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信用取引とは?仕組み・委託保証金と追証・制度信用と一般信用の違い

by デイトレ.jp 編集部

信用取引とは、委託保証金を証券会社に担保として預け、資金または株式を借りて売買する取引です。東証の説明では、所定の期限内に主に反対売買によって弁済するもので、委託保証金の約3倍までの売買ができること、信用売り(空売り)が利用できることが主なメリットとして挙げられています。同時に、預けた保証金を超える損失が出ることがある取引でもあります。

信用取引の仕組み

なぜ担保が必要か

通常の株式の売買では、買う側は買付代金の全額を、売る側は売付株式を用意します。東証の解説では、「値上がりしそうだが手持ちの資金がない」「値下がりしそうだが手元に株がない」という場合に、証券会社が顧客に買付資金や売付株式を貸し付けて行うのが信用取引だと説明されています。

借りて売買するため、それに見合う担保が必要です。融資を受けて買い付けた場合はその買付株式、株を借りて売り付けた場合は売付代金が、担保として証券会社に預けられます。

委託保証金と代用有価証券

買付株式や売付代金だけでは、相場が逆に動いたときに担保価値が不足します。そこで差し入れるのが委託保証金です。

項目内容
委託保証金率買付代金・売付代金の30%以上(レバレッジ型・ダブルインバース型のETF・ETNは60%以上)
最低委託保証金30万円
差し入れる財産現金のほか有価証券でも代用可。株式は時価の80%以内で評価
追証の基準当初の委託保証金から損失や費用を差し引いた額が売買代金の20%を下回ったとき

委託保証金率が30%以上という定めから、「保証金の約3倍まで」という言い方が出てきます。たとえば現金30万円を預けた場合、保証金率30%で計算した建玉の上限は100万円です。

追証が必要になる水準を数字で見る

仮に委託保証金30万円(現金)で90万円の建玉を持ったとします。このときの保証金率は33.3%です。買い建てで株価が下がった場合、維持率は次のように動きます。

株価の下落率評価損差引後の保証金売買代金に対する比率
5%45,000円255,000円28.3%
10%90,000円210,000円23.3%
13.3%120,000円180,000円20.0%(基準ちょうど)
15%135,000円165,000円18.3%(追証)
20%180,000円120,000円13.3%(追証)

この例では、株価が13.3%下がった時点で20%の基準に届きます。値幅制限の上限いっぱいまで動く日があることを考えると、1日の値動きで基準に触れることもあります(ストップ高・値幅制限のガイド)。なお、多くの証券会社は維持率の基準をこれより厳しく設定しており、期限までに差し入れられない場合の建玉の処分方法も各社の規定で決まっています。実際の基準は口座を開く会社の案内で確認してください(信用取引口座の開設条件と審査)。

制度信用取引と一般信用取引

信用取引には制度信用取引と一般信用取引があり、注文のときにどちらかを選びます。東証は両者の違いを次のように整理しています。

項目制度信用取引一般信用取引
対象銘柄取引所が選定原則全上場銘柄
返済期限最長6か月顧客と証券会社との間で決定
品貸料取引所が発表顧客と証券会社との間で決定
権利処理取引所が定める方法顧客と証券会社との間で決定
貸借取引利用可能利用不可能

制度信用取引ができるのは、上場銘柄のうち一定の基準を満たして取引所が選定した制度信用銘柄で、売りができるのはさらに貸借銘柄に選ばれた銘柄です。

一般信用取引は証券金融会社からの借入(貸借取引)を使えないため、空売りできる銘柄や条件は証券会社が自社で株を調達できるかどうかで決まり、会社ごとに違います。返済期限を新規に建てたその日に限った「一日信用」は一般信用の一種で、松井証券など複数の会社がデイトレード向けに提供しています(一日信用取引のガイド)。

返済(決済)の方法

東証の説明では、信用取引による貸付けは期限内に返済する必要があり、方法は2通りあります。

  1. 転売・買戻し(反対売買):買方は担保の買付株式を売った代金で融資を返済し、売方は売付代金で同種同量の株を買い付けて貸株を返済する。このとき生じる過不足が損益になる
  2. 現引き・現渡し:買方は融資相当額の現金を自分で用意して融資を返済し、担保の株式を引き取る(現引き)。売方は売付株と同種同量の株を自分で用意して貸株を返済し、担保の売付代金を受け取る(現渡し)

デイトレードでは1の反対売買で当日中に決済するのが基本ですが、思惑どおりに動かず持ち越す場面では、期限と2の選択肢も意識しておく必要があります。

コスト

東証は、買付顧客は借りた資金に対する金利を、売付顧客は売却証券に対する貸株料を証券会社に支払い、加えて株式の需給状況によって品貸料が発生する場合があると説明しています。

コスト負担するのは内容
売買手数料買方・売方新規建てと返済の売買にかかる(無料の条件を設けている会社もある)
金利買方借りた資金に対する金利。料率は証券会社が定める
貸株料売方借りた株に対する費用。料率は証券会社が定める
品貸料(逆日歩)制度信用の売方が支払い、買方が受け取る貸借取引で株が不足したときに発生
配当落調整金など権利落ちをまたいだ建玉権利処理として調整される

金利や貸株料は年率で表示され、日数に応じてかかります。仮に年率2.8%で90万円の買い建てを持った場合、1日で約69円、5日で約345円、30日で約2,071円です(計算例。実際の料率は証券会社の案内で確認してください)。1日で決済するデイトレードでは金利の影響は小さく、売買手数料の方が大きくなりやすい構造です(デイトレの手数料無料を比較)。

逆日歩(品貸料)が決まる仕組み

制度信用取引では、証券会社が自社で資金や株を調達できない場合、証券金融会社から融資や借株を受けて決済します。この証券会社と証券金融会社の間の取引が貸借取引で、東証は日本証券金融を指定証券金融会社としています。

貸株残高が融資残高を超えて株不足が発生すると、証券金融会社は不足株数を入札で調達し、そこで決まった料率が品貸料(逆日歩)になります。品貸料が付くと、その銘柄を制度信用で売っているすべての顧客が支払い、買っているすべての顧客が受け取ります。売った時点では金額が分からないことや、休日をはさむと日数が増えることなど、実務上の注意点は空売りのガイドで詳しく扱っています。

権利落ちをまたいだときの調整

東証の「信用取引の権利処理」では、配当請求権や株式分割などの権利落ちが行われた場合、同種同量の株券を返すだけでは剥離した権利分が埋まらないため調整が必要だと説明されています。この調整が権利処理で、配当に相当する金額は制度信用では売方が支払い、買方が受け取る扱いになります。権利確定日をまたぐ建玉では、値動き以外の損益が発生する点に注意してください。

規制で条件が変わることがある

委託保証金率の引上げ(増担保規制)

東証は、信用取引の利用が過度になった銘柄について、新規の利用を抑制するため委託保証金率の引上げなどを行います。実施・解除は「信用取引に係る委託保証金の率の引上げ措置等に関するガイドライン」に基づきます。規制がかかると、同じ建玉を持つために必要な保証金が増えます。

貸株注意喚起・貸株申込みの制限

日本証券金融は、株券の調達が困難になるおそれがある銘柄について証券会社へ貸株注意喚起通知を行い、調達が困難になった銘柄については貸株申込みの制限または停止を行います。東証はこれを「証券会社に対する措置で、投資者の信用取引の利用を直接制限する措置ではない」としつつ、多くの証券会社が調達を証券金融会社を通じて行っているため、事実上、制度信用取引の新規売付けが困難になることが多いと説明しています。実際には新規売付け・現引き・転売が制限されることもあります。

空売りに固有の規制

売りから入る場合は、空売りの明示義務や価格規制(トリガー方式)など、金融商品取引法にもとづく規制もかかります。詳細は空売りとはで扱っています。

デイトレードで信用取引をどう位置づけるか

デイトレードに信用取引は必須ではありません。現物取引でも、その日のうちに売買を終える取引はできます。信用取引を使う主な理由は次の2点です。

  • 同じ資金で複数回の売買を回しやすい:現物では売却代金の受渡を待つ必要がある場面でも、信用取引なら保証金の範囲内で建玉を組み替えられる
  • 下落局面でも売りから入れる:信用売りが使える

一方で、次の点は現物取引にはないリスクです。

  • 損失が預けた保証金を超えることがあり、追証や建玉の処分につながる
  • 売りは株価の上昇に上限がないため、損失が理論上無限になる
  • 期限、金利・貸株料、逆日歩、権利処理といった「値動き以外の損益」が発生する
  • 規制によって、建てている途中で条件が変わることがある

この記事は制度の仕組みを説明するもので、特定の銘柄や取引手法を勧めるものではありません。信用取引は損失が元本を超えることがあります。利用するかどうかはご自身で判断してください。口座開設から1日の流れはデイトレードのやり方・始め方、各社の条件の違いは証券会社の比較で確認できます。

よくある質問

Q. 信用取引とは何ですか?

A. 東証の説明では、顧客が委託保証金を証券会社に担保として預託し、資金または証券を借りて売買を行う取引です。所定の期限内に、主に反対売買によって弁済します。委託保証金の約3倍までの売買ができること、信用売り(空売り)が利用できることが主なメリットとして挙げられています。

Q. 委託保証金はいくら必要ですか?

A. 委託保証金は買付代金・売付代金の30%以上と定められています(レバレッジ型・ダブルインバース型のETF・ETNは60%以上)。あわせて最低委託保証金として30万円が必要です。保証金は現金のほか有価証券でも代用でき、株式の場合は時価の80%以内で評価されます。

Q. 追証はどんなときに必要になりますか?

A. 当初の委託保証金から損失や費用を差し引いた金額が売買代金の20%を下回ったときに、追加の保証金(追証)を差し入れることになります。証券会社によってはこれより厳しい基準を設けており、期限までに差し入れられない場合の建玉の処分方法も各社の規定で決まっています。

Q. 制度信用取引と一般信用取引はどう違いますか?

A. 東証の整理では、対象銘柄は制度信用が取引所の選定、一般信用が原則全上場銘柄、返済期限は制度信用が最長6か月、一般信用が顧客と証券会社の間で決定、品貸料は制度信用が取引所の発表、一般信用が顧客と証券会社の間で決定、貸借取引は制度信用のみ利用可能です。注文のときにどちらかを選び、途中で変更することはできません。

Q. 信用取引にはどんなコストがかかりますか?

A. 東証の説明では、買付顧客は借りた資金に対する金利を証券会社に支払い、売付顧客は売却証券に対する貸株料を支払います。加えて株式の需給状況によっては品貸料(逆日歩)が発生します。売買手数料や、権利落ちをまたいだ場合の配当落調整金なども発生します。

Q. 信用取引はデイトレードに必要ですか?

A. 必須ではありません。現物取引だけでもデイトレードはできます。信用取引は同じ資金で複数回の売買を回しやすくし、下落局面でも売りから入れる一方、損失が預けた保証金を超えることがあります。返済期限を当日に限った一日信用など、証券会社ごとの商品性の違いも大きいため、仕組みを理解したうえで判断してください。

出典・参考資料

「信用取引・空売り」のほかのガイド

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