との指摘もあります。投資家としては、政策テーマに乗る銘柄を選定する際、実際の市場規模や事業化のスピードを冷静に見極める必要があります。

乱高下相場での投資姿勢

4月第1週の日経平均は、1日に2675円高、2日に1276円安、4日にも249円安と、大きな値動きを繰り返しました。来週の予想レンジも5万〜5万5000円と広く、ボラティリティの高い相場が続く見通しです。

短期的にはイラン情勢やトランプ大統領の発言に一喜一憂する展開が避けられません。しかし、成長戦略17分野に関連する銘柄は、政府の予算措置(2025年度補正予算で6.4兆円)に裏打ちされた中長期テーマです。短期の相場変動に惑わされず、官民投資ロードマップの進捗を追いながらポジションを構築する姿勢が求められます。

イラン戦争不透明下の17分野投資戦略

イラン戦争の終結時期は依然として不透明です。トランプ大統領は2〜3週間での終結を示唆していますが、ホルムズ海峡の封鎖解除を含めた完全な正常化には時間がかかるとの見方が支配的です。株式市場は引き続き、中東情勢のヘッドラインに左右される展開が想定されます。

一方、高市政権の17分野成長戦略は、夏にまとめられる「成長戦略」に向けて具体化が進んでいます。AI・半導体、レアアース、AIロボットなどの分野では、官民投資ロードマップに基づく予算配分が本格化する見込みです。短期的な相場の乱高下のなかでも、こうした政策テーマを軸にした中長期の投資戦略を検討する価値は高いといえます。

参考資料:

斎藤 裕也

テーマ株・材料分析

テーマ株・材料株の発掘と分析を得意とする。企業の IR 情報と業界動向を結びつけ、投資家目線で銘柄の「次の一手」を読む。

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