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信用取引口座の開設条件と審査|最低30万円の保証金、手順と通らない場合

by デイトレ.jp 編集部

信用取引口座は、証券会社の総合口座(証券口座)とは別に申し込み、証券会社の審査に通ると開設されます(総合口座と同時に申し込める会社もあります)。審査では、日本証券業協会の規則にもとづいて各社が定めた「取引開始基準」に照らし、年齢、株式の投資経験、金融資産などが確認されます。開設したあと実際に取引するには、約定代金の30%以上、最低30万円の委託保証金が必要です。

審査がある理由:取引開始基準

日本証券業協会の「協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則」は、証券会社が信用取引などの契約を結ぶにあたって「取引開始基準」を定め、その基準に合う顧客とだけ契約するよう求めています。基準は、顧客の投資経験や預り資産などについて各社が定めます。金融商品取引法も、顧客の知識・経験・財産の状況・契約の目的に照らして不適当な勧誘をしないこと(適合性の原則)を求めています。

信用取引は、預けた保証金の約3.3倍まで取引でき、損失が保証金を上回ることもある取引です。東証の資料でも、信用取引は通常の口座とは別の「信用取引口座」で処理され、審査の基準は投資経験や預り資産などをもとに各社が設けていると説明されています。申し込めば必ず開設できるものではありません。

4社の主な開設基準(2026年10月時点)

各社の公式サイトに載っている開設基準から、主な項目を抜き出しました。

証券会社年齢投資経験金融資産ほかの主な条件
SBI証券75歳未満の成人(75歳以上80歳未満は別途の申請で開設できる場合あり)株式の投資経験があること十分な金融資産や証券知識があること常時連絡がとれる、信用取引のルールと約諾書などの書面を理解している、証券担保ローンなどを契約していない
楽天証券80歳未満他社を含め、信用取引か一定の現物株式の投資経験100万円以上総合証券取引口座を開設済み。必要に応じて電話での審査
松井証券18歳以上(23歳未満は職業が学生・無職・パート・アルバイトでないこと)現物株式の投資経験1年以上(他社での経験も通算)100万円以上30万円以上の預りが必要なことを承諾する、常時電話連絡がとれる、書面の内容を理解している
GMOクリック証券80歳以下信用取引の経験か、1年以上の株式取引の経験100万円以上書面の電磁的な交付と差入れに同意する、会員ページの「お知らせ」を確認でき、メールと電話で連絡がとれる

4社とも、基準を満たしていても審査の結果で開設できない場合があり、その理由は開示しないとしています。マネックス証券は、申込みの手続きの中で同社の開設基準と信用取引の理解度を確認するとしています。moomoo証券は、公式のヘルプで日本株の信用取引を現在取り扱っていないと案内しています。基準の内容は各社の判断で変更されることがあるため、申し込む前に最新の基準を確認してください。

申込みから取引開始までの流れ

東証の資料では、「開設資料の請求→契約締結前交付書面の交付→信用取引口座の開設の申込み→証券会社の審査→口座設定の承認→信用取引口座設定約諾書の差入れ」という流れで説明されています。ネット証券では、これらをおおむねウェブ上で進めます。

  1. 書面を確認する:信用取引の契約締結前交付書面は、信用取引を初めて行う顧客への交付が義務づけられている書面で、日本証券業協会がモデルを作っています。各社の信用取引規程や約諾書もあわせて読みます
  2. 登録内容を確認する:SBI証券は、申込み時点で登録されている内容も審査の対象になるとしています。職業、連絡先、投資経験が古いままなら、申し込む前に登録内容を更新しておきます
  3. 申し込む:ログイン後の画面から申し込み、職業や投資経験についての質問に答えます。マネックス証券では、申込みの中で約諾書などを電磁的に提出します。SBI証券では、登録内容に応じて通常の信用取引か「はじめて信用」のどちらかの申込みページに案内され、自分では選べません
  4. 審査を待つ:SBI証券と楽天証券は通常1〜2営業日程度で、電話でのヒアリングや面接が入ることもあります。松井証券は、原則として営業日の15時までの申込みをその営業日に審査し、審査後に約諾書の控えなどを転送不要の郵便で送ります
  5. 保証金を用意して取引を始める:楽天証券は、預り金を保証金に振り替える「自動振替」が通常の設定で、最低委託保証金の30万円を下回っていると新規に建てることはできません

委託保証金:最低30万円、約定代金の30%以上

保証金の最低限の基準は、金融商品取引法と内閣府令で決まっています。

  • 約定代金の30%以上
  • かつ、最低30万円(約定代金の30%が30万円に満たない取引でも、30万円以上の保証金が必要)

法令上の30%基準だけで単純計算すると、保証金30万円なら約100万円分(約3.3倍)までですが、実際の上限は各社の保証金率(例: SBI証券は31%)や取引規制で変わります。保証金は現金のほか株式などの有価証券でも代用でき、時価に一定の掛け目を掛けて評価されます(東証の資料の例では株式で80%)。レバレッジ型・ダブルインバース型のETFやETNを新規に取引する場合は、約定代金の60%以上の保証金が必要です。

法令の基準は最低限のもので、証券会社はより厳しい率を定めることがあります。たとえばSBI証券は、信用取引口座の開設ページで売買代金の31%以上かつ30万円以上の保証金が必要と案内しています。また、法令では取引をした日から起算して3日以内(休業日は数えない)に保証金を預ければよいとされていますが、注文の時点で保証金が足りていることを求める会社もあります(GMOクリック証券の「完全前受制度」など)。

追証が発生するライン

保証金は、建玉の評価損や金利などのコストを差し引いて計算し直され、建玉の約定代金に対して一定の率を保つ必要があります。東証の用語集によると、この率(委託保証金維持率)は20%で、下回ると追加の保証金(追証)を差し入れるか、建玉を返済しなければなりません。会社によってはより厳しい基準を設けています。

例:保証金30万円で、100万円分を買い建てた場合(説明用の仮の数字。諸経費は含めない)

株価の下落率評価損計算上の保証金維持率
5%5万円25万円25%
10%10万円20万円20%
15%15万円15万円15%(20%を下回るため追証)

追証の期限は会社ごとに決まっていて、たとえばGMOクリック証券は、追証が発生した日の翌々営業日の12時までです。

審査に通らなかったときの選択肢

  • 基準をもう一度確認する:年齢、投資経験の年数、金融資産の額が基準に届いているかを確かめます。松井証券のように「現物株式の投資経験1年以上」と年数を決めている会社もあります
  • 登録内容を実態どおりにする:審査には申込み時点の登録内容も使われます。審査を通すために事実と違う内容を登録するべきではありません。基準は、損失が保証金を上回ることもある取引に耐えられるかを確かめるためのものです
  • 現物取引で経験を積む:デイトレードは現物取引でもできます。ただし、同じ資金で同じ銘柄を同じ日に買い直せない差金決済の制約があります(デイトレードのやり方・始め方)
  • 初心者向けの信用取引サービスを確かめる:SBI証券の「はじめて信用」と楽天証券の「らくらく信用」は、投資経験がなくても申し込めるレバレッジ1倍(委託保証金率100%)の信用取引で、審査はあります。楽天証券のらくらく信用は金融資産100万円以上・70歳未満が主な基準で、建玉の上限は500万円、初めて取引してから6か月たつと通常の信用取引口座に切り替わります。SBI証券は、はじめて信用で経験を積み、通常の開設基準を満たせば移行できるとしています。どちらも一日信用(日計り信用・いちにち信用)は使えません(一日信用取引のガイド)
  • 再申込みの可否や時期は各社に確認する:もう一度申し込めるか、いつから申し込めるかは、各社の窓口で確かめます

レバレッジ1倍の信用取引でも、空売りでは株価の上昇によって損失が保証金を上回ることがあります。

開設する前に理解しておきたいリスク

  • 損失が保証金を上回ることがある:東証の資料でも、レバレッジをかけた取引では手元資金以上の損失が出る場合があると説明しています
  • 追証と強制決済:期限までに追証を解消できないと、建玉が強制的に決済されることがあります。GMOクリック証券は、追証の期日を過ぎた場合はすべての信用建玉を強制決済するとしたうえで、強制決済は損失を限定するために行うものではないと明記しています
  • 信用取引特有のコスト:買方金利、貸株料、品貸料(逆日歩)、管理費、名義書換料などがあり、建玉を持っている間はかかり続けます
  • 返済期限:制度信用取引の返済期限は最長6か月です
  • 規制:東証は、信用取引が過度に使われている銘柄に委託保証金率の引上げなどの規制を行うことがあり、日本証券金融は貸株の申込みを制限することがあります
  • 空売りの損失には上限がない:株価に上限はないため、売りから入る取引の最大損失は理論上無限です(空売りのガイド)
  • 二階建て:保証金の代わりに差し入れている株と同じ銘柄を信用で買う「二階建て」は、株価が下がると評価損と代用有価証券の評価の減少が同時に起き、保証金率が急に下がります(SBI証券の注意事項)

この記事は信用取引口座の開設条件と仕組みを説明するもので、信用取引や特定の証券会社を勧めるものではありません。口座を開くかどうか、どの程度の金額で取引するかは、ご自身で判断してください。各社の手数料や取引ツールは証券会社の比較で確認できます。

よくある質問

Q. 信用取引口座の審査には、どのくらい時間がかかりますか?

A. 会社によって異なります。2026年10月時点の公式の案内では、SBI証券と楽天証券は通常1〜2営業日程度で、電話でのヒアリングや面接が入ることもあり、楽天証券は電話面接があった場合、面接完了の翌々営業日以降に結果を知らせます。松井証券は、原則として営業日の15時までの申込みをその営業日に審査します。

Q. 審査に通らなかった理由は教えてもらえますか?

A. SBI証券、楽天証券、松井証券、GMOクリック証券はいずれも、審査の結果や開設を断った理由を開示しないとしています。年齢、投資経験の年数、金融資産の額が各社の基準に届いているか、登録内容が最新になっているかを確認するのが出発点です。

Q. 株の取引経験がなくても、信用取引口座は開けますか?

A. SBI証券、楽天証券、松井証券、GMOクリック証券の通常の信用取引口座は、いずれも株式(または信用取引)の投資経験を基準にしており、松井証券とGMOクリック証券は1年以上の株式の投資経験(GMOクリック証券は信用取引の経験でも可)を求めています。投資経験がなくても申し込めるサービスとして、SBI証券の「はじめて信用」と楽天証券の「らくらく信用」があり、どちらもレバレッジ1倍で審査があります。

Q. 信用取引口座を開いたら、すぐに30万円を入金する必要がありますか?

A. 口座の開設と、取引に使う保証金の差入れは別の手続きです。ただし新規に建てるには、法令で最低30万円の委託保証金が必要とされています。松井証券は口座開設後の最初の新規建ての際に現金か有価証券(代用評価額)で30万円以上が必要とし、楽天証券は最低委託保証金の30万円を下回ると新規建てができないとしています。

出典・参考資料

「信用取引・空売り」のほかのガイド

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