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27年3月期に最高益更新が見込まれる39銘柄の全容

by 前田 千尋
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はじめに

2026年4月下旬から3月期決算企業の決算発表が本格化しています。4月30日までに決算を終えた約250社の中から、2027年3月期(以下、27年3月期)に経常利益が過去最高益を更新し、かつ前期比5%以上の伸びを見込む企業が39社確認されました。

こうした最高益銘柄への注目は、ゴールデンウィーク明けの決算発表後半戦に向けた投資判断の重要な手がかりとなります。2026年3月期の上場企業全体の純利益合計は約54兆2,877億円に達し、6年連続で過去最高を更新する見通しです。AI関連投資の拡大や銀行業の利ざや改善など構造的な追い風を受ける中、27年3月期も引き続き最高益を更新する企業が相次いでいます。

本記事では、最高益更新が見込まれる39社の業種別の傾向や代表的な銘柄の分析を通じて、決算シーズン後半に向けた投資の着眼点を整理します。

AI半導体関連が最高益銘柄の主役に

アドバンテストの圧倒的な存在感

27年3月期の最高益銘柄群の中でも、AI半導体関連企業の勢いは際立っています。半導体試験装置大手のアドバンテストは、連結純利益が前期比24%増の4,655億円となる見通しで、3年連続の最高益更新を見込んでいます。売上高は26%増の1兆4,200億円、営業利益も26%増の6,275億円を予想しています。

同社の強みは、AI向け半導体の試験装置市場で圧倒的なシェアを確保している点にあります。26年3月期の試験装置市場におけるシェアは65%に達し、前年から7ポイント上昇しました。世界のテック大手がAI向けデータセンターへの投資を拡大する中、高性能半導体の需要が急増しており、試験装置メーカーとしてその恩恵を最も受けています。さらに同社は、28〜29年には年1万台規模への生産拡大方針を打ち出しており、成長の持続性も示唆されています。

村田製作所と電子部品の追い風

電子部品大手の村田製作所も27年3月期に純利益25%増の2,930億円を見込み、最高益更新が期待されています。売上高は7%増の1兆9,600億円、営業利益は35%増の3,800億円を予想しています。

成長のけん引役はAIサーバー向けの電子部品です。世界的なデータセンター建設の加速に伴い、積層セラミックコンデンサー(MLCC)を中心としたサーバー向け部品の需要が急拡大しています。同社は2028年3月期までの2年間でMLCCに約800億円の追加投資を実施し、島根県の工場を中心に生産能力を現状から10〜15%引き上げる計画を発表しています。

山洋電気のFA・ロボット関連需要

サーボモータや冷却ファンを手がける山洋電気も、27年3月期に純利益38.6%増の120億円を見込み、4期ぶりの最高益更新を予想しています。売上高は20%増の1,288億5,000万円、営業利益は49.6%増の162億9,000万円と大幅な増収増益です。

AI関連の設備投資が本格化する中、半導体製造装置やウエハー搬送ロボット向けサーボシステムの需要が急拡大しています。加えて、通信装置やロボット向けのFA市場からの需要回復も利益成長を支えています。

大手商社の好業績と資源・非資源の二極化

三菱商事の資源事業回復

大手総合商社の中でも、三菱商事は27年3月期に連結純利益が前期比37%増の1兆1,000億円と、1兆円台への復帰を見込む強気の予想を示しました。4期ぶりの最終増益であり、過去最高益(23年3月期の1兆1,806億円)に次ぐ水準です。

成長の原動力はエネルギー事業です。カナダでのLNG生産事業の本格稼働や、天然ガス開発を手がける米エーソンの買収効果が利益を大きく押し上げています。銅をはじめとする資源価格の上昇も追い風となっています。

伊藤忠商事の非資源けん引

伊藤忠商事は27年3月期に純利益6%増の9,500億円を予想し、3年連続の最高益更新を見込んでいます。注目すべきは、全8事業部門すべてで増益を見込んでいる点です。

同社の強みは非資源分野にあります。機械事業では日立建機への出資比率引き上げ効果で約240億円の利益増加を計画しているほか、繊維、食品、金属事業も堅調に推移しています。市場予想の平均(9,419億円)を上回る見通しを示したことで、発表後の株価は5%上昇しました。年間配当は1株あたり44円、総還元性向は64%を見込み、300億円超の自社株買いも実施する方針です。

住友商事・丸紅も好調を維持

住友商事は27年3月期の純利益が前期比4.9%増の6,300億円を予想しています。丸紅も中期経営戦略「GC2027」の下で累進配当を継続しつつ、総還元性向40%を目安に機動的な自社株買いを実施する方針を打ち出しています。大手5商社は全社増配を達成しており、商社セクター全体として堅調な業績が続いています。

ITソリューション・電機セクターの躍進

日立製作所のDX需要取り込み

日立製作所は27年3月期の連結純利益が6%増の8,500億円と、2期連続の最高益更新を予想しています。売上収益は5%増の11兆1,000億円、調整後営業利益は10%増の1兆3,150億円を見込んでいます。

さらに注目を集めたのは、5,000億円を上限とする大規模な自社株買いの発表です。発行済み株式総数の3.56%に相当する規模で、株主還元の積極姿勢が鮮明になっています。

NECの利益成長が示すDXの深化

NECは26年3月期に純利益が54%増の2,702億円に達し、2期連続の最高益を更新しました。DX支援サービス「BlueStellar」が政府向けを中心に好調で、航空宇宙・防衛事業も利益成長に寄与しました。年間配当は6円増額の38円としています。27年3月期については売上収益が2%減の3兆5,000億円を見込むなど慎重な姿勢ですが、DX需要の構造的な拡大は中長期的な利益基盤として機能する見通しです。

最高益銘柄に共通するテーマと選別のポイント

3つの構造的テーマ

27年3月期の最高益銘柄39社を俯瞰すると、大きく3つの構造的テーマが浮かび上がります。

第一に、AI関連投資の波及効果です。アドバンテストの試験装置、村田製作所のMLCC、山洋電気のサーボモータといった具合に、AI半導体の製造工程の各段階で需要が拡大しています。この波及効果は当面続くと見られています。

第二に、資源価格の安定的な上昇です。大手商社の利益回復を支えるLNG、銅、天然ガスなどの価格上昇は、世界的なエネルギー需要の構造変化を反映しています。

第三に、DX・デジタル化の深化です。日立やNECの好業績は、企業のデジタル変革が一過性のブームではなく、構造的な需要として定着しつつあることを示唆しています。

増益率だけでなく「質」を見極める

最高益銘柄への投資を検討する際に重要なのは、増益率の大きさだけでなく利益成長の「質」を見極めることです。一時的な特殊要因による増益なのか、事業構造の変化に根ざした持続的な成長なのかを区別する必要があります。

たとえば、アドバンテストのようにAI半導体市場でシェアを拡大しながら生産能力も増強している企業は、利益成長の持続性が高いと判断できます。一方で、前期の一時的な損失からの反動増が増益率を押し上げているケースでは、翌期以降の利益水準を慎重に見定める必要があります。

注意点・展望

決算後半戦での注目点

4月30日時点で決算発表を終えた約250社は3月期決算企業全体の一部に過ぎません。5月中旬にかけて残りの企業の発表が集中するため、最高益銘柄のリストはさらに拡大する可能性があります。

ただし、注意すべきリスク要因も存在します。米国の通商政策の不透明感は製造業を中心に企業の業績見通しに影を落としており、為替相場の変動も輸出関連企業の利益を左右します。26年3月期は米国の高関税政策のマイナス影響が想定より小さかったものの、27年3月期において同様の結果が保証されるわけではありません。

業績予想の保守性を見抜く

日本企業の業績予想は一般的に保守的な傾向があります。期初予想が低めに設定され、期中に上方修正されるパターンは珍しくありません。とくに通商政策や為替などの外部環境に不透明感がある局面では、企業側が慎重な見通しを出しやすくなります。過去の修正パターンと照らし合わせながら、実態的な利益水準を推定することが重要です。

まとめ

27年3月期の最高益銘柄39社は、AI半導体関連、大手商社、ITソリューションという3つの成長テーマを軸に構成されています。アドバンテストの試験装置シェア65%、三菱商事の純利益1兆1,000億円予想、伊藤忠商事の3年連続最高益など、各分野のリーディングカンパニーが順調に業績を伸ばしています。

ゴールデンウィーク明けの決算発表後半戦では、さらに多くの最高益銘柄が浮上する可能性があります。投資判断においては、単なる増益率のランキングにとどまらず、利益成長を支える事業構造の変化やテーマの持続性に注目することが、中長期的なリターンにつながる着眼点となるでしょう。

参考資料:

前田 千尋

企業決算・財務分析

企業決算を読み解き、業績の変化点をいち早く察知する。財務諸表の行間から企業の「次の一手」を導き出す決算分析の専門家。

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