今週の決算発表35社、ディスコ・ファナックの注目点を徹底解説
35銘柄の発表が後半に集中する一週間
2026年10月19~23日は、合計35銘柄が決算発表を予定しています。月曜日から水曜日までは14銘柄のうち9銘柄がJ-REITである一方、木曜日と金曜日にはディスコ、ブロンコビリー、ファナック、東京製鐵など事業会社の発表が集中します。
銘柄数だけでなく、先行開示済みの材料と今回初めて判明する数字を分けることが重要です。日程を整理したうえで、半導体、外食、FA、鉄鋼という異なる業種を同じ尺度で比較するための確認項目を読み解きます。
日別日程から読む決算集中日の構図
10月19~23日の全発表予定
確認できた発表予定は次の通りです。時刻が公表されている銘柄のみ時刻を併記しており、予定は企業側の事情などで変更される場合があります。
| 日付 | 社数 | 主な発表予定 |
|---|---|---|
| 10月19日 | 4社 | ヒューリックリート投資法人(3295)、三菱地所物流リート投資法人(3481)、セントラル・リート投資法人(3488)、大和ハウスリート投資法人(8984) |
| 10月20日 | 5社 | 日本アコモデーションファンド投資法人(3226)、ラサールロジポート投資法人(3466)、福岡リート投資法人(8968)、アルインコ(5933・15時30分)、スーパーツール(5990・15時40分) |
| 10月21日 | 5社 | Oneリート投資法人(3290)、日本都市ファンド投資法人(8953)、令和アカウンティング・ホールディングス(296A・11時)、アジュバンホールディングス(4929・15時30分)、オービーシステム(5576・16時) |
| 10月22日 | 7社 | オーミケンシ(3111)、オリックス不動産投資法人(8954)、石塚硝子(5204・13時)、光世証券(8617・14時)、ブロンコビリー(3091・15時)、SEホールディングス・アンド・インキュベーションズ(9478・15時30分)、ディスコ(6146・16時) |
| 10月23日 | 14社 | MIRARTH不動産投資法人(3492)、小野測器(6858)、KOA(6999)、岩井コスモホールディングス(8707)、森トラストリート投資法人(8961)、モバイルファクトリー(3912・13時)、東京製鐵(5423・14時)、ブルドックソース(2804・15時)、東邦レマック(7422・15時)、未来工業(7931・15時)、B-R サーティワン アイスクリーム(2268・15時30分)、ファナック(6954・15時30分)、ヒガシトゥエンティワン(9029・15時30分)、テクノホライゾン(6629・16時) |
週後半の2日間だけで21社と、全体の6割が発表します。木曜日のディスコ、金曜日のファナックはいずれも時価総額が大きく、AI投資や中国の設備需要を映す銘柄です。個別株の決算であっても、半導体製造装置、工作機械、ロボット関連へ連想が広がる可能性があります。
前半のJ-REITと後半の事業会社
今週はJ-REITが12銘柄を占めます。J-REITでは営業収益の増減だけでなく、1口当たり分配金、稼働率、物件売却益、含み益、借入金の平均金利、固定金利比率、LTVを順番に確認する必要があります。分配金が増えていても、物件売却益に依存する場合と賃料収入が伸びた場合では持続性が異なります。
物流施設型では賃料改定と稼働率、住宅型では入替時の賃料上昇、商業施設型ではテナント売上と変動賃料が焦点です。金利上昇局面では、借り換え後の調達コストが分配金へ反映されるまでの時間差にも注意が必要です。
事業会社については、20日のアルインコから発表が増え始めます。仮設機材は建設投資だけでなく、原材料価格や物流費の影響も受けます。23日は東京製鐵、ファナック、KOA、テクノホライゾンが並ぶため、設備投資や電子部品需要を複数企業の数字から照合できる日です。
AI半導体・外食・FAをつなぐ注目材料
ディスコの最高出荷を支える利益率
ディスコは10月22日16時に2027年3月期第2四半期決算を発表する予定です。10月6日に公表した速報では、7~9月期の個別売上高が1,185億円で前年同期比38.9%増、個別出荷額が1,239億円で同60.0%増となりました。出荷額は四半期として過去最高です。
上期の個別売上高は2,136億円となり、直近の個別業績予想2,011億円に対する達成率は106.2%でした。ただし、これは単体の速報値であり、今回公表される連結売上高や連結利益と同じ数字ではありません。機械装置は顧客の検収時に売上計上されるため、売上高と出荷額の差も確認材料になります。
4~6月期の連結売上高は1,143億800万円で前年同期比27.1%増、営業利益は490億3,300万円で同42.2%増でした。営業利益率は42.9%と高水準です。会社が7月時点で示した上期連結予想は、売上高2,428億円、営業利益1,049億円でした。
今回の焦点は増収の有無ではなく、高付加価値な精密加工装置と消耗品である精密加工ツールの構成、検収の進捗、粗利益率の持続性です。人件費や研究開発費の増加を製品構成の改善で吸収できれば、AI・HBM関連投資の恩恵が利益まで届いていると判断できます。
SEMIは、2026年の世界半導体製造装置販売額が前年比23.2%増の1,659億ドルに達するとの予測を示しています。HBM向けDRAMや先端ロジックに加え、複雑な後工程への投資も拡大する見通しです。ディスコには追い風ですが、市場の高い成長期待を上回れるかが株価反応を左右します。
ブロンコビリーの増益を支える持続力
ブロンコビリーは10月22日15時に第3四半期決算を発表する予定です。2026年1~6月期は売上高164億7,400万円で前年同期比12.9%増、営業利益19億2,900万円で同57.5%増となりました。営業利益率は約11.7%で、売上高以上に利益が伸びています。
会社は7月の中間決算時に、通期予想を売上高340億円、営業利益39億7,000万円、経常利益40億2,000万円へ引き上げました。今回の第3四半期では、客数、客単価、店舗数を分け、既存店の成長と新規出店・連結範囲拡大の効果を識別することが重要です。
特に、価格改定や高付加価値メニューで客単価が上がっても、客数が減れば成長の持続性には疑問が残ります。食材費、人件費、水道光熱費を吸収して営業利益率を維持できたかも確認が必要です。連結対象となった朝日ミートの寄与と既存レストラン事業の伸びも分けて見るべきでしょう。
同社は7月1日付で1株を2株に分割しました。前年同期との1株利益や配当額を比べる際は、分割調整後の数値かを確認しなければなりません。好業績だけでなく、通期予想の再修正や次年度の出店方針が示されるかが次の材料になります。
ファナックの受注増と供給制約
ファナックは10月23日15時30分に第2四半期決算を発表する予定です。4~6月期の売上高は2,310億3,500万円で前年同期比17.7%増、営業利益は534億9,200万円で同26.1%増でした。受注高は2,819億円と同36.9%増え、売上高を上回っています。
第2四半期累計の会社予想は売上高4,660億円、営業利益1,044億円です。4~6月期実績を単純に差し引くと、7~9月期の前提は売上高約2,350億円、営業利益約509億円となります。この水準を上回るかに加え、受注から売上への転換速度が焦点です。
4~6月期の受注構成では中国が31.5%を占め、中国向け受注は前年同期比50.9%増でした。FA部門の受注も同63.8%増えています。AIデータサーバー、半導体、NEV、人型ロボット関連部品などの需要がけん引した一方、会社は部品の納期長期化による先行発注もあり、同じ受注水準が続くとは限らないと説明しています。
9月の国内工作機械受注は2,232億900万円で前年同月比60.4%増、うち外需は1,592億7,900万円で同66.8%増でした。CNCやサーボ需要には追い風となり得ますが、工作機械受注とファナックの売上が一対一で連動するわけではありません。地域別受注、受注残、納期の正常化を組み合わせて判断する必要があります。
国際ロボット連盟は、2026年の世界の産業用ロボット設置台数を前年比9%増の65万5,000台と予測しています。一方、日本の2025年設置台数は3万6,219台と19%減少しました。世界需要は拡大していても地域差が大きいため、ファナックでは中国、米州、インドと国内需要を分ける視点が欠かせません。
フィジカルAIは中長期の有力テーマですが、会社説明では実装の多くがなお試行段階です。短期業績ではテーマ性だけでなく、ロボットの受注、ソフトウェア収益、システムインテグレーターとの協業が実際の注文へ結び付いたかを見極める必要があります。
東京製鐵の黒字転換シナリオ
東京製鐵は10月23日14時に中間決算を発表します。同社は決算発表前の10月16日に業績予想を修正し、通期営業利益を40億円の赤字から10億円の黒字へ、当期純利益を10億円から70億円へ引き上げました。製品出荷単価の上昇と、鉄スクラップ購入価格が想定を下回ったことが主因です。
一方、上期の営業損失予想は35億円です。通期で10億円の営業黒字へ転換するには、下期に45億円の営業利益を確保する計算になります。決算では7~9月期の赤字縮小だけでなく、値上げの浸透率、鉄スクラップ価格との利幅、販売数量を確認する必要があります。
純利益の上方修正には資産売却も寄与しています。営業損益の改善と一時的な売却益を混同すると、収益力を過大評価しかねません。上方修正自体はすでに公表済みであるため、株価の次の材料は黒字転換の質と下期計画の実現可能性です。
好材料の織り込み後に残る三つの変動要因
第一の注意点は発表予定の変更です。JPXも、一覧にない企業が発表する場合や、掲載後に企業が日程を変更する場合があると説明しています。売買前には各社IRで日付と時刻を再確認する必要があります。
第二は、良い数字と株価上昇が一致しない点です。ディスコの最高出荷額や東京製鐵の黒字化予想は事前開示済みであり、単なる増収や上方修正では新しい材料になりません。市場予想との差、会社計画の再修正、利益率の質が重要です。
第三は比較基準のずれです。ディスコの個別速報と連結決算、ブロンコビリーの株式分割前後、J-REITの売却益を含む分配金は、そのまま比較できません。ファナックも納期長期化による先行発注が含まれる可能性があり、受注増を将来売上へ機械的に置き換えるのは危険です。
投資家が発表前後で確認すべき順序
発表前には、日程と時刻、直近の会社予想、事前に開示された速報・業績修正を整理します。発表直後は売上高や最終利益だけでなく、営業利益率、受注高、出荷額、既存店、分配金など業種ごとの先行指標を確認します。
その後、通期予想と経営陣の説明から、数量、価格、製品構成、コストのどれが変化したかを切り分けることが重要です。今週は好材料が先に出ている企業も多いため、見出しの増減率ではなく、市場がまだ織り込んでいない次の変化を探す姿勢が有効です。
参考資料:
- JPX「決算発表予定日」
- トレーダーズ・ウェブ「決算発表スケジュール」
- ディスコ「IRカレンダー」
- ディスコ「2027年3月期第2四半期 個別売上高および出荷額の速報値」
- ディスコ「2027年3月期第1四半期決算短信」
- SEMI「世界半導体製造装置の2026年央市場予測」
- ファナック「2027年3月期第1四半期決算短信」
- ファナック「2026年度第1四半期決算説明会資料」
- ファナック「2026年度第1四半期決算説明会 質疑応答要旨」
- 国際ロボット連盟「World Robotics 2026」
- 日本工作機械工業会「2026年9月分受注速報」
- ブロンコビリー「2026年12月期第2四半期決算短信」
- ブロンコビリー「IRライブラリー」
- 東京製鐵「業績予想の修正に関するお知らせ」
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