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4月7日の東京株見通し 中東リスク下で広がる半導体株の新潮流を読む

by 野村 康平
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はじめに

4月6日の東京株式市場では、日経平均株価が前営業日比290.19円高の5万3413.68円で引けました。日経指数の公式データでは、上昇寄与のうちテクノロジー部門だけで224.29円を押し上げており、主導役が半導体周辺にあることが確認できます。もっとも、今回の見どころは単なる半導体高ではありません。公開資料をつなぐと、物色の軸が先端ロジック一辺倒から、HBM、高度実装、テスト工程、国内AI基盤、パワー半導体へ広がっていることが見えてきます。

“魔のマンデー”回避の意味

4月6日の反発を支えた指数構造

日経指数の公式データによると、4月6日の日経平均の売買代金は4.19兆円、値上がり銘柄数は110、値下がりは114でした。全面高ではないのに指数が上がったのは、指数への影響力が大きい銘柄に買いが集中したからです。上位構成銘柄ではアドバンテストのウエートが9.91%、東京エレクトロンが7.22%を占めます。4月7日午前9時50分時点でも日経の半導体株指数は前日比0.68%高で推移しており、戻りが翌日も続いていることが分かります。

ここから読み取れるのは、資金が市場全体へ拡散しているのではなく、「指数への波及力が大きく、業績の裏付けを見込みやすい銘柄」に絞って戻っているということです。相場が不安定なほど、この選別色は強まります。

地合い改善と中期強気の下支え

外部環境には逆風も残ります。ロイター調査では、中東情勢による原油高がインフレと金融政策の読みを難しくし、日銀も6月末までに政策金利を1.00%へ引き上げるとの見方が中心でした。一方で、別のロイター調査では日経平均の年央予想中央値が5万7500、2027年半ばには6万0750という見方も示されています。4月6日の反発はリスク後退の確認ではなく、リスクが残っても何を買うかという選別が半導体へ集中した局面とみるのが自然です。

半導体株に生まれている新潮流

HBM・先端実装・テスト工程の主役化

世界の半導体需要はなお高水準です。WSTSによると、2025年の世界半導体売上高は7956億ドルで前年比26.2%増となり、用途別ではコンピューター向けが60%以上伸びました。TSMCの2025年10〜12月期売上高は1兆460.9億台湾ドルで前年同期比20.5%増、3ナノ品はウエハー売上高の28%、7ナノ以下の先端品全体では77%を占めます。2026年1月売上高も4012.6億台湾ドルで前年同月比36.8%増でした。先端ロジック需要はなお強いと言えます。

ただ、公開資料を並べると成長の重心はメモリと実装へ移っています。Micronは2026年2Q売上高が238.6億ドルと過去最高を更新し、強い需要環境と供給逼迫を示しました。加えて、NVIDIA Vera Rubin向けの36GB 12段HBM4を量産中と公表しています。東京エレクトロンも、AIサーバー向け高性能デバイスのWFE市場は2030年に向け年平均10%成長が見込めると説明し、プローバ事業は2027年度に1000億円超、ボンダー・レーザー関連は2030年までの累計で5000億円超を見込むとしました。主役が前工程の微細化だけでなく、後工程を含む実装・検査へ広がっていることが分かります。

国内AI基盤とパワー半導体の浮上

もう一つの変化は、半導体がデータセンターの「演算」だけでなく、「電力」と「国内設置能力」のテーマに接続し始めたことです。マイクロソフトは4月3日、日本で2026年から2029年までに100億ドル、約1兆6000億円を投じる計画を公表し、さくらインターネットやソフトバンクと連携した国内AI基盤の拡充を打ち出しました。データ主権を重視するほど、GPU基盤だけでなく、電源、冷却、通信、保守まで評価対象が広がります。

ここで浮上するのがパワー半導体です。Renesasは2026年2月、GlobalFoundriesとの複数十億ドル規模の提携拡大を発表し、スマート車両や次世代産業機器向けの供給体制強化を打ち出しました。加えて、甲府工場では300ミリのパワー半導体専用ラインを再稼働させ、量産開始による生産能力倍増を目指しています。AIインフラの拡大は、高効率電源やGaNを含む電力変換領域にも恩恵を広げるため、半導体の新潮流は「AI関連の中で何が買われるか」の再定義だと言えます。

注意点と今後の見通し

もちろん、半導体株なら何でも買える局面ではありません。WSTSの2025年実績では、日本地域の半導体売上高は前年比4.3%減でした。東京エレクトロンも2025年7月時点で、2026年前半のWFE市場成長率を前年比マイナス5%へ引き下げています。HBM需要が強くても、歩留まり改善や投資の平準化で発注時期がずれる可能性があるためです。半導体株内部では、実装・検査・電源まで含む裾野型の銘柄群が相対優位を保てるかが焦点になります。

まとめ

4月6日に東京市場が週明けの急落を回避できた背景には、日経平均を押し上げる半導体関連への選別買いがありました。重要なのは、その物色が従来型のAI半導体一本ではなく、HBM、先端実装、検査工程、国内AI基盤、パワー半導体へと広がっていることです。

4月7日の視点では、日経平均そのものよりも、半導体のどの領域に資金が向かうかを見るほうが実践的です。指数寄与の大きい値がさ株だけでなく、AIインフラの裾野で恩恵を受ける銘柄群へ物色が拡散するなら、今回の戻りは単なる自律反発ではなく、新しい相場の入口と位置づけられます。

参考資料:

野村 康平

マクロ経済・為替・債券

為替・債券・コモディティ市場を横断的にウォッチし、マクロ経済の変動が株式市場に与えるインパクトを分析する。

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