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オキサイド最終益2.2倍へ上方修正、最高益予想を支える成長力

by 内田 紗希
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最高益予想へ転じた上方修正の核心

オキサイドは2026年10月15日、2027年2月期の連結最終利益予想を5億9,700万円から13億2,800万円へ引き上げました。増額率は122.4%で、従来予想の約2.2倍です。売上高、営業利益、経常利益もそろって上方修正され、最終利益は会社予想ベースで過去最高を更新する見通しとなりました。

今回の決算で重要なのは、特別利益だけによる最高益ではない点です。半導体向け製品の出荷増と売上総利益率の改善により、営業利益予想も4億3,400万円増額されました。一方で、ヘルスケア事業の減速や大型設備投資など、成長の裏側にある負担も無視できません。本稿では、上方修正の質と持続力を事業別に検証します。

半導体主導で鮮明になった本業の利益回復

上半期実績と通期修正の数値比較

2027年2月期上半期の売上高は49億3,500万円と前年同期比18.9%増えました。営業損益は前年同期の1億8,900万円の赤字から6億4,100万円の黒字へ、経常損益も2億2,700万円の赤字から5億5,800万円の黒字へ転換しています。最終損益は前年同期の2億7,000万円の赤字に対し、5億7,100万円の黒字でした。

指標上半期実績前年同期修正後の通期予想従来予想比
売上高49億3,500万円41億5,100万円103億2,300万円5.0%増
営業利益6億4,100万円1億8,900万円の赤字13億6,700万円46.5%増
経常利益5億5,800万円2億2,700万円の赤字12億3,400万円56.6%増
最終利益5億7,100万円2億7,000万円の赤字13億2,800万円122.4%増

上半期計画に対し、売上高は2億7,500万円、営業利益は3億8,100万円上振れました。営業利益率は前年同期のマイナス4.6%から13.0%へ、EBITDAマージンは6.3%から19.6%へ上昇しており、数量増だけでなく採算改善も進んでいます。

通期売上高の増額は4億9,500万円ですが、営業利益は4億3,400万円の増額です。修正後の営業利益率は従来予想を3.7ポイント上回る13.2%で、2028年2月期に掲げた12%の中期目標を1年前倒しで超える計画です。

粗利改善と特別利益の切り分け

決算短信から計算すると、上半期の売上総利益率は前年同期の約31.7%から約39.2%へ改善しました。売上総利益が13億1,700万円から19億3,200万円へ増えた一方、販売費及び一般管理費は15億700万円から12億9,100万円へ減少しています。

ただし、最終利益には一時利益も含まれます。上半期にはRaicol Crystalsから寄贈された単結晶育成炉の受贈益1億6,000万円と、NEDOの基金に係る補助金収入9,600万円を計上しました。後者には9,200万円の固定資産圧縮損が対応するため、純影響は小幅です。

通期の固定資産受贈益は合計2億8,000万円の見込みです。最終利益の上方修正額7億3,100万円にはこの効果が含まれますが、営業利益予想自体も46.5%増額されています。前期はRaicol社譲渡に伴う損失で最終赤字だったため、今期は事業再編後の本業を見極める重要な年度です。

単結晶技術から広がる二つの成長市場

ウエハ検査向け深紫外レーザの競争力

オキサイドは単結晶育成とレーザ光の波長変換を一体で扱います。半導体事業では、シリコンウエハの微細な欠陥を検出する装置向けに、波長変換用単結晶と深紫外レーザを供給しています。半導体の微細化が進むほど、短波長の検査光源への要求も高まります。

会社推計では、深紫外レーザ用波長変換単結晶の世界シェアは95%超、深紫外レーザ製品は30%超です。採用後は定期交換や保守需要も生じるため、新規装置向けにメンテナンス収入が加わる構造です。

SEMIは2026年の世界半導体製造装置売上高を前年比23.2%増の1,659億ドル、うち前工程装置を23.1%増の1,439億ドルと予測しています。AI向け先端ロジックやHBM投資が主因です。オキサイドの半導体事業の上半期売上高は32億5,900万円と前年同期比70%増え、全社の約3分の2を占めました。

上半期受注高は34億5,600万円と上半期の過去最高で、8月末の受注残高は33億9,000万円です。通期売上予想も64億200万円から72億4,100万円へ引き上げられました。受注残が下半期の売上へ転換するかが、計画達成の先行指標になります。

AI光通信を支えるファラデー回転子

もう一つの成長軸が、AIデータセンター向け光通信に使われるファラデー回転子です。光トランシーバー内の光アイソレータを構成し、反射光からレーザ光源や光回路を保護します。高速・大容量通信の安定性を支える部品です。

新領域事業の上半期売上高は8億円で、当初計画を9,900万円下回りました。ファラデー回転子は概ね計画どおりでしたが、ほかの案件が下半期へずれたためです。一方、同製品の出荷増を見込み、通期売上予想は15億7,500万円から18億6,400万円へ上方修正されました。

会社は8月に14億5,500万円、10月に追加で8億4,100万円の専用設備投資を決め、合計22億9,600万円を第6工場へ振り向けます。いずれも2027年2月期下半期中の稼働開始予定です。試作ではなく、量産能力の増強段階へ進んだ点が成長評価の要点です。

さらに、ポーランドのFluence社と半導体後工程や光電融合向けの深紫外フェムト秒レーザを開発しています。先端パッケージやCPOへ用途が広がれば収益源の分散につながりますが、販売規模は未開示で、現時点では将来の選択肢です。

大型設備投資と事業別格差が映す三つのリスク

第一のリスクは、ヘルスケア事業の採算です。PET装置向けシンチレータ単結晶は、主要原材料の調達環境悪化と価格高騰に直面しています。主要顧客との取引条件見直しが続き、通期売上予想は18億5,100万円から12億1,900万円へ6億3,200万円減額されました。半導体と新領域の上振れで全社予想を補っていますが、価格転嫁が進まなければ事業間の利益格差が残ります。

第二は投資負担です。8月末の現金及び現金同等物は19億2,100万円で、前期末から3億6,500万円減少しました。上半期の営業キャッシュフローは7億9,300万円のプラスでしたが、有形固定資産の取得に16億5,700万円を支出しています。ファラデー回転子向け投資だけでも22億9,600万円に上るため、稼働率、回収期間、資金調達の確認が欠かせません。

第三は、最高益予想と持続利益の差です。自己資本比率は31.8%から34.7%へ改善し、Net Debt/EBITDAも会社試算で3.7倍から2.6倍へ低下しました。一方、通期最終利益には固定資産受贈益が含まれ、配当予想はゼロのままです。半導体装置市場の循環変動も踏まえ、単年度の最終利益だけで企業価値を判断しない姿勢が必要です。

下半期に投資家が追うべき三つの確認軸

今回の上方修正は、半導体向け単結晶・レーザの出荷増と粗利率改善を伴っており、本業回復の質は高いと評価できます。最終利益2.2倍という見出し以上に、営業利益率13.2%を実現できるかが重要です。

次の決算では、半導体の受注残33億9,000万円が計画どおり売上へ変わるか、粗利率が約39%の水準を保てるか、設備投資後も営業キャッシュフローと財務指標が改善するかを確認したいところです。加えて、ヘルスケアの価格交渉とファラデー回転子の量産立ち上げを追えば、最高益が一時的なピークか、成長軌道への入口かを判断しやすくなります。

参考資料:

内
内田 紗希

新興市場・IPO

新興市場・IPO 銘柄を中心に、成長企業の実力と将来性を見極める。スタートアップのビジネスモデル分析と株式市場の接点を追う。

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