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追証とは?20%の維持率の計算式と数値例、代用有価証券で2.8倍になる理由

by デイトレ.jp 編集部

追証(追い証)は、信用取引で預けている委託保証金が足りなくなったときに追加で差し入れる保証金です。仕組みの説明は各社のサイトにありますが、「株価が何%動くと発生するのか」は数字を入れて計算しないと見えません。この記事では、東証の規則で決まっている2つの数字(委託保証金30%以上・維持率20%)を一次情報で確認し、建玉200万円のケースで下落率ごとの維持率と不足額を計算します。

追証の定義

野村證券の用語集では、追い証(おいしょう)は「信用取引などにおいて、差し出している委託保証金の総額が、相場の変動等により必要額を下回った場合に、追加しなくてはならない証拠金のこと」と説明されています。続けて「追い証になった場合、委託保証金の追加や建株の決済などにより、証券会社が指定する日時までに、証券会社が指定する委託保証金維持率まで回復しなければならない」とされています。

ここで押さえるべきは、回復の手段が2つある点です。

  1. 保証金を追加で差し入れる
  2. 建玉を決済して、分母である建玉金額を減らす

2つ目は追加の入金が不要ですが、その時点の値段で損失が確定します。どちらを選んでも「維持率を回復させる」という結果は同じで、どちらが有利かはその後の値動き次第です。

規則上の2つの数字

日本取引所グループの「信用取引の目的・仕組み」には、次の2つが書かれています。

委託保証金は、買付代金、売付代金の30%以上(レバレッジ型・ダブルインバース型ETF及びETNの場合、買付代金、売付代金の60%以上)と定められており、現金のほか有価証券でも代用できます。

さらに、株価の変動によって当初の委託保証金だけではカバーできないほどに損失が拡大した場合には、担保価値が不十分になる可能性もあります。そのため、当初の委託保証金から損失や費用を差し引いた金額が売買代金の20%を下回った際には、追加の保証金(追い証)を証券会社に差し入れることになります。

項目水準位置づけ
当初の委託保証金率買付・売付代金の30%以上新規に建てるときの条件
委託保証金維持率20%を下回ると追証建てた後の維持条件

率とは別に最低委託保証金額(金額としての下限)も定められています。金額の水準と口座開設時の条件は信用取引口座の開設条件と審査で扱っているので、この記事では率の話に絞ります。

「30%以上」「20%を下回った際」はいずれも下限の定めです。証券会社がこれより厳しい水準を設定することは可能で、たとえば楽天証券の「信用取引のルール」は追証ラインを20%とし、「委託保証金の保証金率が20%未満となった場合、不足額を所定の時限までに当社に差し入れていただき、委託保証金へ振替えていただくか、建玉を決済していただく必要があります」と説明しています。レバレッジ型ETF等の一部銘柄や市場の状況によって通常より多く差し入れる場合があるとも書かれています。自分の口座の数字は、必ず取引する証券会社の規定で確認してください。

また、引用文の「損失や費用を差し引いた金額」という書き方も重要です。差し引かれるのは評価損だけではなく、金利・貸株料・品貸料(逆日歩)などのコストも含みます。売り建ての場合、日本証券金融の説明にあるとおり品貸料が付いた銘柄では制度信用の売り顧客全員が相当額を支払うため、値動きとは別に保証金が減ります(空売りとは)。

維持率の計算と数値例

計算式

この記事では次の式で計算します。

  • 受入保証金 = 当初の委託保証金 − 評価損 − 諸費用
  • 委託保証金維持率 = 受入保証金 ÷ 建玉金額
  • 不足額 = 建玉金額 × 20% − 受入保証金

現金を担保にした場合

建玉200万円(買い建て)、当初の委託保証金は現金60万円(=30.0%)とします。諸費用はここでは0円として、株価の下落だけを見ます。東証の内国株の売買単位は100株に統一されているので、株価2,000円を1,000株買ったイメージです。

株価の下落率評価損受入保証金維持率判定不足額
0%0円60.0万円30.0%——
−3%6.0万円54.0万円27.0%——
−5%10.0万円50.0万円25.0%——
−8%16.0万円44.0万円22.0%——
−10%20.0万円40.0万円20.0%20%の線上0円
−12%24.0万円36.0万円18.0%追証4.0万円
−15%30.0万円30.0万円15.0%追証10.0万円
−20%40.0万円20.0万円10.0%追証20.0万円

維持率が30.0%から20.0%まで落ちるのに必要な下落は、**株価で10%**です。保証金60万円に対して建玉が200万円=約3.33倍あるため、建玉に対する10%の損失が保証金に対しては33.3%の目減りになります。「20%を割ると追証」という言葉から株価が20%下がるまで余裕があるように読めますが、そうではありません。

現物株を担保にした場合(代用有価証券)

委託保証金は「現金のほか有価証券でも代用できます」(JPX)。保有している現物株を担保に回す方法で、代用有価証券と呼ばれます。ただし評価には掛目がかかります(一般に時価の80%)。

当初維持率を上の例とそろえるため、時価75万円の現物株を担保に差し入れます(75万円 × 掛目80% = 担保価値60万円、建玉200万円に対して30.0%)。ここで、担保にしている銘柄も建玉の銘柄も同じ率で下落したとします。

株価の下落率担保株の時価担保価値(×80%)評価損受入保証金維持率不足額
0%75.0万円60.0万円0円60.0万円30.0%—
−5%71.25万円57.0万円10.0万円47.0万円23.5%—
−8%69.0万円55.2万円16.0万円39.2万円19.6%0.8万円
−12%66.0万円52.8万円24.0万円28.8万円14.4%11.2万円
−15%63.75万円51.0万円30.0万円21.0万円10.5%19.0万円

同じ−12%で比べると、現金担保の不足額は4.0万円、代用有価証券の不足額は11.2万円で、2.8倍になります。追証ラインに届く下落率も、現金なら10%、この例の代用有価証券なら約7.7%です(担保価値60万円×(1−x) − 200万円×x = 40万円 を解くと x = 7.69%)。理由は単純で、分子の受入保証金が「評価損の増加」と「担保価値の減少」の2方向から削られるからです。

とくに、担保に差し入れている銘柄と建玉の銘柄が同じ、あるいは同じ材料で動く関係にある場合、この2つは同時に起きます。値動きが連動しない資産を担保に回すか、現金を置くかで、追証までの距離は変わります。

追証を入れないとどうなるか

野村證券の説明にあるとおり、追証は「証券会社が指定する日時までに」回復させるものです。指定の時限までに保証金の追加も建玉の決済も行われなかった場合、証券会社が建玉を決済する扱いが一般的です。このとき次の2点が起こり得ます。

  1. 決済値段を選べない:自分のタイミングではなく規定の手続きで決済されます。値動きが大きい局面では、想定より不利な値段になることがあります
  2. 不足金が残る:決済の結果、損失が差し入れていた保証金を超えると、差額は不足金として請求されます。楽天証券のサイトでも「決済損による不足金発生」「維持率30%以下の状態での決済損による不足金発生」が不足金の発生ケースとして挙げられています

信用取引では、損失が差し入れた保証金(元本)を超えることがあります。 これは信用取引が制度として持つ性質で、追証の連絡を受けてから対応できるかどうかとは別の問題です。仕組みの全体像は信用取引とは、口座の開設条件は信用取引口座の開設条件と審査にまとめています。

追証が出やすくなる3つの場面

増担保規制がかかった銘柄

日本取引所グループは信用取引・貸借取引に関する規制を定めており、売買が過熱した銘柄には委託保証金率の引き上げ(増担保規制)が行われることがあります。規制がかかると当初の保証金率が30%より高く設定されるため、同じ建玉を維持するのに必要な保証金が増えます。すでに建てている玉についても、各社の取り扱いを確認する必要があります。

値幅制限の上限・下限に張り付いた日

ストップ高・ストップ安では売買が成立しない時間が生じ、決済して建玉を減らすという選択肢そのものが取りにくくなります。値幅制限の仕組みはストップ高の値幅は?東証の値幅制限一覧と計算方法で整理しています。

夜間や時間外に悪材料が出た場合

立会時間は9:00〜11:30と12:30〜15:30です。この外で出た材料は翌営業日の寄り付きに反映されるため、建玉を持ったまま時間外の値動きを避けることはできません。PTSで売買できる銘柄もありますが、信用取引の建玉の決済に使えるかどうかは制度と証券会社によって異なります(PTSとは?夜間PTSの取引時間・手数料)。

デイトレードで持ち越さない場合

当日中に決済する前提の建玉でも、約定から決済までの間は委託保証金の計算対象です。一日信用取引のように当日決済を前提とした商品では持ち越しが発生しない設計になっていますが、追証の判定時点(引け値ベースか、ザラ場中のリアルタイムか)や当日決済済みの建玉の扱いは証券会社ごとに異なります。一日信用取引の制度そのものは一日信用取引とはにまとめているので、判定のタイミングは口座を開く前に各社の規定で確認してください。

まとめ

  • 追証は、委託保証金が必要額を下回ったときに追加する保証金。回復の手段は「保証金を足す」か「建玉を決済する」の2つ
  • 規則上の数字は、当初の委託保証金が買付・売付代金の30%以上、維持率は20%を下回ると追証。いずれも下限で、証券会社がより厳しく設定することがある
  • 建玉200万円・現金保証金60万円(30.0%)なら、株価が10%下がった時点で維持率20.0%に届く。20%下がると維持率10.0%、不足額20.0万円
  • 現物株を担保にすると、損失と担保価値の減少が同時に効く。同じ−12%で不足額は4.0万円から11.2万円(2.8倍)に増えた
  • 差し引かれるのは評価損だけでなく、金利・貸株料・逆日歩などの費用も含む

この記事は制度と計算の説明で、特定の銘柄や売買手法を勧めるものではありません。信用取引は、損失が差し入れた保証金を超えることがある取引です。取引するかどうかはご自身で判断してください。デイトレードを始める手順はデイトレードのやり方・始め方にまとめています。

よくある質問

Q. 追証とは何ですか?

A. 野村證券の用語集では、信用取引などにおいて差し出している委託保証金の総額が相場の変動等により必要額を下回った場合に、追加しなくてはならない証拠金のことと説明されています。追い証になった場合は、委託保証金の追加や建株の決済などにより、証券会社が指定する日時までに証券会社が指定する委託保証金維持率まで回復しなければならないとされています。

Q. 追証が発生する維持率は何%ですか?

A. 日本取引所グループの説明では、当初の委託保証金から損失や費用を差し引いた金額が売買代金の20%を下回った際に、追加の保証金(追い証)を証券会社に差し入れることになります。この20%は規則上の下限で、証券会社がこれより高い維持率を設定している場合もあります。実際の水準は口座を開く証券会社の規定で確認してください。

Q. 株価が何%下がると追証になりますか?

A. 委託保証金率が30%ちょうど(建玉200万円に対して現金60万円)の状態から始めた場合、損失が40万円を超えた時点で維持率20%を割ります。建玉200万円に対する40万円は20%なので、買い建てなら株価が20%ではなく10%下がった時点で追証ラインに届く計算です。これは保証金60万円に対して建玉が約3.33倍あるためで、下落率は建玉の金額に対してかかり、損失は保証金に対して効きます。

Q. 現物株を担保(代用有価証券)にしていると追証は早くなりますか?

A. 担保にしている株が建玉と同じ方向に動く場合は早くなります。この記事の数値例では、当初維持率30%をそろえた上で株価が12%下がると、現金担保の不足額は4.0万円、代用有価証券担保の不足額は11.2万円で、2.8倍になりました。担保の評価額そのものが下がるため、損失と担保価値の減少が同時に効きます。

Q. 追証を入れないとどうなりますか?

A. 証券会社が指定する日時までに保証金を追加するか建玉を決済して維持率を回復させる必要があり、回復しない場合は証券会社が建玉を決済する扱いが一般的です。決済の結果、損失が差し入れていた保証金を超えると不足金として請求されます。信用取引では損失が元本(差し入れた保証金)を超えることがあります。具体的な時限と処理は証券会社ごとに異なります。

Q. 追証の金額はどう計算されますか?

A. この記事では「建玉金額×20% − 受入保証金」で不足額を計算しています。ただし、必要額を維持率20%まで戻す金額とするか、当初の30%まで戻す金額とするかは証券会社の規定によって異なります。金額の提示は取引画面に出るため、実際の請求額はそちらを確認してください。

出典・参考資料

「信用取引・空売り」のほかのガイド

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