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ゴールデンクロス・MACD・ボリンジャーバンドの見方|計算式と数値例

by デイトレ.jp 編集部

ゴールデンクロス、MACD、ボリンジャーバンドは、チャートツールの初期設定に入っていることが多い3つの指標です。いずれも「過去の終値の平均」から作られていて、見ている情報は大きく重なります。この記事では、各指標の定義と計算式を証券会社と考案者の説明で確認し、架空銘柄の5分足55本を実際に計算して、どの時点で何が表示されるのかを数字で示します。

3つの指標の関係

指標何を計算しているか必要な入力
移動平均線/ゴールデンクロス期間の違う2本の平均の上下関係終値
MACD期間の違う2本の指数平滑平均の「差」とその平均終値
ボリンジャーバンド平均と、その期間のばらつき(標準偏差)終値

野村證券の用語集では、移動平均線は「テクニカル分析において使用される最も基本的な指標」で、日々の動きを平滑化して相場のトレンドを抽出することと、市場参加者の平均コストを算出することの2つの意味があると説明されています。MACDは「移動平均線分析をより発展させたテクニカル分析の手法の一つ」で、ボリンジャーバンドは「移動平均線とその標準偏差をチャート上に描画」するものです。3つとも移動平均を土台にしている、という点が出発点になります。

移動平均線とゴールデンクロス

定義

単純移動平均(SMA)は、直近n本の終値を足してnで割った値です。たとえば5分足の5本移動平均なら、直近25分の終値5本の平均になります。

ゴールデンクロスは、野村證券の用語集の表現では「計算期間の短い短期の移動平均線が、計算期間の長い長期の移動平均線を下から上へ突き抜けること」で、相場が上昇基調に入ったことを示すサインとして参考にされることがあります。反対に短期線が長期線を上から下へ抜けることがデッドクロスです。

数値例

架空のC社株の5分足55本(終値)を使います。26本目に1,210円で底を打ち、51本目に1,288円まで上げたあと、やや横ばいになる値動きです。短期を5本、長期を25本に設定しました。

本数終値SMA5SMA25差(SMA5−SMA25)
26本目(安値)1,210円1,214.8円1,239.6円−24.8円
30本目1,222円1,215.8円1,232.2円−16.4円
33本目1,232円1,224.6円1,229.0円−4.4円
34本目1,238円1,229.0円1,228.3円+0.7円(ゴールデンクロス)
40本目1,258円1,249.0円1,228.7円+20.3円
51本目(高値)1,288円1,282.6円1,251.4円+31.2円
55本目1,286円1,286.0円1,262.3円+23.7円

ゴールデンクロスが成立したのは34本目、終値1,238円の時点です。安値の1,210円からすでに28円(2.31%)上がっています。平均どうしの比較なので、底で点灯することは構造上ありません。「サインが出た時点で、動きの一部は終わっている」ことを数字で確認できます。

MACD

定義と計算式

楽天証券のオンラインヘルプでは、MACDは「ニューヨークのシグナラート・コーポレーション(Signalert Corporation)のジェラルド・アペル(Gerald Appel)によって開発された」手法と説明されています。計算式は次のとおりです。

  • MACD = EMA(12)− EMA(26)
  • シグナル = MACDの9日単純移動平均
  • 指数平滑移動平均(EMA)は A = B + a×(C − B)
    • A:当日の指数平滑移動平均値/B:前日の指数平滑移動平均値/C:当日の価格
    • 平滑化定数 a = 2 ÷ (n + 1)

見方としては、MACDがシグナルを上抜けた時を「買いシグナル」、下抜けた時を売りシグナルとし、MACDがゼロラインを上回れば本格上昇、下回れば本格下降とみなす使い方が一般的と説明されています。両ラインがゼロラインを上回った状態が「理想的な買いシグナル」とされています。

数値例

同じC社株の5分足で、12・26・9の設定で計算しました。

本数終値EMA12EMA26MACDシグナル
26本目(安値)1,210円1,223.461,240.81−17.35(未算出)
33本目1,232円1,223.791,233.35−9.56(未算出)
34本目1,238円1,225.981,233.70−7.72−13.35(初期値)
39本目1,252円1,237.091,237.30−0.21−6.32
40本目1,258円1,240.311,238.83+1.48(ゼロライン上抜け)−4.79
44本目1,265円1,251.471,245.19+6.28+1.10
51本目(高値)1,288円1,272.541,260.18+12.35+9.24
55本目1,286円1,278.851,266.89+11.96+11.60

MACDがゼロラインを上回ったのは40本目、終値1,258円です。安値から48円(3.97%)上がった時点で、ゴールデンクロス(34本目)よりさらに6本遅れています。設定を長くすれば滑らかになり、遅れは大きくなります。短くすれば早く点灯しますが、方向が定まらない場面での反転も増えます。この取り替えは、どの設定にしても消えません。

最後の55本目では、MACDとシグナルの差が51本目の+3.11から+0.36まで縮んでいます。終値は1,286円で高値圏にありますが、指標の側では上抜けの勢いが失われている状態です。

ボリンジャーバンド

定義

考案者のジョン・ボリンジャー本人の説明では、ボリンジャーバンドは「価格が相対的に高いのか低いのか」という問いに答えるために、価格の周囲に描く曲線群(移動平均=ミドルバンド、アッパーバンド、ロワーバンド)です。標準設定は開発当初から変わっておらず、「移動平均の期間は20、バンドは同じデータの標準偏差の±2倍」で、標準偏差は母標準偏差(population)で計算すると明記されています。

  • ミドルバンド = 20本の単純移動平均
  • ±1σ = ミドルバンド ± 標準偏差
  • ±2σ = ミドルバンド ± 標準偏差×2

SMBC日興証券の用語集は、正規分布の状態であれば平均値±標準偏差の内側にデータが入る確率は約68%、±2倍の内側は約95%と説明しています。この「約95%」は正規分布を前提にした性質であり、株価の値動きがその前提を満たす保証はありません。

数値例

同じC社株で、20本・±2σ(母標準偏差)を計算しました。

本数終値ミドルバンドσ+2σ−2σバンド幅(±2σの間)
26本目(安値)1,210円1,233.8円14.751,263.3円1,204.4円59.0円
35本目1,235円1,223.7円8.641,240.9円1,206.4円34.6円
36本目1,242円1,223.8円8.931,241.7円1,205.9円35.7円
40本目1,258円1,228.2円14.281,256.8円1,199.7円57.1円
46本目1,278円1,243.6円19.321,282.2円1,205.0円77.3円
55本目1,286円1,270.0円15.181,300.4円1,239.6円60.7円

この例では2つのことが起きています。

  1. バンド幅が縮んでから広がった:26本目の59.0円から35本目の34.6円まで縮み、上昇が始まると46本目には77.3円まで広がりました。幅は標準偏差そのものなので、値動きが小さい時間帯には自動的に狭くなります
  2. +2σを超えた本が連続した:36・37・39・40本目の4本が+2σより上で引けています。この間、株価は1,242円から1,258円へ上がり続けました

2つ目は実務上重要です。「+2σに触れたから行き過ぎ」と考えて逆方向に入ると、上昇が続いている局面でそれに逆らうことになります。ボリンジャー本人も、アッパーバンドへのタッチだけでは売りのサインにならず、確認(その後の下落)が必要だと説明しています。また、ミドルバンドは中期のトレンドを表すように選ぶとバンドがよく機能する、という説明もしています。

±2σに95%入るか、実データで数えてみる

55本目の時点で、計算に使った直近20本の終値のうち、±1σの内側にあったのは12本(60%)、±2σの内側は20本(100%)でした。正規分布から期待される68%・95%とは一致しません。20本というサンプルの少なさもありますが、「±2σの外側は5%しか起きない珍しい出来事」と読み替えて使うのは危険だと分かります。

3つを同時に使うときの注意

独立した3つの根拠ではない

3つはすべて同じ終値の列から作られています。移動平均線とMACDは期間の違う平均の差、ボリンジャーバンドは平均とそのばらつきです。3本が同じ方向を向いたとき、それは「3つの別の情報源が一致した」のではなく、同じデータを3通りに言い換えた結果である場合があります。独立した根拠を足したいなら、出来高や板のような別の系列を見る必要があります。約定代金から計算するVWAPも、終値の単純平均とは別の情報を含みます(VWAPとは)。

使えるようになる時刻が決まっている

計算に必要な本数がそろうまで、指標は表示されません。5分足の場合は次のようになります。

指標最初の値が出るまで5分足での所要
SMA55本25分
SMA2525本125分
MACD(12,26)26本130分
シグナル(9)34本170分
ボリンジャーバンド(20)20本100分

東証の立会時間は前場9:00〜11:30、後場12:30〜15:30で、途中に1時間の休憩があります。9:00から5分足を数えると、前場で作れるのは30本です。シグナル線の初期値が出るのは34本目=昼休み明けの12:50ごろで、午前中のデイトレードでMACDのクロスを根拠にすることは、設定どおりの本数では構造的にできません。前日からの足を連続して使う設定にするのか、より短い足にするのかで条件は変わりますが、「いつから数えた何本か」を確認しないまま表示を信じるのは避けたほうがよい部分です。

ギャップとストップ高では平均が実勢から離れる

気配が飛んだ日や、値幅制限の上限に張り付いた日は、終値の平均が実際に売買できる値段から大きく離れます。ストップ高では売買が成立しない時間が生じ、平均も標準偏差も意味が変わります(ストップ高・値幅制限のガイド)。

サインの成否は検証されていない

ここで紹介した「上抜けたら買い」という説明は、証券会社の用語集や指標の解説に書かれている一般的な使い方です。特定の銘柄・期間でその通りに利益が出たかどうかは別の問題で、この記事は検証していません。

まとめ

  • ゴールデンクロスは短期線が長期線を下から上へ抜けること。数値例では安値から2.31%上がった34本目に成立した
  • MACDはEMA(12)−EMA(26)、シグナルはその9本単純移動平均。数値例でゼロラインを上抜けたのは安値から3.97%上の40本目
  • ボリンジャーバンドの標準設定は20期間・±2σ(母標準偏差)。±2σの外側で引けた本が4本連続し、その間も株価は上がった
  • ±1σ約68%・±2σ約95%は正規分布の性質で、数値例の実データでは±1σ内が60%だった
  • 3つは同じ終値から作られており、独立した3つの根拠にはならない

この記事は指標の定義と計算を説明するもので、特定の銘柄や売買手法を勧めるものではありません。テクニカル指標が示すのは過去の価格の要約で、将来の値動きを保証するものではありません。取引するかどうかはご自身で判断してください。デイトレードの始め方はデイトレードのやり方・始め方にまとめています。

よくある質問

Q. ゴールデンクロスとは何ですか?

A. 計算期間の短い短期の移動平均線が、計算期間の長い長期の移動平均線を下から上へ突き抜けることをゴールデンクロスといいます。相場が上昇基調に入ったことを示すサインとして参考にされることがあります。反対に短期線が長期線を上から下へ抜けることをデッドクロスといいます。

Q. MACDの計算式と一般的な設定は?

A. MACDはニューヨークのシグナラート・コーポレーションのジェラルド・アペルが開発した手法で、MACD=EMA(12)−EMA(26)、シグナル=MACDの9日単純移動平均で計算します。指数平滑移動平均は、当日値=前日値+a×(当日の価格−前日値)、平滑化定数a=2/(n+1) で求めます。MACDがシグナルを上抜けた時を買いシグナル、下抜けた時を売りシグナルとし、ゼロラインの上下で本格的な上昇・下降を判断する使い方が一般的と説明されています。

Q. ボリンジャーバンドの標準的な設定は?

A. 考案者のジョン・ボリンジャー本人の説明では、標準設定は開発当初から変わっておらず、移動平均の期間は20、バンドは同じデータの標準偏差の±2倍です。標準偏差は母標準偏差(population)で計算すると明記されています。

Q. ボリンジャーバンドの±2σに株価が収まる確率は95%ですか?

A. ±1σに約68%、±2σに約95%という数値は、データが正規分布に従う場合の性質です。株価の値動きは正規分布に従うとは限らず、期間を区切った実際のデータでも割合は一致しません。この記事の数値例では、ある時点の直近20本のうち±1σの内側は12本(60%)でした。

Q. 3つを同時に表示すれば判断の精度は上がりますか?

A. 3つはいずれも同じ終値の列から作られた平均とそのばらつきです。移動平均線とMACDは期間の違う平均の差、ボリンジャーバンドは平均とその標準偏差で、互いに独立した情報源ではありません。3本が同じ方向を示しても、それは独立した3つの裏付けではなく、同じデータの言い換えである場合があります。

Q. デイトレードの朝一番から使えますか?

A. 計算に必要な本数がそろうまでは表示されません。5分足の場合、25本の移動平均は25本(125分)、MACDのシグナル線は34本(170分)たってから最初の値が出ます。立会時間には11:30〜12:30の休憩があるため、9:00から数えるとシグナル線の初期値が出るのは昼休み明けの12:50ごろです。

出典・参考資料

「テクニカル指標」のほかのガイド

あわせて使える計算ツール