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日本株はイラン情勢と決算発表の狭間で様子見局面へ

by 野村 康平
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日経平均5万3123円と原油高警戒

2026年4月第1週の日経平均株価は、先週末比249.58円安(−0.5%)の53,123.49円で取引を終了しました。週明けの3月30日から4月2日にかけて、連日で日中値幅が1,000円を上回るボラティリティの高い相場展開が続き、投資家の神経を大きく揺さぶる1週間となりました。

背景には、長期化するイラン情勢と、それに伴う原油価格の高止まりがあります。一方で、来週からは2月期末企業の決算発表が本格化し、ファーストリテイリングやイオンなど、日経平均への寄与度が高い銘柄の業績が注目されます。本記事では、今週の振り返りとともに、来週以降の株式市場で注目すべきポイントを整理します。

イラン情勢と市場への波及

ルビオ国務長官の「2〜4週間」発言

今週の株式市場に大きな影響を与えたのは、ルビオ米国務長官の発言でした。3月27日にパリ郊外で開催されたG7外相会合の後、ルビオ長官は「対イラン軍事作戦は数カ月ではなく数週間で終結する」との見通しを示しました。具体的には「あと2週間から4週間」という時間軸に言及し、地上部隊を投入することなく目標を達成できるとも主張しています。

この発言により、市場では紛争の早期終結期待と、長期化への警戒感が交錯する展開となりました。トランプ大統領がイランのエネルギー施設や発電所への攻撃の可能性を警告したことも、週初の急落を招いた要因です。

原油価格の高止まりと企業業績への影響

WTI原油先物は4月1日時点で1バレル=102ドル台で推移し、4月2日にはトランプ大統領の「極めて強力な攻撃」発言を受けて急騰、一時114ドル近辺まで上昇しました。攻撃前と比較して約30%の上昇となっており、ホルムズ海峡を通過するエネルギー供給の混乱が長期化するとの懸念が価格を押し上げています。

この原油高は日本企業の業績に直接影響を与えます。燃料費や運送費の上昇に加え、ナフサ由来製品の仕入価格上昇が製造業を圧迫する構図です。国内化学メーカーの一部ではナフサ不足によりエチレン製造設備の減産を開始しており、川下産業への波及も懸念されています。野村総合研究所の試算によれば、原油価格が倍増した場合、勤労者世帯の支出は平均年5万円程度増加するとされ、消費マインドの冷え込みも無視できません。

来週注目の2月期決算発表

主要企業の発表スケジュール

来週は2月末決算企業の決算発表が本格化します。特に注目度の高い銘柄が集中しているのが4月9日(水)と10日(木)です。

4月8日(火)にはサイゼリヤが決算発表を予定しています。海外展開の加速が注目される同社の業績動向は、外食セクター全体の先行指標として市場参加者の関心を集めます。

4月9日(水)はセブン&アイ・ホールディングス、イオン、ファーストリテイリングなど、小売セクターの大型銘柄が集中します。中でもファーストリテイリングは日経平均への寄与度が極めて高く、決算内容次第で指数全体を大きく動かす可能性があります。イオンについては、2026年2月期第3四半期までの累計で営業収益7兆7,494億円(前年同期比103.7%)、営業利益1,447億円(同123.1%増)と過去最高を更新しており、通期見通しの上振れ余地が焦点です。

4月10日(木)にはビックカメラ、良品計画、安川電機などが控えています。安川電機は設備投資関連の代表銘柄として、製造業全体の景況感を占う上で重要な指標となります。

原油高が決算に与える影を読む

新年度の業績見通しにおいて、企業がどの程度の原油価格を前提にガイダンスを出すかは、来週の決算発表シーズンにおける最大の注目ポイントのひとつです。WTI原油が110ドル台で推移する現状を踏まえ、燃料費や物流コストの上昇分をどのように吸収・転嫁する計画なのか、各社の経営方針が試されます。

特に小売セクターでは、仕入コストの上昇が価格転嫁を通じて消費者に波及するため、値上げと客数のバランスに関する経営陣のコメントが重要です。

さくらレポートと日経VI低下の焦点

経済指標にも注目

来週は決算発表に加え、重要な経済指標の発表も控えています。4月6日には日銀地域経済報告(さくらレポート)が公表される予定です。地方経済の景況感がどの程度悪化しているかは、日銀の金融政策判断にも影響を与えます。

4月7日には2月の家計調査と景気動向指数、4月8日には2月の毎月勤労統計調査が発表されます。実質賃金の動向は、原油高による物価上昇の中で消費者の購買力がどう変化しているかを示す重要なデータです。

ボラティリティは収束に向かうか

4月3日の日経ボラティリティ・インデックス(日経VI)は前日比15.18ポイント低下の27.17と大幅に低下しました。株価の堅調な反発を受けて、過度な警戒感は後退しつつあります。

ただし、イラン情勢が「2〜4週間」で収束するかどうかは依然として不透明であり、中東からの新たなヘッドラインによって再びボラティリティが急上昇するリスクは残っています。市場関係者の間では、短期収束シナリオが実現した場合、日経平均は年末にかけて6万円前後まで回復するとの見方がある一方、長期化した場合は4万6,000円台まで調整する可能性を指摘する声もあります。

イラン情勢と2月期決算を軸にした投資判断

来週の日本株市場は、イラン情勢の行方を見極める様子見姿勢が基本線となりそうです。その中で、2月期決算企業の業績発表が相場の方向感を左右する個別材料として浮上します。

投資家としては、原油高を前提とした企業の新年度ガイダンスの内容、さくらレポートや勤労統計から読み取れる国内景気の実態、そしてイラン情勢に関する米国政府の発信に注目することが重要です。ボラティリティが高い相場局面だからこそ、決算内容を冷静に分析し、中長期的な視点で投資判断を行うことが求められます。

参考資料:

野
野村 康平

マクロ経済・為替・債券

為替・債券・コモディティ市場を横断的にウォッチし、マクロ経済の変動が株式市場に与えるインパクトを分析する。

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