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高配当株ベスト30、利回り15%首位の裏側と割安性を徹底検証

by 斎藤 裕也
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利回り五%台後半が30位線となった九月相場

株主還元の強化を掲げる企業が増え、日本株では予想配当利回りが5%を超える銘柄を数多く探せるようになりました。9月9日終値を使った今回の独自集計では、30位でも5.73%に達し、上位30銘柄の中央値は約6.04%です。

ただし、高利回りはそのまま「割安」を意味しません。特別配当や記念配当、保有株式の売却益を原資とする増配のほか、業績悪化による株価下落が利回りを押し上げる場合もあります。本稿では順位に加え、配当の中身、今後受け取れる金額、還元方針の持続性を材料分析の視点から検証します。

九月九日終値で抽出した高配当30銘柄

年間予想配当と九月九日終値による順位

対象は東証上場の普通株で、REITとインフラファンドを除外しました。会社予想の年間1株配当には普通配当だけでなく、特別配当と記念配当も含めています。利回りは「年間予想配当÷9月9日終値×100」で計算し、小数点第3位を四捨五入しました。

株式分割を実施した銘柄については、旧株ベースの配当額を分割後の株価で割ると異常な利回りになるため、会社開示と照合して補正しています。株主優待の価値は投資家ごとに異なるため、ランキングには加えていません。

順位コード・銘柄9月9日終値年間予想配当予想利回り
13659 ネクソン3,115円475円15.25%
23665 エニグモ417円30円7.19%
33205 ダイドーリミテッド727円50円6.88%
44746 東計電算6,940円476.5円6.87%
59782 ディーエムエス3,410円232円6.80%
63633 GMOペパボ2,486円167円6.72%
77957 フジコピアン2,560円170円6.64%
87128 ユニソルホールディングス2,752円181円6.58%
92483 翻訳センター2,150円140円6.51%
103964 オークネット1,309円82円6.26%
117039 ブリッジコンサルティンググループ1,368円85円6.21%
123300 アンビション DX ホールディングス1,813円112円6.18%
133299 ムゲンエステート1,701円104円6.11%
146927 ヘリオス テクノ ホールディング966円59円6.11%
157932 ニッピ11,530円701円6.08%
166176 ブランジスタ1,085円65円5.99%
179219 ギックス900円53.5円5.94%
183284 フージャースホールディングス1,262円75円5.94%
197278 エクセディ5,890円350円5.94%
203245 ディア・ライフ1,079円64円5.93%
219376 ユーラシア旅行社843円50円5.93%
228595 JAFCOグループ2,251円133円5.91%
233277 サンセイランディック815円48円5.89%
244595 ミズホメディー1,700円100円5.88%
256675 サクサ2,129円125円5.87%
268007 高島790円46円5.82%
278005 スクロール1,758円102円5.80%
287638 NEW ART HOLDINGS1,384円80円5.78%
29197A タウンズ504円29円5.75%
309827 リリカラ628円36円5.73%

首位のネクソンだけが15%台に突出し、2位以下は5.73~7.19%の比較的狭い範囲に集中しています。また、スタンダード市場やグロース市場の中小型株が多く、利回りと引き換えに売買流動性や業績変動のリスクを負う構成です。

ディーエムエスは会社が232円の年間配当予想を示しているため、独自集計では5位に入りました。一方、株式情報サイトによっては配当予想の更新時刻、株式分割の調整方法、特別配当の扱いが異なります。順位が数段変わる可能性を前提に、最終確認は企業の適時開示で行う必要があります。

残存配当へ読み替えるための基準

一般的な予想配当利回りは、その事業年度に属する年間配当を現在の株価で割った指標です。現在から先の12カ月間に、購入者が実際に受け取れる金額を表すとは限りません。既に権利確定日を通過した中間配当が年間額に含まれるためです。

ネクソンの475円には、6月末基準の中間配当30円が含まれます。9月9日に買った投資家が今期中に受け取れる予定額は、9月末基準の特別配当415円と期末配当30円の計445円です。残存配当ベースの利回りは約14.29%となり、表示上の15.25%を下回ります。

東計電算も年間476.5円のうち、中間配当86.5円は既に権利を通過しています。10月1日付の1株から4株への分割後に予定する期末配当は1株97.5円で、分割前の1株を保有する投資家の受取予定額は合計390円です。9月9日購入時点の残存配当利回りは約5.62%となります。

年間利回りは銘柄を横断比較する入口として便利ですが、買付判断では「未通過の基準日に対応する配当」へ置き換える作業が欠かせません。

特別配当とDOEで分かれる還元の持続性

ネクソン首位を生んだ415円の特別配当

ネクソンの年間475円は、中間30円、特別415円、期末30円という構成です。特別配当だけで年間額の約87%を占めます。9月9日終値に対する特別配当の比率は約13.32%であり、ランキング首位の大半が一度限りの還元で説明できます。

同社は投資有価証券の売却により1,060億円の投資元本を回収し、1,420億円の売却益を計上しました。第2四半期末の手元資金が8,420億円となったことから、1株415円、総額約3,240億円の特別配当を計画しています。事業成長に必要な資金を確保しても余力があるとの判断です。

一方、通常配当だけを使うと年間60円で、9月9日終値に対する利回りは約1.93%です。2027年以降も15%前後の配当利回りが続くと想定するのは適切ではありません。ネクソンは恒常的な高配当株というより、余剰資本を大規模に払い出すイベント銘柄として評価すべきです。

特別配当の権利落ち後には、その金額に対応する株価下落圧力が生じます。配当を受け取っても、同程度の含み損が発生すれば短期の総収益は増えません。ゲーム事業の利益成長、新作の成否、通常配当の増加余地まで見なければ、割安性は判断できません。

資産売却益を原資とする増配組の持続性

東計電算は投資有価証券の売却益43億円を見込み、通期純利益予想を86億円へ引き上げました。年間配当も分割前換算で476.5円となりますが、利益をほぼ配当に振り向ける設計です。保有株式の売却は資本効率改善につながる半面、同じ売却益が毎期発生するわけではありません。

GMOペパボの167円は、普通配当93円と特別配当74円の合計です。連結子会社の整理に伴う繰延税金資産の計上で最終利益予想を引き上げたことが増配の背景にあり、営業利益だけで説明できる増配ではありません。ただし、同社は配当性向65%以上またはDOE10%以上の高い方を採用する方針で、普通配当部分にも明確な還元基準があります。

フジコピアンは政策保有株式の売却益を計上し、年間配当予想を前期の40円から170円へ引き上げました。上期は本業でも営業黒字へ転換しましたが、通期純利益予想には10億円を超える投資有価証券売却益の効果が含まれます。未行使の新株予約権がすべて行使された場合、期末配当が139円になるとの条件も見逃せません。

ユニソルホールディングスの181円には80円の記念配当が含まれます。普通配当についてはDOE3.5%以上と累進配当を基本としていますが、表示利回りをそのまま来期へ延長することはできません。エニグモの30円も普通配当10円とBUYMAの記念配当20円で構成され、記念配当は構造改革期間に限定された設計です。

高利回りの背景に資産売却、税効果、記念還元がある場合は、「今期に支払えるか」と「来期も続けられるか」を分けて考える必要があります。前者が十分に裏付けられていても、後者まで保証されるわけではありません。

DOE採用組に見る下値設計と限界

DOEは年間配当を株主資本で割った指標です。利益が一時的に落ち込んでも株主資本が急減しなければ配当額を安定させやすく、単年度利益だけを見る配当性向より変動を抑えられます。高配当株では、DOEの採用水準と適用期間が重要な材料です。

ディーエムエスは2025年3月期から2027年3月期までDOE8%を目安とし、今期232円を予定しています。会社予想の1株利益を上回る配当水準であり、厚い内部留保を段階的に株主へ移す資本政策です。高い還元余力はありますが、DOE8%の適用期間終了後も同額が続くとは限りません。

ダイドーリミテッドはDOE4%と配当性向30%以上を基準とし、年間50円を計画しています。事業ポートフォリオの再構築とM&Aを進めながら、株主還元を安定させる方針です。資産売却だけに依存する銘柄より継続性を評価しやすいものの、成長投資が先行すればキャッシュフローとの両立が課題になります。

翻訳センターはDOE6%以上と総還元性向100%以上を中期計画の方針に掲げ、年間140円を予定しています。フージャースホールディングスも配当性向40%以上、DOE4%以上を維持し、前期74円から今期75円への増配予想です。こうした銘柄は、記念配当だけの企業より将来額を推定しやすい特徴があります。

ただし、DOE採用は減配を禁止する契約ではありません。赤字継続で株主資本が減少すれば、同じDOEでも配当額は縮小します。配当のために借入金が増える状態や、営業キャッシュフローを超える支払いが続く状態も持続的とはいえません。

権利落ちと減配がもたらす四つの落とし穴

第一の注意点は、配当金を無償でもらえる収益と捉えないことです。権利落ち日には配当相当額を反映した売りが出やすく、特別配当の比率が高いほど下落幅も大きくなり得ます。受取配当と株価変動を合算した総収益で評価する必要があります。

第二は、予想配当の修正リスクです。会社予想でも取締役会や株主総会の決議前であり、業績、資金需要、財務制限などによって減額される可能性があります。配当性向が100%を超える銘柄、赤字でも配当を続ける銘柄、資本剰余金を原資とする銘柄は、普通配当と同列に扱えません。

第三は、中小型株の流動性です。今回の上位には売買高の少ない銘柄が含まれ、成行注文では想定より高く買い、安く売る可能性があります。表面利回りが6%でも、売買時の価格差や権利落ち後の急変で年間配当を上回る損失が生じます。

第四は、業種固有の収益変動です。不動産販売会社は物件引き渡し時期、投資会社は保有資産の売却、製造業は原材料費や為替、検査薬会社は感染症需要の影響を受けます。同じ6%でも、安定収益から支払う配当と市況ピークの利益から支払う配当では価値が異なります。

課税口座では、上場株式の配当に通常約20%の税負担が生じるため、手取り利回りは表示値を下回ります。NISA口座では配当を非課税にできますが、権利落ちによる株価下落や減配リスクが消えるわけではありません。

買い候補を三段階で絞り込む確認手順

高配当株を選ぶ第一段階は、会社の最新IRで年間配当を普通、特別、記念の三つに分解することです。既に権利確定した配当を除き、現在の購入者が受け取れる残存配当利回りを計算します。株式分割がある場合は、基準日ごとの株数と1株配当も確認します。

第二段階では、特別配当を除いた平常時の利回り、配当性向、DOE、営業キャッシュフローを比較します。配当性向が低いだけでなく、本業の利益と現金収支が配当額を安定して賄える企業ほど、長期保有に向いています。

第三段階は、減配と株価下落を組み込んだ投資額の管理です。一銘柄へ集中せず、決算期、権利月、業種を分散し、決算発表ごとに配当予想を更新します。利回り上位表は買い推奨の順位ではなく、株主還元策が大きく動いた企業を見つける材料一覧として使うのが適切です。

今回の30銘柄では、ネクソンの突出した利回りや資産売却型の増配を除外すると、銘柄間の差は大きくありません。最後に残すべき候補は、普通配当へ置き換えても魅力があり、利益成長と還元方針の双方を確認できる企業です。

参考資料:

斎藤 裕也

テーマ株・材料分析

テーマ株・材料株の発掘と分析を得意とする。企業の IR 情報と業界動向を結びつけ、投資家目線で銘柄の「次の一手」を読む。

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