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Oneリート最高益更新へ 資産入替と分配金の持続性を詳しく検証

by 内田 紗希
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最高益予想を生む資産入替と収益構造

Oneリート投資法人は、2026年8月期に経常利益24億8700万円を計上し、前期比29.3%の増益となりました。続く2027年2月期は経常利益26億7100万円を見込み、過去最高益の更新を視野に入れています。利益の拡大は、オフィス賃料の改善や取得物件の寄与に加え、計画的な資産譲渡による売却益が重なった結果です。

注目すべきなのは、単に利益規模が増えたことではありません。2026年3月の公募増資を活用してホテルとオフィスを取得し、収益性の低下が懸念される物件を段階的に売却することで、資産の中身を変えています。REITの投資判断では、経常利益だけでなく、分配金を支える賃貸収益、売却益、財務負担を切り分けて確認する必要があります。

第26期増益をつくった売却益と賃貸収益

業績予想を上回った利益の内訳

2026年8月期の営業収益は56億4700万円、営業利益は30億3800万円、経常利益は24億8700万円、当期純利益は24億8600万円となりました。営業収益は前期から20.4%増え、営業利益と経常利益はそれぞれ29.1%、29.3%の増益です。期末総資産は1639億円、純資産は753億円となり、3月の資産取得と増資を経た規模拡大も財務数値に表れています。

2026年4月時点の第26期予想では、経常利益は18億1300万円、1口当たり分配金は2170円でした。実績はこれを大きく上回り、分配金は2553円で着地しています。予想比では383円、率にして17.6%の上振れです。決算時点での投資口1口当たり純利益は2595円であり、分配金は利益超過分配を使わずに決定されています。

上振れの主要因は、名古屋伏見スクエアビルの準共有持分20%の譲渡と、ONEST京都烏丸スクエアの準共有持分10%の譲渡です。第26期の不動産等売却益は6億9800万円となり、前期の1億7100万円から大きく増えました。これは営業収益と経常利益を押し上げた重要な要素であり、賃貸収益だけによる増益ではないことを示しています。

売却益と賃貸収益の切り分け

ただし、増益を売却益だけで説明するのも正確ではありません。第26期の償却後NOIは27億5000万円で、前期より1億6700万円増加しました。譲渡済み物件の収益剥落があった一方、2026年2月期と8月期に取得した物件群の寄与がこれを上回り、賃貸収益の基礎部分も拡大しています。

決算説明資料では、前期比で賃貸事業収入が4億1100万円増え、償却後NOIも増加したことが示されています。一方、新規借入や金利上昇に伴う支払利息、投資口交付費などにより、営業外収支は悪化しました。資産を増やせば賃料収入は増えますが、調達コストも同時に増えるというREIT特有の構図です。

1口当たり分配金が前期の2386円から2553円へ増えた背景には、内部成長と売却益、さらにホテル収益の上振れがあります。とりわけダブルツリーbyヒルトン那覇首里城の変動賃料が計画を上回ったことが、予想との差を広げました。変動賃料型ホテルは宿泊需要が強ければ上振れの余地を持つ反面、需要が弱い局面では逆方向にも働きます。

六物件取得が変えたポートフォリオ

Oneリートは2026年3月19日に、ONEST飯田橋スクエアとホテル5物件の計6物件を取得しました。取得価格の合計は299億4600万円です。これにより、従来から重点を置く中小規模オフィスに、宿泊需要の成長を取り込むホテルを組み合わせる方針が明確になりました。

2026年8月末の保有資産は34物件、取得価格合計は1512億100万円、稼働率は98.7%です。その後、9月にOKINAWA GRAND MER RESORTを加え、9月末時点の保有物件数は35物件、取得価格合計は1567億5600万円となっています。資産規模の拡大だけでなく、オフィス中心のポートフォリオから、収益特性の異なるホテルを組み入れる変化が進んでいます。

増資による資金調達は、取得機会を広げる半面、投資口数を増やします。発行済投資口数は、2026年2月末の80万5404口から、3月の公募増資と4月の第三者割当を経て97万3670口となりました。したがって投資家は、総利益の増加だけではなく、取得資産が増えた投資口数に見合う利益と分配金を生み出せているかを確認する必要があります。

第26期の結果は、その問いに対して一定の答えを示しました。利益拡大と分配金上振れは実現したものの、売却益が大きく寄与しています。次の焦点は、入れ替えた資産が売却益を除いた賃貸収益をどこまで積み上げ、増資後の1口当たり利益を伸ばせるかに移ります。

第27期の最高益予想を支える資産入替計画

増収増益でも減る第27期の予想分配金

2027年2月期は、営業収益63億1000万円、営業利益34億2300万円、経常利益26億7100万円、当期純利益26億6900万円が予想されています。第26期実績比では、営業収益が11.6%、営業利益が12.7%、経常利益と当期純利益が7.4%増える見通しです。利益水準だけを見ると、成長が続く計画です。

一方、1口当たり分配金の予想は2475円で、第26期実績の2553円を78円下回ります。この差は業績悪化を意味するものではありません。第27期は、当期純利益から2億6000万円を圧縮積立金へ繰り入れる前提で分配金を算定しているためです。

売却益をすべて即時に分配するのではなく、一部を内部留保として将来の資産入替や分配の安定化に活用する考え方です。投資家にとっては短期の分配額が抑えられる一方、物件売却に伴う利益を次の成長投資に回す余地が生まれます。高い分配金を継続できるかは、この内部留保の使い方と、入替後資産の収益力に左右されます。

段階売却で見込む利益と再投資

第27期の利益計画には、ONEST京都烏丸スクエアと名古屋伏見スクエアビルの段階的な譲渡が含まれます。2027年2月期には、京都烏丸の準共有持分20%と名古屋伏見の同29%を譲渡する前提です。想定される売却益は、それぞれ1億7700万円、8億3000万円で、合計では10億700万円となります。

さらに2027年8月期には、名古屋伏見の同51%と京都烏丸の同25%の譲渡が予定されています。こちらでは、名古屋伏見で14億9400万円、京都烏丸で2億2500万円の売却益を見込んでいます。2027年8月期の経常利益予想は30億700万円、1口当たり分配金予想は2780円です。

このため、2027年2月期と8月期の好業績は、取得資産の賃料寄与に加えて、計画された売却益の実現が前提となります。売却は保有不動産の含み益を可視化できる手段ですが、譲渡後にはその物件から得ていた賃料収入が失われます。売却代金をどの物件に再投資するのか、再投資先がどの利回りで稼働するのかが、利益の質を見極める要点です。

OGM取得とホテル収益の選択肢

9月30日に取得したOKINAWA GRAND MER RESORTは、その再投資の象徴です。取得価格は55億5500万円で、9月1日時点の鑑定評価額68億8000万円を下回ります。沖縄市に立地する300室の大型リゾートホテルで、固定賃料にGOP連動の変動賃料を組み合わせた契約形態です。

この仕組みは、ホテル運営が好調ならREITも収益の上振れを享受できる特徴を持ちます。同社は客室改装などに4億円のアップサイド追求投資を予定しており、2027年5月のリニューアル稼働開始を計画しています。客室単価や稼働率を高められれば、取得後のNOI成長につながる可能性があります。

その反面、ホテルはオフィスよりも宿泊需要、観光動向、運営会社の実行力の影響を受けやすい資産です。改装中の一時費用や、リニューアル後の収益改善が予定より遅れるリスクもあります。名古屋伏見スクエアビルを売却し、より高い鑑定NOI利回りを見込むホテルへ置き換える戦略が、実際の分配金増加として定着するかを確認したいところです。

オフィス賃料と稼働率の基盤

ホテルの成長余地が注目される一方、分配金の安定性を支える主軸は依然としてオフィスです。第26期のオフィスポートフォリオは、期末時点で98.3%の稼働率となり、業績予想の稼働率を上回りました。第27期は98.9%の期中平均稼働率を見込んでいます。

賃料上昇局面では、テナント更新時の増額改定や、より高い賃料での入替が内部成長につながります。反対に、退去が増えたり、空室の埋め戻しに時間がかかったりすれば、売却益を除く利益の伸びは鈍ります。物件単位の稼働率だけでなく、増額改定の継続性と新規契約の賃料水準が重要です。

会社側は、今後3年間を資産入替に伴う売却益で分配金を下支えする期間と位置付け、2028年2月期から2029年8月期の分配金下限値を2300円に設定しています。中期の資産規模目標は2000億円です。目標達成のための新規取得が、投資口価値を高める投資になるか、それとも追加の資金調達負担を生むかは、取得価格と収益性の比較によって判断されます。

分配金の持続性を左右する金利と修繕費

第26期末の有利子負債は803億9400万円、LTVは49.0%です。9月30日時点の平均金利は1.475%、固定金利比率は59.0%で、金利上昇局面に対する耐性は完全ではありません。変動金利の借入残高は350億円とされ、支払利息の上昇が分配可能利益を圧迫する可能性があります。

会社の業績予想は、2026年12月と2027年3月に日銀の政策金利が追加で引き上げられ、1.75%まで上昇する前提を織り込んでいます。つまり、金利上昇は想定外のリスクではなく、予想に組み込まれたコストです。それでも利上げの時期や幅が想定を超えれば、変動金利部分の負担は増えます。

第27期以降は、ダブルツリーbyヒルトン那覇首里城のリブランド関連工事や、OKINAWA GRAND MER RESORTの設備更新など、ホテルを中心とする修繕・改装投資も控えます。改装は将来の収益性を高めるために必要ですが、短期的には修繕費や減価償却費を増やします。高分配だけでなく、将来の賃料・変動賃料をどれだけ押し上げる投資なのかを評価する姿勢が求められます。

また、分配金予想は一定の取得・譲渡、稼働率、金利などを前提にした数値であり、支払い額を保証するものではありません。売却契約の進捗、賃貸市場、ホテル需要、資本市場の変動が重なれば、実績は予想から変動します。利回りだけを見て判断せず、分配の原資を確認することが重要です。

投資家が確認すべき次期決算の三つの論点

第27期の最高益予想は、6物件取得とOKINAWA GRAND MER RESORTの寄与、名古屋伏見・京都烏丸の段階売却、堅調なオフィス賃料という複数の要因で成り立ちます。第26期の上振れ実績は戦略の実行力を示しましたが、売却益の寄与も大きいため、経常利益の増減だけで持続性を判断することはできません。

確認したい第一の論点は、売却益を除く償却後NOIが増え続けるかです。第二は、増資後の投資口数でも1口当たり利益と分配金を伸ばせるかです。第三は、金利上昇と改装費を織り込んだうえで、ホテルの変動賃料とオフィスの増額賃料が計画通りに積み上がるかです。

分配金2475円という次期予想だけを前期比で見ると減配に映りますが、圧縮積立金への繰入という資本政策の影響を含みます。投資家は、次回以降の開示で売却益、内部留保、NOI、借入金利を並べて確認し、成長投資が長期の分配力につながっているかを見極めるべきです。

参考資料:

内
内田 紗希

新興市場・IPO

新興市場・IPO 銘柄を中心に、成長企業の実力と将来性を見極める。スタートアップのビジネスモデル分析と株式市場の接点を追う。

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