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低PER反転株28社を5日25日線GCで読む連休明けの選別術

by 杉山 直樹
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日経平均急落後に浮いた短期反転候補

10月9日の東京株式市場は、指数だけを見ると弱含みでした。日経平均株価は前日比11円19銭安の6万9030円92銭で3日続落し、朝方には6万8150円02銭まで下げる場面がありました。前日の米国市場でナスダック総合と半導体株が下げた影響を受け、値がさのハイテク株に売りが先行したためです。

ただし、相場全体の温度は日経平均ほど冷えていませんでした。TOPIXは4104.81と13.35ポイント高で反発し、東証プライム市場では値上がり銘柄が1194、値下がり銘柄が331でした。つまり、指数寄与度の大きい一部銘柄が重しになった一方、個別株には下値買いが広く入った相場です。

このような局面では、5日移動平均線が25日移動平均線を上回る短期ゴールデンクロスと、低PERというバリュエーション条件を組み合わせた銘柄抽出が有効な入口になります。買われ過ぎの成長株ではなく、売られ過ぎから需給が改善し始めた銘柄を探す発想です。ただし、ゴールデンクロスは万能な買いサインではありません。28社という候補数は、すぐに買う銘柄リストではなく、連休明けにチャートと業績を照合するための観察リストとして扱うべきです。

5日線と25日線が示す買い勢力の変化

短期GCが映す一週間単位の需給改善

5日移動平均線はおおむね直近1週間、25日移動平均線は約1カ月の平均的な売買コストを表します。5日線が25日線を下から上へ抜くゴールデンクロスは、直近の買い勢力が過去1カ月の平均的な戻り売り圧力を上回り始めたことを示します。特に、下落後の横ばい局面から5日線が切り上がる形は、短期筋の買い戻しと中期投資家の押し目買いが重なりやすい形です。

10月9日の外部スクリーニングでは、ゴールデンクロス検出銘柄としてホンダ、ブリヂストン、ヤマハ発動機、クラレ、東洋水産、J.フロントリテイリング、ラクスなど幅広い業種が確認できます。ここで重要なのは、銘柄群がハイテク一色ではない点です。米半導体株安を受けて日経平均が下げた日に、非ハイテクや内需、素材、自動車関連にも反転シグナルが出たことは、物色が指数主導から個別選別へ移りつつある可能性を示します。

もっとも、5日線と25日線のクロスは短期シグナルです。25日線と75日線、あるいは50日線と200日線のような中長期のトレンド確認より反応が早い半面、だましも増えます。浅い角度で交差しただけの銘柄は、1日か2日の反発で再び5日線が下向きになりやすいです。したがって、クロス発生そのものではなく、クロス後に終値が25日線を維持できるかを確認する必要があります。

出来高と25日線の向きの確認

候補を絞る際は、まず25日線の向きを見ます。25日線が明確に下向きのままなら、5日線の上抜けは単なる自律反発に終わる可能性があります。一方、25日線が横ばいから上向きへ変わる直前で5日線が上抜けた場合は、売り圧力が弱まり、相場の重心が上に移り始めたと判断しやすくなります。

次に出来高です。株価だけが上がり、出来高が細っているゴールデンクロスは信頼度が落ちます。反対に、直近の平均を上回る出来高を伴って25日線を回復した銘柄は、短期筋だけでなく中期資金も入っている可能性があります。10月9日は東証プライムの売買代金が7兆8454億円と厚く、単なる薄商いの反発ではありませんでした。個別銘柄でも売買代金が一定以上あるかを確認する価値があります。

さらに、直近高値との位置関係も欠かせません。5日線が25日線を上抜けても、すぐ上に戻り売りが集中する価格帯があれば、上値は重くなります。逆に、直近の戻り高値を終値で超え、かつ25日線が支えに変わる形なら、反転の持続性は高まります。低PER銘柄の場合は急騰を追うより、25日線近辺への押し目で出来高が細り、再上昇時に出来高が増えるかを見るほうが実践的です。

低PER株を選別する業績と資本効率の視点

市場平均との比較で見る割安度

PERは株価を1株当たり利益で割った指標で、利益に対して株価が何倍まで買われているかを示します。日本取引所グループや日経平均プロフィルの説明でも、PERは株価水準を利益面から比較する代表的な尺度とされています。10月9日時点の日経平均のPERは、加重平均で17.37倍、指数ベースで22.87倍でした。低PER候補を見るときは、この市場平均との距離を基準にすると、単なる印象ではなく相対比較ができます。

たとえばホンダは10月9日終値が1726.5円で、会社予想PERは16.80倍、PBRは0.54倍、会社予想配当利回りは4.05%でした。市場平均よりやや低いPERに加え、PBRの低さと配当利回りの高さが目立ちます。ただし、自動車株は為替、関税、地域別販売、EV投資負担の影響を受けやすく、低PERだけで割安と決めつけることはできません。四輪の収益回復が継続するかが、反転シグナルの持続性を左右します。

ブリヂストンは会社予想PER14.54倍、PBR1.29倍、配当利回り3.19%でした。タイヤ事業は原材料価格、為替、北米需要の影響を受けますが、財務の安定感やブランド力が評価されやすい銘柄です。5日線と25日線のゴールデンクロスが出た場合、短期の需給改善に加えて、利益水準の安定性が買い安心感につながりやすいタイプです。

ヤマハ発動機は会社予想PER10.34倍と、今回確認した候補の中でも低い水準にあります。一方で、PBRは1.40倍、実績ROEは1.40%にとどまっており、低PERの背景に利益の伸び悩みや採算性への懸念がある可能性も見ます。低PERは魅力ですが、ROEが低い銘柄では、資本効率の改善が伴うかを確認することが重要です。

業種ごとに異なる適正PER

低PER株を横一線で比較するのは危険です。自動車、化学、商社、食品、ソフトウェアでは、利益の安定性も成長期待もまったく異なります。景気敏感株は利益がピークに近い局面でPERが低く見えることがあります。逆に、食品や医薬品のように利益変動が比較的小さい業種では、市場平均並みのPERでも割高とは限りません。

クラレは会社予想PER13.90倍、PBR0.73倍、配当利回り3.49%でした。PBRが1倍を下回る点は資産面の割安感を示しますが、実績ROEは0.99%で、資本効率には改善余地があります。こうした銘柄では、ゴールデンクロス後に株価が上がるかだけでなく、決算で採算改善や構造改革の進展が確認できるかが焦点です。PBRの低さは下値余地を限定する材料になり得ますが、ROEが上がらなければ再評価は長続きしにくいです。

東洋水産は会社予想PER15.04倍、PBR1.84倍、実績ROE13.87%でした。PBRは低くありませんが、ROEの高さと食品株としての収益安定性を踏まえると、PERだけでは測れない質の高さがあります。10月2日に年初来安値をつけた後の反転局面では、短期ゴールデンクロスが「売られ過ぎ修正」の合図になり得ます。低PERの中でも、資本効率が高い銘柄は、押し目買いの継続性を確認しやすいです。

このように、28社候補を見る際は、PERを入口にしつつ、PBR、ROE、配当利回り、業績修正の有無を重ねる必要があります。低PERで、PBRも低く、配当利回りも高い銘柄は下値抵抗力が期待できます。一方で、ROEが低いままの銘柄は、株価が戻っても上値で売られやすいです。テクニカルの反転とファンダメンタルズの改善が同じ方向を向いた銘柄を優先する姿勢が求められます。

連休明けに警戒したいだましと外部環境

10月9日は3連休前の取引でした。JPXの休業日一覧では、10月12日月曜日はスポーツの日で現物市場が休業日です。一方、大阪取引所などのデリバティブ市場では祝日取引が実施されるため、海外株や為替、原油、米金利の動きは先物を通じて連休明けの現物市場に反映されやすくなります。ゴールデンクロス発生直後の銘柄は、外部環境の変化でシグナルが崩れやすい点に注意が必要です。

前日の米国市場ではナスダック総合が1.3%下落し、半導体株も大きく売られました。AI関連や半導体株の調整が続けば、東京市場でも値がさ株への売りが再燃し、投資家心理が冷え込む可能性があります。10月9日に内需株や低PER株が買われたとしても、連休中の米国株が大きく崩れれば、連休明けは一度リスク回避が優勢になる展開も想定されます。

もう一つのリスクは、低PERの罠です。PERが低い銘柄には、成長期待が低い、利益予想が下振れしやすい、構造問題を抱えるといった理由が隠れている場合があります。特に会社予想EPSが一時的に高く出ている銘柄は、次の業績修正でPERが一気に切り上がることがあります。連休明けに株価だけを追うのではなく、決算発表予定、業績修正履歴、信用残、直近安値との距離を確認したいところです。

テクニカル面では、5日線が25日線を上抜けた翌営業日に、終値で25日線を割り込まないかが最初のチェックポイントです。さらに、前日安値を下回る陰線を引く場合は、クロスがだましに変わった可能性があります。逆に、25日線を維持したまま出来高が増え、直近高値を上回るなら、短期反転から中期上昇への移行を意識できます。

個人投資家が確認すべき三つの手順

28社の低PERゴールデンクロス候補は、相場全体が不安定な中で生まれた短期反転リストです。活用する際は、第一に5日線と25日線の位置だけでなく、25日線の向きと終値の維持を確認します。第二に、PERを日経平均や同業他社と比べ、PBR、ROE、配当利回りを重ねて低PERの理由を探ります。第三に、連休中の米国株、為替、先物の動きを見て、寄り付き後のギャップを追いかけ過ぎないことです。

候補数の多さは、相場の底堅さを示す材料になります。ただし、買うべき銘柄が28社あるという意味ではありません。テクニカルで需給改善を見つけ、ファンダメンタルズで買える理由を絞り、最後に出来高と節目でタイミングを測る。この順番を守ることで、ゴールデンクロスを単なる合図ではなく、実践的な選別ツールとして使えます。

参考資料:

杉
杉山 直樹

市況・テクニカル分析

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