来週の株式相場で注目すべき3つのテーマ 中東・決算・米CPI
はじめに
2026年4月第2週(4月6日〜10日)の株式相場は、地政学リスク・企業業績・米経済指標という3つの大きなテーマが交錯する重要な1週間となります。米国によるイラン攻撃停止の期限が4月6日に迫る中、原油価格はWTIベースで110ドルを突破する場面もあり、日本株市場は中東情勢に大きく揺さぶられています。
一方、国内では2月期決算企業の本決算発表が相次ぎ、セブン&アイ・ホールディングスやイオン、ファーストリテイリングなど大手小売企業の業績に市場の関心が集まります。さらに週後半には米国の3月消費者物価指数(CPI)の発表も控えており、インフレ動向とFRBの金融政策見通しにも注目が必要です。本記事では、来週の相場を左右する3大テーマを詳しく解説します。
中東情勢:イラン戦争の行方と原油高の影響
4月6日の攻撃停止期限が最大の焦点
来週の相場における最大の不透明要因は、米国とイランをめぐる軍事情勢です。トランプ米大統領は4月1日の演説で「戦闘はあと2〜3週間続く」と述べ、停戦協議と軍事攻撃を並行して進める姿勢を示しました。この発言を受けて、MSCIアジア太平洋指数は一時2.2%安、S&P500先物も1.3%下落するなど、世界の株式市場に動揺が広がっています。
4月6日には米国によるイランのエネルギー施設攻撃の停止期限を迎えます。この期限を境に事態が収束に向かうのか、それとも攻撃が激化するのかが、週明けの相場を大きく左右する分岐点となります。市場関係者の間では「短期収束」をメインシナリオとする見方が多数派ですが、長期化リスクも織り込む必要があります。
原油高が日本経済に与える重圧
WTI原油先物は4月初旬に一時1バレル114ドルに迫る水準まで急騰しました。その後、停戦期待から一時的に下落する場面もありましたが、再び中東情勢の悪化懸念から上昇に転じ、不安定な値動きが続いています。
原油価格の高止まりは日本経済に複数のルートで影響を与えます。野村総合研究所の試算によれば、WTI原油が1バレル100ドルで推移した場合、国内ガソリン価格は政府の対策がなければ1リットル235円程度まで上昇し、実質GDPは1年間で0.30%低下、物価は0.52%上昇するとされています。現在の110ドル台では、さらに大きな影響が見込まれます。
新年度の企業業績見通しに対しても、燃料費や運送費、ナフサ由来製品の仕入価格上昇などを織り込む必要性が高まっており、特に自動車業界をはじめとする製造業の株価に下押し圧力がかかっています。
2月期決算:大手小売企業の業績発表が集中
セブン&アイ・イオン・ファストリなど注目企業が目白押し
来週は2月期末を決算期とする企業の本決算発表が集中します。特に注目されるのが、セブン&アイ・ホールディングス、イオン、ファーストリテイリングといった大手小売企業です。これらの企業の業績は、国内の消費動向を映す重要なバロメーターとして市場参加者が注視しています。
小売セクター全体では、2月期決算企業の約7割で市場予想が会社予想を上回っているとの分析があります。消費者の節約志向が続く中、各社がプライベートブランド(PB)商品の強化や高付加価値品の展開で収益を確保できているかが焦点となります。
業績上振れと次期見通しの二重チェック
決算発表では、2026年2月期の着地だけでなく、新年度(2027年2月期)の業績見通しにも大きな注目が集まります。原油高による物流コストの上昇、円安の影響、そしてインバウンド需要の動向など、複数の変数が絡み合う中で、各社がどのような見通しを示すかが株価の方向性を左右します。
特にイオンについては、連結営業収益10兆7,000億円、営業利益2,750億円を見込む2026年2月期の着地が注目されます。会社が通期予想の上方修正に踏み切るかどうかも、投資家の関心事項です。
米3月CPI:雇用統計を受けたインフレ動向に注目
強い雇用統計がCPIへの注目度を一段と引き上げ
4月3日に発表された米国の3月雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比17.8万人増と市場予想を大きく上回りました。失業率も4.3%に低下し、2024年末以来の大幅な雇用増加を記録しています。この強い雇用データは景気の底堅さを示す一方、インフレ圧力の持続を連想させるため、週後半に発表される3月CPIへの注目度が一段と高まっています。
米国の2月CPIは前年同月比2.8%上昇でしたが、3月CPIでインフレの鈍化傾向が確認されるかどうかが焦点です。原油高の影響がエネルギー価格を通じてCPIに反映される可能性があり、市場は数値を慎重に見極める構えです。
FRBの金融政策への示唆
CPIの結果はFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ判断に直接影響を与えます。インフレ鈍化が確認されれば利下げ期待が高まり、米国株にはプラス材料となります。一方、原油高を背景にインフレが再加速する兆候が見られれば、利下げ観測が後退し、株式市場には逆風となる可能性があります。
雇用統計で時間当たり賃金の伸びが前月比0.2%増と予想を下回ったことは、賃金インフレの面では一定の安心材料です。しかし、エネルギー価格の上昇分がどの程度CPIに反映されるかは予断を許しません。
注意点・展望
来週の日経平均株価の予想レンジは5万円〜5万5,000円とする見方が出ています。4月4日のナイトセッションでは日中終値比70円高の5万3,270円で推移しており、イラン情勢次第で大きく振れる展開が想定されます。
投資家が注意すべき点として、以下の3つが挙げられます。まず、イラン情勢の急変による原油価格の急騰リスクです。ホルムズ海峡の封鎖が長期化した場合、世界経済への影響は甚大なものとなります。次に、決算発表に伴う個別銘柄の急変動です。事前の期待が高い分、予想を下回った場合の下落幅も大きくなりがちです。そして、米CPI発表前後のドル円相場の変動にも警戒が必要です。
一方、識者の間ではイラン情勢が短期収束した場合、年末の日経平均は6万円前後まで上昇するとの予測も出ています。地政学リスクが後退すれば、企業業績の底堅さが改めて評価される展開も期待されます。
まとめ
来週の株式相場は、中東情勢・2月期決算・米CPIの3大テーマが交錯する重要局面です。特に4月6日のイラン攻撃停止期限と週後半の米CPI発表が、相場のセンチメントを大きく左右する可能性があります。
不透明感が強い局面では、1つのイベントに過度に賭けるのではなく、複数のシナリオを想定した柔軟なポジション管理が重要です。中東情勢の進展、決算発表での新年度見通し、そして米インフレ指標の3点を注視しながら、冷静に投資判断を行うことが求められる1週間となりそうです。
参考資料:
- 来週(4/6〜4/10)の日経平均株価の予想レンジは、5万~5万5000円!
- 米雇用者数17.8万人増加、24年末以来の大幅増-失業率は予想外に低下 - Bloomberg
- WTI原油110ドル突破、欧州軽油200ドル超-トランプ氏が攻撃激化警告 - Bloomberg
- 原油価格100ドル超へ 日本の実質GDP、物価への影響を過去の事例から試算 - 野村證券
- 来週の決算発表予定 セブン&アイ、イオン、ファストリなど(4月6日~10日)- Yahoo!ファイナンス
- WTI原油見通し:中東情勢の悪化懸念が影響(2026年4月3日)- OANDA
- 来週の相場で注目すべき3つのポイント - 財経新聞
- イラン情勢”短期収束”で日経平均「年末6万円」がメインシナリオ - ダイヤモンド・ザイ
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