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移動平均線のデイトレ設定|5分足の「25本」は日足25日の1650分の1

by デイトレ.jp 編集部

「5分足の移動平均線は何本がいいか」を調べると、5・10・20・25・75といった数字が出てきます。これらの多くは日足の期間として紹介されてきた数字です。この記事では、まず用語集の定義で移動平均線が何を平均しているかを確認し、本数を分に直す表を作ってから、架空の5分足30本で実際に計算します。

移動平均線の定義

野村證券の証券用語解説集は、移動平均線をこう説明しています。

株価や外国為替のテクニカル分析において使用される最も基本的な指標で、ある一定期間の価格(多くは終値)の平均を結んでできたグラフを指す。米国の著名チャーチストのJ.E.グランビルが、移動平均線と価格の位置関係に着目して、売買のポイントをまとめた「グランビルの法則」を考案したことにより、急速に普及した。

続けて、2つの意味と種類が書かれています。

移動平均線には、日々の動きを平滑化し相場のトレンドを抽出することと、市場参加者の平均コストを算出することの2つの意味がある。単純移動平均線(SMA)、加重移動平均線(WMA)、指数平滑移動平均線(EMA)など様々な種類がある。

そして「よく使われる移動平均線」として並んでいるのが次の期間です。

よく使われる移動平均線は、日足(5日、10日、25日、30日、75日、80日、150日、160日、200日)、週足(13週、26週)、月足(12ヵ月、24ヵ月、60ヵ月、120ヵ月)。上記n日の単純移動平均線は、過去n日間(立会日ベース)の終値の平均値を表す(権利落ちは修正する)。

ここで確認しておきたい点が2つあります。

  1. 列挙されているのは日足・週足・月足で、分足の期間は出てこない
  2. 「n日の単純移動平均線は過去n日間(立会日ベース)の終値の平均値」=平均する単位は足であって、暦の日数ではない

つまり「5分足で25本」は、用語集の「25日」とは別の数字です。同じ「25」でも、平均している時間の長さが違います。

本数を分に直す

東証の立会時間は、午前立会が9時から11時30分(150分)、午後立会が12時30分から15時30分(180分)の合計330分です(日本取引所グループ)。5分足なら1日 66本になります。

足1日の本数「20本」が指す時間「25本」が指す時間
1分足330本20分25分
5分足66本100分125分
15分足22本300分(ほぼ1日)375分(1.14日)
日足1本20立会日25立会日

日足の25日は 330分 × 25 = 8,250分ぶん、つまり5分足に直すと 1,650本です。5分足の25本(125分)は、その 1,650分の1 の長さを平均しています。「25日移動平均線が効く」という話を5分足の25本にそのまま持ってきても、平均している母数が3桁違います。

逆向きに、5分足で日足25日と同じ時間を平均したい場合は1,650本の移動平均になります。2026年の立会日数は242日(JPXの休業日一覧から数えた値)なので、1,650本は約25立会日ぶんのデータを保持する必要があります。

架空の5分足30本で計算する

A社株の前場の5分足30本(9:00〜11:25)を使います。指標の挙動を見るための数値モデルで、実在の銘柄ではありません。呼値の単位は「その他の銘柄」の1円刻み、売買単位は100株とします。

SMA5(単純移動平均・期間5)、EMA5(指数平滑移動平均・期間5/平滑化係数 2÷(5+1)=0.3333)、SMA20(単純移動平均・期間20)を、終値から計算します。表の「時刻」は各足の始まりの時刻で、その足の終値が確定するのは5分後です。

本時刻終値SMA5EMA5SMA20
109:001,000———
209:051,004———
309:101,009———
409:151,007———
509:201,0121,006.401,006.40—
609:251,0181,010.001,010.27—
709:301,0211,013.401,013.84—
809:351,0191,015.401,015.56—
909:401,0241,018.801,018.38—
1009:451,0301,022.401,022.25—
1109:501,0271,024.201,023.83—
1209:551,0221,024.401,023.22—
1310:001,0161,023.801,020.81—
1410:051,0111,021.201,017.54—
1510:101,0071,016.601,014.03—
1610:151,0041,012.001,010.69—
1710:201,0081,009.201,009.79—
1810:251,0131,008.601,010.86—
1910:301,0101,008.401,010.57—
2010:351,0061,008.201,009.051,013.40
2110:401,0011,007.601,006.371,013.45
2210:459971,005.401,003.241,013.10
2310:509951,001.801,000.501,012.40
2410:55999999.601,000.001,012.00
2511:001,004999.201,001.331,011.60
2611:051,0091,000.801,003.891,011.15
2711:101,0151,004.401,007.591,010.85
2811:151,0121,007.801,009.061,010.50
2911:201,0181,011.601,012.041,010.20
3011:251,0231,015.401,015.691,009.85

この30本の始値は1,000円、高値は1,030円(第10本)、安値は995円(第23本)、最後の終値は1,023円です。

20本線は10時35分まで存在しない

表の SMA20 の列が埋まるのは第20本(10:35に始まる足)からです。期間20の単純移動平均は20本そろわないと計算できないので、当日の足だけで引くなら前場の最初の100分は線がありません(20本目の終値が確定する10:40に最初の値が出ます)。

設定当日データだけで最初の値が出る足経過した立会時間
5本09:20に始まる足(確定は09:25)25分(330分の7.6%)
20本10:35に始まる足(確定は10:40)100分(330分の30.3%)
25本11:00に始まる足(確定は11:05)125分(330分の37.9%)
75本当日中には出ない(1日66本では足りない)375分 > 330分

実際のチャートツールは前日以前の足をつないで計算するので、寄り付きから線が表示されます。ただしその値には前日の終値が入っています。「当日の平均コスト」を見たいのか「直近100分の平均」を見たいのかで、どちらが欲しい線かは変わります。前日の終値を含めたくない場合、当日の寄り付き直後に20本線はまだ無いという扱いになります。

なお、75本(375分)は立会時間330分より長いので、当日のデータだけでは1日たっても計算できません。日足換算でよく出てくる75日線を5分足に移すと、必ず前日以前のデータが入ります。

SMAとEMAは同じ「5」でも別の線

SMA5とEMA5の差が最も大きかったのは第14本(10:05)で3.66円でした(SMA 1,021.20円/EMA 1,017.54円)。上昇から下落へ転じた直後で、EMAのほうが先に下を向いています。

EMAは直近の終値に 2÷(n+1) の重みを置き、残りを前の値に置く計算なので、古い値の影響が指数的に薄まります。SMAは期間n本を等しい重みで平均します。同じ設定値でも、

  • SMA … n本前の値が抜けた瞬間に段差が出る
  • EMA … 古い値が薄く残り続ける

という違いが残ります。100株なら3.66円の差は366円ぶんで、呼値の単位が1円の銘柄では3ティック以上です。線のどちら側にいるかで判断を変えるなら、SMAとEMAのどちらを見ているかで結果が入れ替わる場面があります。

交差の回数と時刻も設定値で動く

この30本でSMA5がSMA20を下から上へ抜けたのは 第29本(11:20)の1回だけでした。野村證券の用語集は、

短期の移動平均線が長期の移動平均線を、下から上へ突き抜けることを「ゴールデンクロス」、上から下に突き抜けることを「デッドクロス」といい、売買タイミングの目安とされることが多い。

と説明しています。「目安とされることが多い」という書き方で、定義上の売買シグナルとして扱われているわけではありません。交差の計算式と遅れについてはゴールデンクロス・MACD・ボリンジャーバンドの見方で扱っています。

ここで効くのは、交差が起きるのは値動きの後という点です。この30本では安値995円(10:50)から23円戻った11:20の足で交差が出ています(995円 → 1,018円)。交差の時刻は期間の組み合わせで動くので、「ゴールデンクロスで入る」というルールは、期間を決めた時点で結果の一部が決まっています。

設定値を決めるときに確認できること

一次情報に「5分足なら何本」という答えはありません。代わりに、設定値を見たときに確認できることが3つあります。

  1. その本数は何分ぶんか(本数 × 足の長さ)。5分足25本なら125分で、前場150分のほとんど
  2. 当日データだけで何時から引けるか(本数 × 足の長さぶんの経過が必要)
  3. SMAかEMAか。同じ数字でも別の線で、上の例では最大3.66円ずれた

逆に、設定値からは決まらないものもあります。線に触れたら買う・抜けたら売るといった使い方は定義の外側で、押し目買いの閾値と同じく使う人が決める部分です。

検証していないこと

  • どの期間が利益を生むかは検証していません。この記事は本数と時間の対応、計算できる時刻、SMAとEMAの差を数値で示しただけです
  • 上の30本は架空の数値モデルです。3.66円という最大差や11:20の交差は、この数値列での結果であって一般的な値ではありません
  • 実際のチャートツールの初期設定値(何本が既定か、前日の足をつなぐか)は会社とツールで違います。設定画面の期間と計算方法を自分で確認する必要があります
  • 出来高で加重する指標(VWAP)は終値の単純平均とは別の計算です。この記事では比較していません

まとめ

  • 移動平均線は「ある一定期間の価格(多くは終値)の平均を結んでできたグラフ」(野村證券)。平滑化と平均コストの2つの意味がある
  • 用語集の「よく使われる期間」は日足・週足・月足で、分足の推奨期間は一次情報に無い
  • 5分足は1日 66本(立会時間330分÷5分)。5分足25本は125分ぶんで、日足25日(8,250分)の 1,650分の1
  • 当日データだけなら、20本線が引けるのは 10:35(開始から100分)、25本線は11:05。75本(375分)は立会時間330分より長いので当日中には引けない
  • SMA5とEMA5は同じ期間でも別の線。架空の30本では最大 3.66円(100株で366円)ずれた
  • 交差の時刻は設定値で動く。この30本でのSMA5/SMA20のゴールデンクロスは11:20の1回だけ

この記事はテクニカル指標の計算の説明で、特定の銘柄や売買手法を勧めるものではありません。過去の値動きから作った数字は将来の値動きを示すものではありません。取引するかどうかはご自身で判断してください。デイトレードの始め方はデイトレードのやり方・始め方にまとめています。

よくある質問

Q. 5分足の移動平均線は何本に設定すればいいですか?

A. 一次情報に「5分足なら何本」という推奨はありません。野村證券の用語集が挙げている「よく使われる移動平均線」は日足(5日・10日・25日・30日・75日・80日・150日・160日・200日)、週足(13週・26週)、月足(12カ月・24カ月・60カ月・120カ月)で、分足の期間は列挙されていません。この記事では本数を時間に直す表を用意して、設定値が何分ぶんを平均しているかを自分で確認できる形にしています。

Q. 5分足の1日は何本ですか?

A. 66本です。東証の立会時間は午前立会が9時から11時30分(150分)、午後立会が12時30分から15時30分(180分)の合計330分なので、5分足なら330÷5=66本になります。1分足なら330本、15分足なら22本です。

Q. 当日のデータだけで20本移動平均を引くと、何時から表示されますか?

A. 9時00分から20本目の足は10時35分に始まり、その終値が確定する10時40分に最初の値が出ます(100分ぶんの経過が必要)。前日以前の足をつないで計算すれば寄り付きから線は出ますが、その値には前日の終値が入っています。当日の値動きだけを平均した線が欲しい場合、前場の最初の100分は20本線が存在しません。

Q. SMAとEMAはどれくらい違いますか?

A. この記事の架空の5分足30本では、同じ期間5でも単純移動平均(SMA)と指数平滑移動平均(EMA)の差は最大3.66円でした(第14本・10時05分でSMA 1,021.20円に対しEMA 1,017.54円)。EMAは直近の値に大きい重みを置くため、下げに転じた局面で先に下を向きます。同じ「5」という設定値でも別の線です。

Q. ゴールデンクロスは5分足でも使えますか?

A. 計算はできます。ただし交差の時刻は設定値で動きます。この記事の30本では、SMA5とSMA20の交差は11時20分の1回だけで、期間を変えれば回数と時刻が変わります。野村證券の用語集はゴールデンクロスを「売買タイミングの目安とされることが多い」と説明していますが、目安であって定義上の売買シグナルではありません。

Q. 移動平均線はデイトレで何に使えますか?

A. 野村證券の用語集は移動平均線に「日々の動きを平滑化し相場のトレンドを抽出すること」と「市場参加者の平均コストを算出すること」の2つの意味があると書いています。どちらも過去の終値から作る値なので、線が向きを変えるのは値動きの後です。この記事では遅れの大きさを本数で示していますが、利益が出るかどうかは検証していません。

出典・参考資料

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