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出来高とは?片道数量の意味と日中の偏り、売買代金との違いを数値例で

by デイトレ.jp 編集部

出来高はチャートの下に棒で並んでいる数字で、ほとんどのツールで初期表示されます。ただ「出来高100万株」が具体的に何を数えた100万株なのか、場中に見る出来高を1日の平均とどう比べるのかは、定義を確認しないと誤読しやすい部分です。この記事では東証の定義を一次情報で確認し、日内分布のモデルで按分計算まで示します。

出来高の定義

日本取引所グループの用語集では、出来高(できだか)は「売買高をご参照ください」とされ、売買高(ばいばいだか)は次のように定義されています。

株券等が売買された数量のことをいいます。東京証券取引所では、成立した取引の売り・買いを一つの取引とした、いわゆる片道数量で表しています(例えば、売り1,000株、買い1,000株で売買取引が成立した場合の売買高は1,000株となります。)。一般的に、「出来高」と「売買高」は同じ意味で使われます。

野村證券の用語集も「出来高は、市場全体の売買株数を示す。相場の勢いをみる参考指標で、売買高ともいう」と説明しています。

「片道数量」が意味すること

ここがいちばん誤読されるところです。売買が成立するには売り手と買い手の両方が必要で、1,000株の売りと1,000株の買いが出会って成立したとき、出来高は2,000株ではなく1,000株です。

したがって、

  • 出来高100万株 = 売り100万株と買い100万株が出会った
  • 出来高が増えた = 売り手も買い手も増えた

となります。「出来高急増は買いが入った証拠」という言い方は、定義の上では成り立ちません。同じ100万株の出来高は、上がりながらでも下がりながらでも付きます。出来高が示すのは方向ではなく売買の量です。

単位は100株

東証の内国株の売買単位は、JPXの説明によれば「2018年10月1日をもって内国株の売買単位を100株へ統一」されています。したがって通常の売買で成立する数量は100株の倍数で、出来高もその刻みで増えます。

出来高と売買代金の違い

JPXの用語集では、売買代金は「個々の売買取引ごとに、その約定値段に成立数量(株数等)を乗じたもので、取引量を金額で表したもの」とされています。株数か金額か、という違いだけですが、銘柄をまたいで比べると差が大きく出ます。

架空の銘柄株価出来高売買代金
E社200円500万株10億円
F社8,000円12.5万株10億円

出来高では40倍の差(500万株 ÷ 12.5万株)がありますが、売買代金は同じ10億円です。株価が低い銘柄は出来高が大きく出るため、出来高ランキングの上位は低位株に偏ります。「どれだけ資金が動いたか」を見たいときは売買代金、「どれだけ株数が回ったか」を見たいときは出来高、という使い分けになります。

デイトレードで実際に効くのは「自分が出したい株数が、出したい値段の近くで約定するか」です。これは出来高(株数)と自分の注文株数の比で見るほうが直接的で、売買代金だけでは判断できません。

日中の偏りと、場中の倍率の計算

立会時間は330分

JPXの用語集では、立会時間は「現物市場では9時から11時30分及び12時30分から15時30分」です。前場150分、後場180分で、合計330分になります。

出来高はこの330分に均等には出ません。板寄せ方式で始値と終値が決まる寄り付きと引けに注文が集まるためです。JPXの説明では、板寄せ方式は「売買立会の始めの約定値段(始値)や売買立会終了時における約定値段等を決定する場合に行われる売買契約締結の方法」で、約定値段決定前の注文をすべて板に記載して単一の約定値段を求めます。

モデル分布

架空のD社株で、1日の出来高1,000,000株がこう分布したとします(典型的な偏りを分かりやすくした数値モデルです)。

時間帯分数出来高構成比1分あたり
9:00〜9:05(寄り)5分180,000株18.0%36,000株
9:05〜9:3025分170,000株17.0%6,800株
9:30〜11:30120分230,000株23.0%1,917株
12:30〜14:30120分190,000株19.0%1,583株
14:30〜15:2555分160,000株16.0%2,909株
15:25〜15:30(引け)5分70,000株7.0%14,000株
合計330分1,000,000株100.0%3,030株
  • 寄り付きの5分の1分あたり出来高(36,000株)は、午前中盤(1,917株)の約18.8倍
  • 引け5分(14,000株)は午前中盤の約7.3倍
  • 寄り5分と引け5分の10分間だけで、1日の25.0%(330分のうち3.0%の時間)

場中に「平均の何倍か」を見るときの按分

よく使われるのが「今日の出来高は普段の何倍か」という見方です。しかし1日が終わっていない時点で、1日の平均出来高とそのまま割ると朝は必ず小さく出ます(逆に、前日終値までの平均と比べると大きく出ます)。正しく比べるには、同じ時刻までに普段どれだけ出ているかで按分する必要があります。

上のモデルで10:00時点までの構成比を計算します。

  • 9:00〜9:05:18.0%
  • 9:05〜9:30:17.0%
  • 9:30〜10:00(9:30〜11:30の120分のうち30分):23.0% × 30/120 = 5.75%
  • 合計:40.75%

平均日量80万株の銘柄なら、10:00時点の「普通の水準」は 800,000 × 0.4075 = 326,000株です。もし10:00時点で120万株出ていたなら、

比べ方計算倍率
1日平均とそのまま比べる1,200,000 ÷ 800,0001.50倍
時刻で按分して比べる1,200,000 ÷ 326,0003.68倍

同じ事実が1.50倍にも3.68倍にも見えます。按分しない倍率は、時刻が進むほど自動的に上がっていく数字なので、朝の段階では過小に、引け間際では過大に出ます。ツールの「出来高倍率」がどちらの定義かは、使う前に確認しておく部分です。

なお、上の40.75%は架空のモデル分布から出した値です。実際の分布は銘柄や日によって違い、材料が出た銘柄は午後に偏ることもあります。自分が触る銘柄で過去の日中分布を数えておかないと、按分の分母そのものが当てになりません。

出来高と他の指標の関係

VWAPは出来高で重みを付けた平均

JPXの用語集にある売買高加重平均価格(VWAP)は、約定値段を出来高で重み付けした平均です。出来高が小さい時間帯の値段は、VWAPをほとんど動かしません。逆に寄り付きの5分で18%の出来高が付く銘柄では、その5分の値段がその日のVWAPの水準をかなり決めてしまいます。計算式と数値例はVWAPとはにまとめています。

移動平均やMACDは出来高を使わない

移動平均線・MACD・ボリンジャーバンドは終値だけから作られていて、出来高は入っていません。終値が1円動いただけで作られた足と、大量の売買を伴って動いた足を、これらの指標は区別しません。出来高を見る意味はここにあり、終値系の指標に対して別の系列を足すことになります(ゴールデンクロス・MACD・ボリンジャーバンドの見方)。

出来高が止まる場面

値幅制限の上限・下限に張り付くと、注文が対当せず出来高が増えません。「出来高が減った」のではなく「売買が成立できない」状態で、意味が違います(ストップ高の値幅は?東証の値幅制限一覧と計算方法)。PTSでの売買は東証の出来高には含まれないため、夜間に値段が動いていても東証の出来高は0のままです(PTSとは?夜間PTSの取引時間・手数料)。

検証していないこと

「出来高を伴って上昇した動きは続きやすい」「出来高が減ってきたら勢いが落ちている」といった説明は、指標の解説でよく見かける一般的な使い方です。特定の銘柄・期間でその通りになったかどうかは別の問題で、この記事は検証していません。出来高は定義のはっきりした観測量ですが、そこから将来の値動きを導く部分は定義に含まれていません。

市場全体の売買高・売買代金は、JPXが「株式売買高・売買代金」として統計を公表しています。自分の感覚と実際の水準がずれていないかは、こうした一次情報で確かめられます。

まとめ

  • 出来高=売買高。東証では売り・買いを一つの取引として数える片道数量。売り1,000株と買い1,000株が成立したら出来高は1,000株
  • 「出来高100万株」は買いが100万株入ったことではない。出来高は量を示し、方向は示さない
  • 出来高は株数、売買代金は金額。株価200円×500万株と株価8,000円×12.5万株は、出来高で40倍差でも売買代金は同じ10億円
  • 立会時間は330分で、出来高は寄り付きと引けに偏る。モデル分布では寄り5分の1分あたり出来高が午前中盤の約18.8倍
  • 場中の「平均の何倍」は時刻で按分しないと意味が変わる。同じ事実が1.50倍にも3.68倍にも見えた
  • 売買単位は100株に統一されているため、出来高は100株の刻みで積み上がる

この記事は指標の定義と計算の説明で、特定の銘柄や売買手法を勧めるものではありません。出来高が示すのは過去に成立した売買の量で、将来の値動きを保証するものではありません。取引するかどうかはご自身で判断してください。デイトレードの始め方はデイトレードのやり方・始め方にまとめています。

よくある質問

Q. 出来高とは何ですか?

A. 日本取引所グループの用語集では、出来高は売買高と同じ意味で使われるとされ、売買高は「株券等が売買された数量」と定義されています。東京証券取引所では、成立した取引の売り・買いを一つの取引とした、いわゆる片道数量で表しています。野村證券の用語集も「市場全体の売買株数を示す。相場の勢いをみる参考指標で、売買高ともいう」と説明しています。

Q. 出来高100万株は、100万株の買いが入ったということですか?

A. 違います。東証の売買高は片道数量なので、売り1,000株・買い1,000株で売買取引が成立した場合の売買高は1,000株です(JPXの説明)。出来高100万株は「売り100万株と買い100万株が出会った」状態で、買いだけが100万株入ったわけではありません。出来高の増加は売り手と買い手の両方が増えたことを意味します。

Q. 出来高と売買代金はどう違いますか?

A. 出来高は株数、売買代金は金額です。JPXの用語集では、売買代金は「個々の売買取引ごとに、その約定値段に成立数量(株数等)を乗じたもので、取引量を金額で表したもの」と定義されています。株価200円で500万株なら売買代金は10億円、株価8,000円で12.5万株でも売買代金は10億円で、出来高は40倍違っても金額は同じになります。

Q. 場中に「出来高が平均の何倍か」を見るときの注意点は?

A. 出来高は立会時間のなかで均等に出るわけではなく、寄り付きと引けに偏ります。1日の平均出来高と、その時点までの出来高をそのまま割ると、朝は必ず倍率が高く出ます。比べるなら「同じ時刻までに普段どれだけ出ているか」で按分する必要があります。この記事のモデル分布では、10:00時点で1日の40.75%が出ているため、平均日量80万株の銘柄なら10:00時点の普通の水準は約32.6万株です。

Q. 出来高が0の時間があるのはなぜですか?

A. 売買が成立しなかった時間です。値幅制限の上限・下限に張り付いて注文が対当しない場合や、売買が少ない銘柄で注文自体が入らない場合に起こります。出来高が0の足では、約定代金から計算するVWAPも更新されません。

Q. 出来高は何株単位で増えますか?

A. 東証の内国株の売買単位は2018年10月1日に100株へ統一されました。したがって通常の売買で成立する数量は100株の倍数で、出来高もその単位で積み上がります。

出典・参考資料

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