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良品計画が経常利益16%上方修正、海外好調で3期連続最高益に

by 前田 千尋
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良品計画880億円上方修正の背景

良品計画(東証プライム: 7453)は2026年4月10日、2026年8月期第2四半期(中間期)の連結決算を発表するとともに、通期の業績予想を大幅に上方修正しました。経常利益は従来予想の760億円から880億円へと約16%引き上げられ、3期連続で過去最高益を更新する見通しです。

この好調な業績の背景には、海外事業におけるスキンケア商品の急成長、自社生産の強化による原価低減、そして国内外での積極的な出店戦略があります。さらに、年間配当も1株あたり4円の増額が発表され、株主還元の姿勢も一段と強まっています。本記事では、良品計画の最新決算の詳細と成長ドライバーを掘り下げ、今後の展望について解説します。

中間決算の概要と上方修正の内容

上半期は全利益段階で大幅増益

2026年8月期の上半期(2025年9月~2026年2月)の連結業績は、営業収益が4,385億円(前年同期比14.8%増)、営業利益が450億円(同24.8%増)、経常利益が468億円(同35.5%増)、親会社株主に帰属する純利益が342億円(同34.5%増)でした。すべての利益段階で2桁の増益を達成し、特に経常利益は35.5%増と際立った伸びを示しています。

営業利益率は10.3%に達しました。良品計画が2026年8月期から2028年8月期までの3カ年計画で掲げた「営業利益率10%」の目標を、初年度の上半期で早くもクリアした格好です。売上成長に加えて、自社生産の強化による原価低減や販管費比率の低下が収益力の向上に大きく寄与しています。

通期予想の上方修正幅

上半期の好業績を受けて、良品計画は2026年8月期通期の連結業績予想を以下のように修正しました。

  • 営業収益: 8,870億円(前期比13.0%増)
  • 営業利益: 890億円(同20.5%増)
  • 経常利益: 880億円(同21.7%増)← 従来予想760億円から約16%引き上げ
  • 純利益: 620億円(同21.9%増)← 従来予想530億円から約17%引き上げ

これにより、営業利益・経常利益・純利益のいずれも3期連続の最高益更新が確実視されています。上方修正の主な理由として、海外事業の想定以上の好調推移と、為替の円安効果が挙げられています。

海外事業の急成長がけん引

東アジア事業の力強い拡大

良品計画の成長エンジンとなっているのが海外事業です。上半期の海外事業全体で営業収益が前年同期比23.0%増、営業利益が同28.6%増と、国内事業を大きく上回るペースで拡大しています。

東アジア事業の営業収益は1,360億円(前年同期比23.3%増)、セグメント利益は275億円(同29.0%増)に達しました。中国大陸では基礎化粧品やヘアケアなどの生活雑貨カテゴリーが販売を押し上げ、台湾・香港・韓国の各市場でも増収増益を達成しています。

東南アジア・オセアニアの高成長

東南アジア・オセアニア事業はさらに高い成長率を記録し、営業収益は331億円(前年同期比35.4%増)に達しています。マネジメント体制の強化や積極的な新規出店に加え、ヘルス&ビューティーカテゴリーの売上拡大が目覚ましい勢いを見せています。

スキンケア商品がグローバル成長の柱に

良品計画の海外成長を語るうえで欠かせない存在がスキンケア商品です。Bloombergは無印良品のスキンケアを「新たな成長エンジン」と報じており、その存在感は急速に増しています。

国内では「発酵導入美容液」などのヒット商品がけん引し、ヘルス&ビューティー部門の国内売上高は1,000億円を突破しました。これは国内売上全体の約22%を占めており、2年前と比較して構成比が5ポイント上昇しています。

海外展開にも大きな可能性が広がっています。日本企画のスキンケア商品は中国、韓国、ベトナム、マレーシアなど9カ国・地域で販売を開始しました。海外の消費者がSNSを通じて日本国内での高評価を目にすることで、現地発売前から期待が高まる好循環が生まれているとされています。化粧品は消費者に定期的な来店を促す効果があり、衣料品や生活雑貨の「ついで買い」につながるため、客単価の引き上げや来店頻度の向上にも貢献しています。

収益構造の改善と国内事業の堅調さ

自社生産の強化で粗利率が改善

今回の利益急拡大を支える構造的な要因が、自社生産の強化を通じた原価低減です。良品計画は生産体制の内製化を段階的に推進しており、外部委託コストの削減と品質管理の向上を同時に実現しています。値下げの抑制とあわせて売上総利益率(粗利率)が改善し、売上の伸びを大きく上回るペースで利益が拡大する収益構造が定着しつつあります。

この取り組みは一時的なコスト削減ではなく、中長期にわたって利益率の底上げにつながる構造改革として評価できます。

国内事業も安定成長を維持

国内事業の上半期業績は、営業収益が2,443億円(前年同期比8.1%増)、セグメント利益が274億円(同14.2%増)でした。直営既存店およびオンラインストアの売上は前年比103.7%、全店ベースでは109.6%と着実な成長を続けています。

海外事業ほどの派手な伸びはありませんが、国内でも生活圏への新規出店と既存店の安定成長が両立しています。ヘルス&ビューティーカテゴリーの構成比上昇が利益率改善に貢献しており、国内事業の収益の質は着実に向上しています。

配当増額と株主還元

年間配当32円へ引き上げ

業績の上方修正にともない、良品計画は年間配当予想を1株あたり28円から32円へと4円引き上げました。良品計画は2025年9月1日に1株を2株とする株式分割を実施しています。分割調整後の前期実績は25円であり、今期の32円は前期比で28%の大幅増配です。

良品計画は連結配当性向30%を基準とした配当方針を掲げています。今回の増配は業績の上振れに連動したものであり、利益成長と株主還元が歩調をあわせている点は評価できます。内部留保については新規出店や既存店改装、新規事業への投資に充当し、持続的な成長基盤の構築に活用する方針です。

決算発表後の市場反応

決算発表当日の4月10日、良品計画の株価は前日比146円高の3,750円(+4.05%)で取引を終えました。アナリストのコンセンサス評価は「買い」で、平均目標株価は3,885円とされています。上方修正の内容は市場におおむね好感されており、業績のモメンタムが続く限りさらなる上値余地を探る展開が想定されます。

中東情勢・為替リスクと3兆円目標

リスク要因への目配り

好調な業績を享受する一方で、注意すべきリスク要因も存在します。良品計画自身が決算資料で言及しているように、中東情勢の不安定化が消費者マインドに影響を与える可能性があります。また、海外売上比率の上昇にともない、為替変動の影響が一段と大きくなっています。足元の円安は追い風ですが、円高に転じた場合は円建て業績の下押し要因となりえます。

海外でのスキンケア事業はまだ拡大の初期段階にあり、各国の規制対応やブランド認知の浸透には時間を要する可能性もあります。

2030年に売上高3兆円を目指す長期ビジョン

良品計画は中期経営計画で2030年に売上高3兆円、全世界の店舗数2,500店を目標として掲げています。2026年2月末時点の全世界の店舗数は1,460店舗に達しており、ここから4年半で約1,000店の純増が必要です。国内では年間純増100店、中国で年50店、その他アジアで年30店のペースを想定しています。

「地域密着型の個店経営」を軸に、店舗の大型化とスキンケアを中心としたヘルス&ビューティー領域のグローバル展開が、中長期の成長を左右する重要なカギとなるでしょう。

スキンケア海外展開と成長評価軸

良品計画の2026年8月期中間決算は、海外事業の力強い成長とスキンケア商品の躍進、自社生産による収益構造の改善が一体となり、過去最高益を大幅に更新する内容でした。通期の経常利益予想を16%上方修正して880億円とし、配当も4円増額の年間32円とするなど、業績面・株主還元面の両方でポジティブな材料が揃っています。

今後は2030年の売上高3兆円という大目標に向けて、海外でのスキンケア事業の本格展開と店舗網拡大がどこまで加速するかが焦点です。中東情勢や為替変動といった外部リスクには留意が必要ですが、収益構造の改善が着実に進む良品計画の成長ストーリーは引き続き注目に値するといえるでしょう。

参考資料:

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前田 千尋

企業決算・財務分析

企業決算を読み解き、業績の変化点をいち早く察知する。財務諸表の行間から企業の「次の一手」を導き出す決算分析の専門家。

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